会話を楽しみながら、量り売りを体験!「丸の内 gramme Marche 2023」開催レポート
「明日のお弁当に使う分だけ、“ミニトマト3個”でも購入いただけます」。会場を歩いていたら、ふとそんな声が聞こえてきた──。この「丸の内 gramme Marché 2023」(まるのうち グラム マルシェ2023)は、グラム単位で量り売りするマルシェです。たとえばトマト1個~など、無駄なく必要な分だけ買えるのが量り売りの醍醐味の1つ。昨今、フードロスや包装の削減など、地球にやさしいお買い物として注目されています。
4月6日(木)~8日(土)に開催された第11回 丸の内グラムマルシェは「丸の内から生産者を応援」をテーマに、丸ビル1階・マルキューブに全12店舗が集結しました。イベントの様子をレポートします。
会場に到着してすぐに目を引かれたのは、赤、オレンジ、黄色、色とりどりの柑橘類。
柑橘類の専門店ですか?と聞いてみたら、「いつもはいろんなフルーツを取り扱っていますが、今回は季節柄、柑橘類を中心にしました」といいます。「甘いのがお好みなら『せとか』、清々しいものなら『小夏』、濃厚なのは『なつみ』。あと、しまなみ海道の高根島で、ハウス内にニワトリや害虫の天敵となる昆虫を入れて、無農薬で育てているレモンも非常におすすめです。あとは昨年10月に収穫し、スマートフレッシュという方法で保管した『シナノスイート(リンゴ)』もご用意しています。とても甘いですよ」
この「はるセレクション・もったいないフルーツショップ」は、全国の果樹園より“規格外のフルーツ”を揃えたお店。小ぶりだったり、多少の傷がついていたり、外見が劣るため流通にはのらないものの遜色なく美味しいフルーツは、店長・はるさん(谷 治樹さん)の目利きでセレクトされているそうです。廃棄せざるを得ない規格外フルーツを売ることで農家さんの収入につなげ、これからも農業を続けてほしいという思いからスタートしたのだとか。
「『実が小さいから安いんだ』などとおっしゃる方もいて、さすが丸の内のお客様は“規格外のフルーツ”をご存じの方が多いように感じました。小粒の方が味が凝縮されていて、皮もむきやすくてお子様にも良いですよ」。こちらでは小粒の柑橘も1個~の量り売りが可能でしたが、3日間を通じて“全種類を2個ずつ”など「多種類・少数」を買う人が多かったそう。皆さん、旬の柑橘類の食べ比べを楽しんだのではないでしょうか。
黒板に大きな文字で「生はちみつ 量り売り」と掲げていたお店は、信州大町市からやってきた「ねまるちゃテラス」。でも、“生”のはちみつとは一体?
「私たちは、非加熱の完熟はちみつを販売しています。非加熱のはちみつは珍しく、流通量の数パーセントほどしかありません」。お店の方いわく、はちみつを加熱するとえぐみが出ることが多く、栄養素も損なわれがちなのだそう。しかし、非加熱ならはちみつ本来の味わいが楽しめるといいます。「先ほど、南米ご出身のお客様がいらして『本物のはちみつかどうか、僕にはわかるんだから』と試食して、買って帰ってくださいました(笑)」
また、普段は丸の内 行幸マルシェに出店しているという「ねまるちゃテラス」も、“量り売り”は今回初めてだったそうです。「量り売りは、すごく面白かったです。たとえば、お子さんが『僕がやりたい』と言い出して、家族揃って楽しそうに体験してくださったり、量り売りがあることでいつも以上に会話が生まれました」。そして最終日の夕方、量り売り用の缶の中はまもなく底をつくところでした。
「私たちは毎週のように農家さんのもとへ足を運んでいて、今日、販売している野菜は、東京、千葉、茨城の畑までそれぞれ取りに行ってきました」。店頭を青々とした野菜で賑わせていた「Connect Farm」は、農家さんと消費者を直接つなぐ仕組みをつくる会社。お話を伺っていると、種まきから掃除まで、農家さんのお手伝いをすることもよくあるそうで、取引先のような関係ではなく農家さんを伴走者として支えたいという思いがひしひしと伝わってきました。
