1. EAT&LEAD
  2. EAT&LEADトークサロン
  3. EAT&LEADトークサロン第4回「つながり合う個性」神戸北野ホテル山口浩さん×HiRAKU廣瀬俊朗さん

SHARE

  • X
  • Facebook

EAT&LEADトークサロン第4回「つながり合う個性」神戸北野ホテル山口浩さん×HiRAKU廣瀬俊朗さん

感性を揺さぶる一皿を生み出す「料理人」の創造力、共創力、ロジカル思考に着目したプログラム「EAT&LEADトークサロン-食べることから学ぶ、生きる力-」。2022年1月~のSeason1(第1回~3回)に続き、この度「Season2」がスタートしました。7月26日(火)に開催された第4回は、テーマが「つながり合う個性―現代のリーダーシップ・チームビルディング」。本イベントのファシリテーターを務めるシェフの薬師神陸さんとともに、神戸北野ホテルの総支配人・総料理長を務める山口浩さん、元ラグビー日本代表主将で株式会社HiRAKU 代表取締役の廣瀬俊朗さんという貴重な顔ぶれの2人のゲストによるパネルトークが行われました。その後には、ゲストと参加者を交えたワークショップも実施。開催当日のレポートをお届けします。

>>当日のパネルトークの様子は、動画にてご視聴いただけます!
●ダイジェスト動画(ご登壇3名の終了後の一言コメント付き)
https://www.youtube.com/watch?v=Hiz1Ae_k484
●アーカイブ動画
https://www.youtube.com/watch?v=d6ed6HE_wLQ

「EAT&LEADトークサロン」は新たな価値観、気づきと出会える場

毎回、ファシリテーター・薬師神陸シェフと「食にまつわる仕事をする人」と「異業種で活躍する人」の2人をゲストに迎えて行うイベント「EAT&LEADトークサロン-食べることから学ぶ、生きる力-」。

前半は「食」を基軸に、生きることそのものへのヒントにつながるパネルトークを実施。
後半には、ゲストや参加者が一体となり、それぞれの思考とひとりひとりの気づきをシェアする、共創型のワークショップを行います。

この「EAT&LEADトークサロン」は、ひとりひとりが「食」と向き合い、真に食べる楽しみを知り、自然や人と循環する対話から「幸せの価値基準」を改めて構築していくことを目指している「EAT&LEAD」の根幹を担うプロジェクトの1つ。ひとりひとりが自分の中に幸せの価値基準を持つための新たな価値観や気づきと出会える場として展開します。

第4回の開催当日、会場の「MY Shokudo Hall & Kitchen」(TOKYO TORCH 常盤橋タワー3F)には、年齢も幅広い男女さまざまなお客さまが続々と集まってきました。

開会のあいさつの後で始まったのは、登壇する3人の自己紹介です。

初めは‟自己紹介の時間”。3人は、今、何に取り組んでいるのか

歩んできた道も、個性も年代も、すべてが異なる3人は、今それぞれ興味深い活動をしています。ゆえに、自己紹介の内容も面白い!この後、始まるパネルトークの事前情報としても、まずは自己紹介をご覧ください。

【ファシリテーター】薬師神陸さん(「unis」シェフ)の自己紹介
「unis」という全8席のレストランを虎ノ門ヒルズに、1年半前にオープンしました。夜だけ週4日間の営業で、残りの時間は併設する「ソーシャルキッチン」というキッチンラボで活動しています。ここでは、これから世の中に出ていく若手のシェフや開発案件に取り組む方、起業する準備をされている方など、いろいろな使い方ができるスペースをシェフたちにお貸し出しし、「unis」のスタッフ9名が彼らのサポートに回ります。外のシェフたちから得る知識と僕らがシェフたちに還元できる知識を合わせて、ここから新たなものが生み出していけたら嬉しいですよね。また、シェフをはじめとする食従事者の方は、お店の外の社会と交わる機会がほとんどないため、本日の「EAT&LEADトークサロン」を含め、いろんな方々と関わりを持てる機会を増やしていけたらいいなと考えています。
https://unis-anniversary.com/

