旬のシェフズランチ11 一夜限りの「羅臼祭」
『一夜限りの「羅臼祭」』は、知床らうすの海洋深層水を使用した焼酎『グランブルー』にらうす昆布を浮かべたお酒での乾杯からスタート。特別限定メニューを提供している『イーヨ!! yokocho』9店舗で味わえる、海の幸をふんだんに使い、ひと工夫を凝らした料理がずらりとカウンターに並んだ。『Maison kayser Cafe』の「羅臼昆布締めした牛ハラミのグリエ サラダ仕立て」など、和食だけでなく、洋食とのマリアージュも見どころ&味わいどころのひとつ。
各店舗で展開中の特別メニューの紹介が終わると、今宵限りの”羅臼の幸”料理に舌鼓。いくらを贅沢に使った「いくらと鮭節の雑穀おにぎり」、「するめいかのフリット」、「ぶりのソテー レモンソース」などのほか、羅臼町女性部の方々が朝から仕込んだ「つみれ汁」や「お鍋」など、地元の料理も振る舞われた。
「お姉さん、いい昆布の見分け方、知っているかな?料理人だけじゃなくて、一般の方々にも『らうす昆布』の素晴らしさを知って欲しいんです」と、イベント参加者に語りかけるのは、羅臼天然昆布部会長の井田一昭さん。大胆にディスプレイされたらうす昆布を手に取りながら、いい昆布の見分け方、昆布漁の話、出汁のとり方を丁寧に教えてくれる。
「羅臼の昆布は天日干ししたあと、熟成させる”奄蒸(あんじょう)”という作業を20回以上もやるんです。そうすることで、旨味が出る!それだけ手間がかかった昆布なの」と、漁から出荷までの過程も教えてくれた。そして「漁師はね、白く粉をふいた昆布を選びます。この粉が旨味成分なんですよ」。黒々とした綺麗な昆布こそ、旨い!と思いがちだが、本物を知る漁師たちは違った見方をすることも教えてくれた。
「羅臼の昆布は本当に旨味のある出汁が出て、薄っすらと綺麗に濁るんですね。超一級品だから、あんまり海外なんかには紹介したくないぐらい」と、有名シェフたちが大絶賛する『らうす昆布』。イベント会場には、恵比寿笹岡の笹岡隆次氏や、日本の料理人たちを育ててきた服部幸應先生の顔も。らうす昆布を手でパリっと割り、小さくして、そのまま口へ含む。しっかり噛みしめて、らうす昆布の旨味を味わいながら漁師や羅臼女性部の方々と”海の幸”の魅力について語り合っていた。
また、「知床山系から流れ込むミネラルが豊富な河水、そしてシベリア・アムール河から流れ着く豊富なプランクトンが付着した”流氷”が漁場を支え、私たちを元気にしてくれるんです。」とも。東京で暮らす人たちには、なかなか触れる機会がない日本の各地で採れる食材の数々。日本最北に位置する世界自然遺産・知床半島の羅臼町で採れる”海の幸”に触れることで、日本の食文化の豊かさを再確認する夜となった。