「今回、量り売りしているのは、新玉ねぎ、れんこん、レモン、焼き芋です。焼き芋は、茨城県の農家さんの安納芋を使っています。多くのさつまいもは、収穫後、熟成期間を経ると糖度や風味が増しますが、この安納芋は土を掘って、もみ殻をかぶせて1カ月以上寝かせたものです。丸の内グラムマルシェでも人気が高く、連日あっという間に売り切れてしまいました」
その他に売れゆきの良かったものを聞いてみたら「ミックスリーフ、ビーツ、レモン」とのこと。「ミックスリーフは洗ったらすぐに食べられるので、仕事帰りの方にもファミリーにも、重宝されたようです。ビーツは『オレンジビーツ』『デトロイトビーツ』『うずまきビーツ』の3種類を用意していましたが、滅多に買わない野菜だから売れたのかなと感じました」。つまり、レストランで食べることはあっても、スーパーで手に取ることはないビーツと偶然出会い、買ってみようかな、という人が多かったようです。「日常使いのマルシェというより、グラムマルシェはちょっと特別な雰囲気なので、普段と違う野菜を試してみたいと思うのかもしれません」と話してくれました。
各店舗のはかり(計量POSレジ)やキャッシュレス決済サービスを提供し、グラムマルシェの運営を支えている、はかりのパイオニア「株式会社寺岡精工」も出店。店頭に並んだファーマーズライナー 紀ノ国(和歌山県有田市)から届いた果物&野菜を最新鋭のAIセルフサービススケール「SM-6000AI」を使って、量り売りで購入する体験ができました。
お客様が野菜やフルーツをはかりに載せると、AIによる画像認識技術で「どの商品が選ばれたのか」を自動判別。重さを測定し、料金シールが出てきます。
「量り売りのお店では、物によってそれぞれ値段が違うので、はかりにのせてから『商品は何か』を選ばないとなりません。それをお客様ご自身にやっていただくとなると、面倒ですよね。今回の新しいはかりは商品の判別までできるので、お一人でもスムーズにお買い物していただけると思います」。そう説明してくださったのは、寺岡精工の鈴木佐知子さん。世界各国では見かけることの多い「量り売り」を、少しでもお買い物時のストレスをなくすことで日本でももっと広げていきたいと、寺岡精工では新たなはかりの技術開発に日々取り組んでいるそうです。
また、量り売りの魅力をお聞きしたら、「どんな大きさでも販売できること」と話してくれました。「スーパーでは大きさを揃えて売られていますが、量り売りなら自由ですよね。小さいサイズや少量を欲しい方もいるでしょうし、消費者はニーズに合わせて買うことができます。また、お店としても袋詰めの手間がかかりません。これからの時代、量り売りはもっと見直されていくと思います」。丸の内で多くの方に体験していただいて、量り売りの魅力を広く伝えていきたいのだといいます。
丸の内グラムマルシェに訪れると、お店の方との会話を通じて、生産者さんと少しだけつながることができます。また、量り売りを通じて、今の時代に合うお買い物スタイルを考えるきっかけにもなります。今回、参加できなかった方は次回の開催をぜひお楽しみに。
グラムマルシェを満喫した後は「グラムコンテスト」に挑戦。カゴの中に決められた重さ「831(やさい)g」分のブロックを入れることができたら、ジャストグラム賞として「レゴ®デュプロ はじめてのデュプロ やさい市場」がプレゼントされます。今回はデンマーク発の玩具ブランド、レゴグループとコラボしていたため人気を博し、最終日には家族連れの方が長い列をつくって大賑わいでした。
抹茶、玉露、煎茶、ほうじ茶、玄米茶を量り売りしていたのは京都の老舗、日本茶専門店「一保堂茶舗」。丸の内にも店舗があるものの、グラムマルシェは初出店です。
蒲田「MEAL MAN」は、オートミールのチョコチップクッキーの他、お豆腐ドーナッツや、生おからと米粉を使用したマフィンを販売していました。
「丸の内 gramme Marché 2023」開催概要
日時:4月6日(木)~8日(土) 11:00~19:00
会場:丸ビル1階 マルキューブ(東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング1階)
主催:丸の内グラムマルシェ実行委員会(三菱地所株式会社、株式会社寺岡精工、一般社団法人青空市場、三菱地所プロパティマネジメント株式会社)
後 援:農林水産省、千代田区、千代田区観光協会