地球に優しい“量り売り”が買い物をもっと楽しくする。「丸の内グラムマルシェ 2022」イベントレポート

「お客様がお店の人と楽しそうに会話して、買っていく。その光景を見られるのが一番嬉しいです」と話すのは、グラムマルシェ実行委員会の委員長を務める一般社団法人 青空市場の永島敏行さん。「グラムマルシェ」は、食を通じて、心身の健康や地球環境と私たちのウェルネスな関係を考える「EAT&LEAD」のプロジェクトの一貫として行われている“量り売り”をテーマにしたマルシェです。2013年よりスタートしたグラムマルシェも、新型コロナウイルスの影響で一時中断していましたが、6月15日(水)~17日(金)の3日間にわたり「丸の内 gramme Marché 2022(グラムマルシェ)」が3年ぶりに開催されました。その最終日の様子をご紹介しつつ、会場でお話を伺った永島さん、株式会社寺岡精工の鈴木佐知子さんのインタビューもお届けします。

にぎわう会場を、ぐるりめぐれば


フードロスの削減を目指す「グラムマルシェ」は、量り売りで“欲しいものを、グラム単位で必要な分だけ”買うことができるマルシェです。丸ビル1階マルキューブで開催された「丸の内グラムマルシェ2022」には、野菜や果物、パン、乾物など、全13軒が出店。訪れた最終日の午後も売り切れの商品が続出していましたが、3日間の会期は盛況のうちに終了しました。


「通常サイズのパンも一緒に販売していますが、量り売り用のパンの方が人気でした」というベーカリーカフェ「FARINA」では、量り売り用のミニサイズのパン5種類のうち2種類が売り切れに。「小さくてかわいい!という声もたくさんいただきまして、5種類を1個ずつ購入される方も多くいらっしゃいました。大きいパンを1~2個買うより、量り売りで小さいパンを好きなだけ買う方が楽しいようですね」と話してくれました。


「珠屋小林珈琲」も予想以上によく売れたそうです。いろんな味を試してみたいと、50g、20gなど、少量のコーヒー豆を数種類買うお客さまが大勢いたそうで、「自分の好きな味を探すのに、量り売りを利用するのはいいですね」と話します。

また、「珠屋小林珈琲」は実店舗のない卸中心の珈琲店。だからこそ、今回グラムマルシェに初出店し、お客さまの声を直接聞くことができたのも貴重な経験になったといいます。たとえば、それぞれの豆の特徴や飲み方から、「戦前からあるお店で、園遊会や晩さん会のコーヒーを宮内庁に卸している」といったことまで、会話することで関心を持ち、買ってくださる方が多かったそう。


オーガニックや無添加のナッツやドライフルーツ、ピーナッツバターを販売する量り売り専門店「バルクフーズ」では、寺岡精工製の最新の“セルフ量り売りスケール”を導入。買い手は商品を欲しい分だけセルフで袋に入れていきますが、その際、容器に付いたセンサーが、どの商品の容器の蓋が開いたかを感知してはかりに情報を転送します。商品の入った袋をはかりにのせると計量、値段の入ったシールをプリントアウトしてくれるというもので、店舗スタッフの手間を減らせる上、買い手もスムーズに購入することができます。


「CSA LOOP」では、わたなべ農園(千葉県山武市)の自家製植物性堆肥で栽培した野菜を販売していました。CSA LOOPは、CSA(地域支援型農業)とLOOP(食循環)を掛け合わせた新たな仕組みで、生産者と消費者をつなぐ活動をしています。このように今まで知らなかったサービスとの出会いがあるのもグラムマルシェの楽しみの1つかもしれません。


ぴったり530g(ごみゼロ)を量れた方にはプレゼントを進呈!という企画「グラムコンテスト Supported by ビオセボン」も実施。フランス発のオーガニックスーパーマーケット「ビオセボン」とコラボしているため、ジャストグラム賞に輝いた人も、ニアピン賞の人も、完全に外してしまった人も、それぞれビオセボンの人気商品がもらえました。

運営を支える二人に聞いた、グラムマルシェの魅力

新型コロナウイルスによる中断後、初の開催となったグラムマルシェは活気に満ちた3日間となりました。そんなグラムマルシェの運営を長いこと支えてきた、株式会社寺岡精工の鈴木佐知子さん、一般社団法人 青空市場の永島敏行さんに会場でお会いし、話を伺うことができました。量り売りをテーマにしたグラムマルシェならではの魅力とは?

