【2021年、新たな時代に大切にしたいこと】秋元さくら #幸せな気持ちを増幅させる“レストラン”という場所

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各分野のキーパーソンにコロナ禍で生まれた変化や思考をシェアしてもらうことで、ニューノーマルな時代を私たちがどう生きていけばいいのか、気づきやヒント、指針をもらう特集【2021年、新たな時代に大切にしたいこと】。
今回ご登場いただくのは、天性のセンスで仕上げる料理が評判のフレンチシェフ・秋元さくらさん。国際線の客室乗務員を経て料理人へ転職。2009年9月、目黒に小さなフレンチビストロ「morceau(モルソー)」をソムリエのご主人とともにオープン。2018年に日比谷に移転してからもアットホームな雰囲気は変わらず、旬の食材を生かした繊細かつ温かみのある料理で、食べる人を笑顔にし続けています。コロナ禍を経験し、多くの人々の食への向き合い方や関わり方に変化が生まれている中で、秋元さん自身が改めて大切にしていきたいと感じていることや、これから挑戦したいことなどについて伺いました。
※本記事は2021年2月に取材を行いました

緊急事態宣言下で気づいた、自分の使命と仕事への想い

日比谷にフレンチレストランを構える秋元さん。コロナ禍における二度の緊急事態宣言を受けて、スタッフひとりひとりの生活を守ること、そして、外食が制限されている状況下ではありながらも、食の楽しみや魅力を感じてもらうことが最大の使命だと強く感じたそうです。

2020年4月、初めての緊急事態宣言の際は、お弁当を開発し古巣の目黒でフランス料理の基礎を生かしたカレーを1500食販売したそう。そして2021年2月、2度目の宣言時には、多くの方に家庭でも料理に楽しくトライしてもらえたらという思いで、自身も母親であるという目線から、子どもと一緒に作るお菓子や時短料理などを紹介するYouTube配信用の動画を撮影し始めたとのこと。お弁当開発もYouTubeも、「制限がある中でも食を楽しんで食の魅力を感じてもらいたい」「スタッフと一緒に何かを作ることで、スタッフたちのモチベーションを上げたい」という秋元さんの強い思いが発端です。

お客様の人生と共に歩む“幸せな気持ちを増幅させるレストラン”でありたい

コロナ禍では“外食のあり方の変化”を感じているとのこと。接待や会食などビジネスシーンでの利用が減り、恋人同士やご家族での時間が外食シーンのメインになってきているそうです。「こういった状況の中でも、身近な大切な人とご来店いただいて、『おいしい料理が食べられて嬉しい。ほっとした』と言葉をかけていただける機会が圧倒的に増えました。そんな風に感じてもらえる料理や空間を、これからも実直に作っていくことが改めて大事だと思いました」

また、日比谷に出店してみて、「目黒の頃と比べて非常に商圏が広くなり、電車で遊びに来る方々の目的地となっていけるかどうかが非常に難しい部分」と語る秋元さんですが、『モルソー』を選んで来てくださるお客様、リピーターのお客様の多さを実感しているとのこと。子どもの頃にご両親と来店してくれたお客様が大人になって友だちと来店されるといったように、お客様の人生の節目に立ち会う機会も増えているそうで、「お客様の人生に絡めるような空間になってきていると感じますね。5年後、10年後も、お客様の人生と共に歩めるようなお店でいたい」と挑戦を語ります。

原動力は、「元気のいい食材」「よく食べ、よく寝ること」

強くしなやかに生きる秋元さんですが、その原動力は、まず「元気のいい食材」とのこと。

「食べ物は、人間が生きる上で欠かせないものですよね。日々料理人として、鮮度のいいもの、生きた食材を目の前にして調理をするので、常にエネルギーに満ち溢れた環境にいることが大きいと思います」

また「よく食べ、よく寝ることも大切」と語ります。身体的な疲れの精神面への影響をよく感じるとのことで、規則正しい生活がなかなか難しい飲食業界でありながらも、なるべく早く寝て同じ時間に起きられるよう、仕事をコントロールすることを意識されているそうです。「現在のような厳しい状況のときも、一緒に働くスタッフには、笑って『ついておいで!』と言える存在でありたいので」と、笑顔で語ってくださいました。

「人が好き」「目の前の人を喜ばせたい」。その究極の10年後は……

「間違いなく私、スナックをやっていると思います!」。秋元さんに10年後のご自身について伺うと、元気よく意外な答えが返ってきました。「とにかく人が好きで、目の前の人を喜ばせたくて。その究極の形がスナック」だと考えているそうです。「目黒のお店でのお客様との密なコミュニケーションができる場と、日比谷の大きなお店でスタッフみんなが活躍する場、両方を作って経験してみて、どちらにも大きなやりがいと楽しさを感じました。今後は、大きなお店をスタッフに任せて活躍してもらいながらも、また私とお客様とが密なコミュニケーションをできる場も作りたい」とのこと。

身近な人と時間を過ごす人のための料理や空間を改めて大切にして、「幸せを増幅する」「人生に寄り添う」レストランでありたいと考える秋元さん。その原動力は、元気のいい食材に触れ、よく食べ、よく寝ることとのこと。新型コロナウイルスの感染拡大が続く状況の中でも元気を保つために、旬で元気な食材を選んで料理を作ったり、改めてきちんと休養を取ることを意識してみたりすると良いかもしれません。

 

Profile)
秋元さくら (あきもとさくら)
「morceau(モルソー)」オーナーシェフ。国際線の客室乗務員として勤務していた4年の間、世界各地の多彩な食文化を体験。次第に料理への興味が高まり、料理人の道を選んで調理師学校へ。卒業後は複数のレストランで修業をし、白金「オー・ギャマン・ド・トキオ」の木下シェフを師と仰ぐ。2009年、ソムリエでもあるご主人とともに「morceau」を目黒にオープン。2018年、日比谷に移転。「人が好き」「人を喜ばせるのが好き」という飾らない性格で、テレビ出演やレシピ本出版のほか、リゾート列車の料理監修、オリジナルキッチンウェアのプロデュースなど幅広く活動。一児の母でもある。

「モルソー」
http://morceau.pinoko.jp


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写真/竹内洋平 文/石井かつこ