【ゲスト】山口浩さん(神戸北野ホテル 総支配人・総料理長)の自己紹介

私が総支配人・総料理長を務める「神戸北野ホテル」は1992年に完成しました。1995年、阪神淡路大震災の影響により休館することになりましたが、2000年に「都市型オーベルジュ」という形で再開してから22年が経ちます。師匠から受け継いだ「世界一の朝食」を提供しているホテルです。
最近は料理人としてキッチンにも立つ以外に、「海が砂漠化している」という昨今、海の資源が枯渇するのを料理人として歯止めをかけたいと思い、世界と連携しながら活動しています。もし海の魚がいなくなると漁師さんも、料理人も立ち行かなくなりますよね。魚は大切な日本文化。たとえば、京都には450年も続いている料亭がありますが、そんなに老舗が数多く残る国は他にありません。日本の食文化や食の芸術などを、後世まで残していきたいと取り組んでいます。
https://www.kobe-kitanohotel.co.jp/

【ゲスト】廣瀬俊朗さん(株式会社HiRAKU 代表取締役/元ラグビー日本代表主将)の自己紹介

HiRAKUという会社をつくって活動しています。
HiRAKUでは“ひと”や‟もの“の可能性をひらく活動をしています。
組織の可能性をひらくきっかけ作りとしての企業講演や研修、学校訪問などをはじめ、 色々なラグビーをひらけたものに皆でしていくために、「One Rugby(ワン・ラグビー)」というNPOを立ち上げ、ユニオン(15人制)、セブンズ(7人制)、車いす、ブラインドなどのいろんなラグビーがバラバラに活動するのではなく、ひとつになってお互いのラグビーをサポートし合えることを目指しています。
また、2019年に日本で行われたW杯で何ができるか、ということを考えた時に、海外から来た選手・お客さんにおもてなしをしたいと思い、相手国の国歌・アンセムを日本人も一緒に歌う「Scrum Unison(スクラムユニゾン)」をやりましたが、相手の国を認めリスペクトする活動を通して、みなさんに多様性の素晴らしさを感じてもらう機会がひらけたのではないかと考えています。
食関連で言うと、昨年はリーグワンの数試合でキッチンカーを出店しました。そこでは「ベンチ野菜のおみそ汁」として、具材の中に規格外などの理由で流通されない野菜を「スターティングメンバ―には入れなかったベンチ野菜」と呼び、一緒に食べる体験を通して、普段なら捨てられてしまう野菜の可能性をひらけたのではないかと思っています。
今も“なにか“の可能性をひらくために様々なことに挑戦しています。
https://hiraku-japan.com/

【本日の「おむすびと味噌汁」のご紹介】
EAT&LEADトークサロンの会場では、薬師神さんがゲストの2人にちなんで考案した「おむすびと味噌汁」が参加者へ振る舞われます。今回のメニューはこちらでした。
●たっぷりマッシュルームの洋風旨味むすび
●とうもろこしのフランと味噌バタースープ

おむすびは、山口シェフが修業時代にまかないとしておかかと塩昆布のおにぎりを食べていたという思い出から着想を得た、シーチキンとマッシュルームの炊き込みご飯に塩昆布をプラスした1品。海苔は、神戸北野ホテルでも愛用中の、山口さんセレクトのおいしい明石海苔を使用しています。

味噌汁は、甘いとうもろこしの茶わん蒸しを入れ、その上にマグロ節ととうもろこしの芯で出汁をとった味噌汁をかけたお椀。廣瀬さんの「ベンチ野菜」の活動に紐づいたとうもろこしと、その活動とコラボしているマルコメの味噌「糀美人」で作りました。

このおむすびと味噌汁が参加者すべてのテーブルに行き渡った頃、いざ、パネルトークが始まりました。

いよいよ‟パネルトークの時間”。テーマは「つながり合う個性―現代のリーダーシップ・チームビルディング」

ファシリテーターの薬師神さん、ゲストの山口さんと廣瀬さんによるパネルトークは40分間にわたり、とても奥深い会話が繰り広げられました。ここでは、司会者が発した3つの問いかけ「ベストなチームとは?」「チーム作りのプロセスについて」「今の時代に求められるリーダーシップ像とは?」へのそれぞれの回答をご紹介。三者三様の話の中に、より良いリーダーシップ・チームビルディングへのアイデアがぎっしりと詰まっています。

──「ベストなチーム」とは、どのようなものだと思いますか?