鈴木さん:今回は3年ぶりの開催で、私たちにとっても久しぶりのグラムマルシェでした。会場ではあちらこちらから笑い声が聞こえてきて、お店の方とお話しながら買い物を楽しんでいらっしゃるお客様が多いなと感じました。

永島さん:会話は本当に大切です。私はグラムマルシェの他に、丸の内で「青空市場」(毎週金曜開催)を運営していますが、市場を立ち上げた10年以上前に「会話がないとモノが売れない」ということに気づきました。お店にどんなに良いものを並べていても、お客さまと会話をしないとその良さはなかなか伝わらないのです。マルシェは人と人の出会いの場で、おいしい商品というより、売り手にファンがつくことの方が多いと思います。「この店主が売るものなら」とか「この生産者さんが作ったものなら」と思うことが、買うきっかけになるようです。特に、グラムマルシェは“量り売り”なので、質問したいことも多く、自然と会話も増えますよね。

鈴木さん:私たち「寺岡精工」は、約100年前にはかりの開発・製造からスタートした会社です。創業当時は、商店街のほぼすべてのお店にはかりが置いてあったというほど、量り売りは当たり前のものでしたが、スーパーマーケットが広がった頃からパック売りが主流になりました。しかし、今でも欧米のスーパーマーケットでは量り売りをよく見かけますし、欲しい分だけ買うことでフードロスも、包装ゴミも減らせ、これからの時代に合うものだと思います。ただ、お客様ご自身で量って、値付けをしていくと通常の買い物より手間がかかってしまいますので、私たちはそうした手間を省くため、はかりの技術向上に取り組んでいます。

永島さん:確かに、子どもの頃はお醤油も瓶を持って買いに行っていましたし、ひと昔前まで量り売りは普通でした。量り売りって「おまけ」してもらえるのもいいですよね。そこからコミュニケーションが生まれ、「またあの店に買いに行こう」ということになるわけです。あと、パック詰めしなければいけない手間と費用が減って、生産者も助かると思います。

鈴木さん:量り売りは、「お試しできる」のもメリットです。おいしそうだけど外したらどうしようという時、まずは一口分だけ買ってみて、気に入ったら次はもっと買えばいいですし。
なにより量り売りってすごく楽しいですよね。何を買おうか迷って、会話して、自分の必要な量を考えて。買い物するワクワクが凝縮されているのが、量り売りの最大の魅力だと思います。

永島さん:グラムマルシェは、五感を使って買い物できるのもいい。食べ物は香りや手触りも重要ですが、パッケージされていると買う時に五感を使うことはありません。量り売りだと、バラ売りのものが並ぶ店頭は見た目が楽しいですし、ふんわりと香りを感じることもありますよね。場合によっては、商品に触れることもできます。

鈴木さん:東京の中心地・丸の内の「丸ビル」という建物の中で、平日の3日間だけ、魔法のようにマルシェが出現するというスタイルも気に入っています。丸の内仲通りに面したガラス越しにグラムマルシェをやっているのが見え、自動ドアを入るといろんな香りがしてきて、つい心が弾みますよね。次回の開催はまだ決まっていませんが、グラムマルシェの素敵な時間をこれからも皆さまに届けていけたらいいなと思っています。

<参考情報>
株式会社 寺岡精工
祖業である「はかり」をはじめ、世界初、業界初の製品を数多く世に送り出しながら、新しい常識を創造してきた寺岡精工は、4つのビジネスフィールド「流通小売」「食品製造・加工」「製造・物流」「飲食・専門店」でお客様のビジネスをバックアップ。「グラムマルシェ」の各店舗では、寺岡精工の最新の「はかり」を使用しています。

一般社団法人 青空市場
俳優の永島敏行さんを実行委員長として、2005 年2月に設立。都市に生産者と消費者が直接交流する場を作ることを目指し、様々な場所にてマルシェを開催しています。2011 年より東京駅前 行幸地下通路にて、毎週金曜日に「丸の内 行幸マルシェ×青空市場」を開催。「グラムマルシェ」には、グラムマルシェ実行委員会のメンバーとして参加している。