廣瀬さん:ただ仲の良いチームではなく、真に信頼し合える関係を築けるかどうかが大切だと思います。チームとして目指す場所に対して、皆が共感し、自分たちのオリジナルのやり方で突き進めるチームが良いチームなのではないかと。ラグビーをやっていた頃、多国籍な集団の中でどうやったらひとりひとりが力を発揮できるのだろうかと考えてみた時に、信頼で結ばれた人間関係を作ることがすごく大切だと思いました。

山口さん:私が料理人になったのはずいぶん昔のことで、当時はチームワークというより、シェフについていく、シェフの言う通りにしていればいいという時代でした。だから、これまではあまりチーム作りについて考えたことがなかったのですが、今の時代、俺の言う通りにやれ!と言えば、後ろに誰もいなくなりますよね。今、チームについて思うところは「料理を作るのと一緒だ」ということ。料理の素材にはいろんな個性があり、アクが強いもの、煮ると崩れてしまうもの、煮ても全然火が通らないもの…それらの個性を殺すのではなく、個性を生かすと唯一無二の料理ができ上がります。それをチーム作りになぞるなら、1人ずつの個性がしっかりと生きているチームこそ、最高の仕事ができるチームなのかなと思います。

薬師神さん:私が考えているのは2つですね。1つは、風通しの良いチーム。チームに流れている風を把握することも必要ですし、自ら風を起こすことも大切です。「あの人はこんなふうに考えているのだろう」とお互いを理解し、支え合える関係があるのが風通しの良いチームだと思います。もう1つは、私がスタッフの「どうありたいか」をきちんとフォローアップでき、皆が「どうありたいか」を言葉にできる環境を作ってあげることが重要だと考えています。そのため、日々、スタッフと対話する時間をなるべく多く持っていたい。キッチンの中でも、昨日は何があったとか、仕事中とはいえ他愛ない日常会話をするよう心がけています。

──メンバーが決まった後に、どのようなプロセスでチーム作りをしていくのがいいと思いますか?

山口さん:料理は、逆算していく仕事なんです。料理の完成形はすでに決まっていて、これを作るためにスタッフの作業をいかに組み合わせていくかを逆算して考えていきます。スタッフに対しては、完成形について、お皿ごとのテーマについて、料理の説明をすることが非常に重要です。私は、レストランのテーブルとは‟タイムマシン”とか‟瞬間移動装置”のようなものだと思っています。生産者さんとか歴史とか、そういった料理が生まれた背景をしっかりと共有した上で、料理を作り始めます。昔は「この料理を作れるのは、この人しかいない」というのが料理人の価値だったので、一子相伝で門外不出なんてことがあるくらい、ルセット(レシピ)はなかなか教えてもらえないものでした。私の場合は絵を描き、皆がわかりやすいように説明しています。今の時代は、人よりもどれだけ情報を早く出せているかということが問われます。皆にわかりやすく説明できる人が優秀なシェフであり、良いチームを率いることができる人だと思います。


薬師神さん:「unis」に関して言えば、料理人が接客まで行うため、料理を納品して終わり、ではありません。「お客さまがどういう気持ちで味わっているか」から「素材のカットは食べやすいか」まで、提供した後までが料理人の仕事です。大きなレストランならサービススタッフがお客さまの様子を報告してくれると思いますが、私たちのような対面式のレストランでは、料理人には相手の感情をくみ取る力も求められてくるのです。「自分はこういう料理が作りたい」という思いの先に、どういう料理を、どういう風に、どういう方々に召し上がっていただきたいかまで思い描き、作ってほしいなと思っています。とはいえ、言葉で伝えることが得意な料理人もいれば、作る方が得意な人いますし、場の雰囲気を和らげてくれるスタッフもいますので、各自の個性を踏まえた上でポジショニングを考え、この日はこの布陣にしよう、という形でやっています。

廣瀬さん:先ほどの話と重なるところがありますが、チームを作っていく上では、やはり人間関係が大事だと思っています。どういうことに関心があるか、将来はどうなりたいのかなど、「人を知る」という最初の土台作りにはものすごく気を使います。山口シェフから「料理は逆算」とのお話がありましたが、私たちの場合は、皆でここにいきたいというチームの軸(目標)を共有し、確認する場を事前に作ることが欠かせません。また、リーダーとしてはゴールを目指す間に、皆にいかにワクワクしてもらえるかということもすごく気にしていますね。

──若い世代の考えていることがわからないという場面に遭遇することがあると思いますが、今の時代だからこそ求められているリーダーシップ像とはどのようなものでしょう?


薬師神さん:私は以前、辻調理師専門学校で先生をやっていましたが、若い世代の人に「あれができるようになったんだ」と褒めると、それしかやらなくなってしまうのです。最近は夢がない人も多くて、時に「夢には保証があるんですか?」って聞かれたりもして、なるほど保証がある夢しか追わないのかとびっくりしたこともありましたが、思想と嗜好の違いで、こうしなければいけないという理想へ向かうマインドコントロールがある一方、自分本来の嗜好というものもありますよね。その人なりの嗜好に少しでも気づいてあげて、実は君にはこういう方が向いているんじゃないとか、褒めてあげるよりも‟気づき”を与えてあげる方がその人の明日につながるのかなと思います。

山口さん:今の時代に求められているリーダーシップ像、むしろ私が皆さんに教えていただきたいところですね(笑)。でも、若い頃、フランスへ料理の修業に行った時に感じたことがあります。日本人には儒教的な考え方があり、ピラミッドの頂点を目指すためにこうあるべきだというルールをつけたがります。でも、海外の人にはそんなルールはなくて、破天荒というか、個性の塊でした。いろんなトップシェフに会えば、1人ずつ何もかもが違うのです。西洋の人たちは自己完結型で、自分をどう作り、どう磨いていくかを大切にしているのだと思います。たとえば旅行の仕方を考えてみると、美術館に行ってピカソやシャガールを観たら、日本人は有り難いものを見せていただきましたと拝んでしまうような傾向がありますが、西洋の人たちは、ピカソとは何か、シャガールがどんな人かを事前に調べ、体験しに行くのです。そして、その体験を自分の知識に変えていく。そういった意味で言えば、私らの世代からすれば、今の若い人たちはどちらかというと西洋的というか、自分をどうマネジメントしていくのかということに重きを置いているのかなと感じます。だから、むやみに「こうしろ」とか「裏側を読め」とか言うのではなく、ダイレクトに対話した方が伝わるのかなと、今はそういう風に考えています。

廣瀬さん:私にとってリーダーシップとは、メンバーの能力、個性に応じて、自分を変えていけることだと思っています。右も左も分からない子どもに「どうするか」と聞いても意味はなくて、「こういう考え方もあるけど、他にあるかな?」と一歩寄り添うことが大切です。上から下へ一方的に押し付けるのではなく、こちら側が自由自在に対応できる姿勢でいないとなりませんよね。私の会社の場合は、それぞれがアイデアを持ち、勝手に面白いものが生まれているので、いわゆる先頭に立って引っ張るリーダーシップは必要ありません。 リーダーは「皆と一緒にここにいきたい」「自分はこうありたい」と示しておく必要がありますが、そのためには、自分に問いかけ、自分を知る、ということがとても重要だと考えています。

第一線で活躍する料理人、元アスリートの経営者、それぞれ背景も世代も異なる3人のリーダーのパネルトークは、その人ならではの視点でお話を伺うことができました。

次は‟ワークショップの時間”。テーマは「チーム内のコミュニケーションにおいて、悩みや迷い、いま考えていること」

「EAT&LEADトークサロン」の後半は、登壇者たちと参加者の皆さんのチームワークが試されるワークショップの時間。全員が自分の属するチームの悩みを共有し、他の人の悩みにアドバイスを考え、皆さんの意見に耳を傾けていきます。自分はチームとどう向き合っていけばいいか、明日から一歩踏み出すためのヒントを交換し合う企画です。

【ワークショップの流れ】
1:全員にカードを配布。
カードの表面に、ご自身の「チーム内のコミュニケーションにおいて、悩みや迷い、いま考えていること」(チームの悩み)を記入します。
2:カードを回収し、再配布。
他の人が記入した「チームのお悩み」に対し、カードの裏面にアドバイスやアイデアを書き込みます。
3:表裏の記入が終わったら、発表。
1人ずつ順番に、他人のお悩みと自分のアドバイスを読み上げていきます。

発表は、薬師神さんから、参加者の皆さん、廣瀬さん、山口さんの順で進行。全員の発表を通じて見えてきたのは、主にこのような悩みでした。

【主な「チームの悩み」】
●考え方も価値観も違うメンバーが集まったチームのまとめ方。
●個性の異なる他のメンバーと上手くコミュニケーションを取る方法。
●リモートワークにおけるチーム作りの壁。
●理解し合えないリーダーの下で働くことの難しさ。
●世代間ギャップへの戸惑い。

「チームの悩み」に対する皆さんのアドバイスには、このようなものがありました。ごく一部だけをご紹介します。

【皆さんのアドバイス(一例)】
●日々のコミュニケーション、対話が大切。
各メンバーの長所や得意を言い合ってみる、日常会話から関係作りをしていく、相手の好きなことに自分も興味を抱いてみる、メンバーに手紙を書いてみる、など。

●オンラインの利点を見直してみる。
オンラインは、リアルではつながれない人とも出会える可能性がある。多様性のある考え方を吸収することは個人の成長につながると思うので、いつものメンバー以外に”自分の会社を前提としない”つながりも、オンラインを活かすことで持てると良いのではないか。

●世代は、様々な個性の集まり。
相手との違いを世代間ギャップとは思わず、その人の個性として捉えた方が良い。リーダーはチーム全員が‟体験できる”環境作りをし、良い方向に導くことだけを考えていれば、自然と雰囲気が良くなるのではないか。

●リーダーはチームの目標を明確にする。
目標に向かってメンバーが心をひとつにし、それぞれが力を発揮し、きちんと自分の仕事をしてくれるチームであることが大切。そこにリーダーの求心力が求められると思う。

ワークショップの終了後、廣瀬さんの第一声は「皆さん、すでに答えを持っているじゃないですか!」。そして、「体験したことは自分の知恵になり、人生を面白くしてくれる。今日のイベントでの体験も、皆さんの今後のアクションにつながってくれたら嬉しいです。わからないことにもチャレンジし続ける、そんな姿勢でいると良い未来へつながっていくと思います」(廣瀬さん)と言葉をつなぎました。

薬師神さんからは、「SNSもありますし、コロナを経て、むしろ、人とつながりやすくなったと思います。そんな時代だからこそ、自分なりの意見を持つこと、他人の意見を受け入れる余白を持つことがどちらも大事なのかなと思いました。本日は、リアルな場ならではの熱い温度感の中、お土産以上の財産となる言葉と出会うことができました」という締めの言葉がありました。

最後に山口さんのコメントは、会場の参加者からの質問があった「これまで、どん底を味わったことがありますか?」に対する回答をご紹介します。この回答をご覧いただけば、こんなリーダーの下で働きたい、と思ってしまうかもしれません。

「トップを取ってやる!とフランスへ修業に行き、1992年に神戸北野ホテルのシェフになりましたが、1995年、阪神淡路大震災のたった7秒間の揺れですべてを失いました。勇気を振り絞り、どうにかやり直すことはできましたが、その時に『こんな苦労はもう二度と嫌だ』と思ったら、その後、リーマンショックが来て、新型コロナウイルスまで、もう試練の連続。その都度、いろんなものを失くしました。でも、自分の経験を皆さんに話して、生かしてもらう、私にはそういう役割があるのかもしれませんね。いくら失ったとしても完全にゼロになることはなくて、また新たなステージに進めましたし、痛みにも徐々に慣れてきました。人生の中には『成功した』という時点もあれば、知らず知らずのうちに悪い方に向かっていることもあるんですね。だから割り切って、波乱万丈のお芝居を演じていると思えば、人生は楽しい。この先にハッピーエンドが待っているんじゃないかと思えば、どん底ばんざい、です」(山口さん)


「EAT&LEADトークサロン」今後の開催予定

【第5回】2022年11月8日(火)「土地とつながる食」
ゲスト:井上稔浩さん(pescecoオーナーシェフ)×  中村孝則さん(コラムニスト)
【第6回】2023年1月24日(火)「食の価値観から見える未来予測」

ゲスト:naoさん(JULIA Executive Chef)× 諏訪綾子さん(アーティスト/food creation 主宰)

>>参加者募集中!お申し込みはこちらから
https://shokumaru.jp/talk_02/


>>今回の動画視聴はこちら!
第4回「つながり合う個性―現代のリーダーシップ・チームビルディング」

●ダイジェスト映像(終了後の一言コメント付き)

●アーカイブ映像

*いずれの動画もパネルトークのみご視聴いただけます。

 

PAGETOP