青空市場×丸の内マルシェ
今回のマルシェで一番の賑わいをみせていたのが京都の老舗料亭「紫野和久傳」のブース。無農薬の京野菜というとこで、女性のお客様がたくさん来ていました。京野菜は伝統野菜の中でも一番の人気の野菜。東京ではなかなか手に入らない京野菜を、しかも和久傳がお店で使っているのと同じものを!グルメ感度の高いお客様には、こんなにうれしいサプライズはありません。
所狭しと京野菜が並ぶ和久傳のブース
「私たちは、一生懸命頑張ってらっしゃる農家さんを心から応援したいだけなんです」とおっしゃるのは女将の桑村綾さん。この京野菜は、和久傳が生産者さんのところに行って、本当に無農薬で栽培されているか、実際に目で確かめているものだとか。
目の前で丹誠込めて野菜作りに励んでいる生産者さんの真摯な姿を見て感動した桑村さんは、その農作業の苦労を”収穫という喜び”に変えるパワーにどんどん惹かれていったそうです。
「農業はほんま大変なんです。今回も野菜を提供してくださった山田ファームさんに”丸の内マルシェに出品してはどうですか”とお誘いしたのですが”1日たりとも畑から離れられない”ということなので和久傳が販売する、ということで出品してもらったんですよ」
京都と言えばお漬物。代表的な葉物からひょうたんのような形をしたかぼちゃまで、バラエティ豊かなラインアップ。
今日だけではなく、明日も、明後日も自分が作った野菜を待っているお客さんのために、日々の努力を積み重ねている生産者さん。彼らの努力と野菜たちを守り、そして多くの方々に知ってもらいたい。そんな熱い想いを語ってくださった桑村さんの瞳はとても輝いていました。
桑村さんの計らいで、祇園豆(いんげん豆の一種)をいただいたのですが、その味はとても甘く、懐かしい青々とした香りが口のなかにほんのり広がりました。野菜は本来みんな生で食べられるものなのだ、と感じることができるのもマルシェだから。野菜を通して生産者さんと会話できるマルシェの醍醐味を感じた瞬間でもありました。
京野菜と一緒に。和久傳のスタッフ
紫野和久傳 丸の内店
〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-3-1 新東京ビル1F
☎03-3240-7020
前回は丸ごとトマトのカレーが大盛況だったAWキッチン。今回は、新潟産の米茄子を丸ごと大胆にトッピングした茄子カレーを販売しました。ものすごいインパクトです。
「この茄子は普通の米茄子に比べて大きいものです。今回も野菜本来の味を食べて欲しいと思い、素揚げした茄子を大胆に入れてみました」とにこやかに語るのは、シェフの桜木武士さん。
茄子は油との相性が良いと言いますが、私たちが作ると茄子が油を吸いすぎて油っぽくなってしまう事が多いのですが…。
「素揚げした茄子を一旦オーブンで温め直すと、余分な油が抜けおいしく食べられますよ」と野菜を知り尽くしたシェフならではの技を教えてくれました。
器からはみ出してしまうくらい大きい米茄子!ちょっと辛めのルーとの相性はバッチリです。(左)AWキッチンの桜木武士氏(右)
「以前は、野菜は肉や魚介類などの引き立て役で使うことが多かったのですが、今はどうすれば野菜そのものの良さが引き出せるのかいろいろと検討しています。野菜のおいしさを表現するために肉や魚介類がある。発想が逆転しましたね」と面白いご意見も。
「今、AWキッチンではハーブやスパイスに注目してます。どの野菜にどのハーブやスパイスが合うのか、いろいろとプレゼンテーションしますし、ご家庭でも使える技をどんどんご紹介していきますので楽しみにしていてください」
日本人には馴染みが薄いハーブとスパイス。畑の伝道師がどんな魔法をかけてくれるのか、楽しみですね。
キッチンカーのそばにはいろんな種類の茄子が並んでいました。中には、めずらしい白茄子も。
AWキッチン 新丸ビル店
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビルディング5F
☎03-5224-8071
今回のキッチンカーのもうひとつの目玉は、なんと香港飲茶界の老舗「福臨門」が参加したこと。
「”本当にあの福臨門ですか!?”とお客様に何度も聞かれました」とご担当者様。確かに、福臨門さんはマルシェやキッチンカーに縁遠いイメージですが…。
「福臨門は、香港の家庭料理が原点で、身近なものだと知っていただきたい」との思いで出店されたそうです。
このジューシーな餡はオイスターソースで甘辛く煮たもの。ほんのり甘い皮との相性も抜群です。
今回は、福島県会津市とのコラボレーションで、麓山高原豚を使った「チャーシュー饅頭・会津スペシャル」と、会津の伝統野菜である会津小菊かぼちゃを使った「小菊かぼちゃの冷たいお汁粉」の2品を販売。
「麓山高原豚は、香港のシェフも納得する味でしたが、小菊かぼちゃは香港にはない形や色だったので、点心チームはみんなビックリして大騒ぎでした」と、新しい食材との出会いのエピソードも語ってくれました。
チャーシュー饅頭をお買いあげのお客様。にっこりと顔がほころびます。
「福臨門は、高級で、国産の素材を使っていないのでは?というイメージがあったので、今回のマルシェを通して、このイメージを払拭し、もっと身近に感じてもらえればと思っています。今回、お客様の反応や多くのご意見をいただいて、とても勉強になりました。マルシェはいろんなお客様と触れあえる場なので、大切にしていきたいですね」
普段の営業では触れあえないお客様との新しい出会いが生まれるのも、マルシェの醍醐味でもあります。
これが香港のシェフを驚かせた会津小菊かぼちゃ。お汁粉はさらっとしていてかぼちゃ本来の甘みが味わえます。
福臨門魚翅海鮮酒家
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-4-1 丸ビル 36F
☎03-3283-2002
今回の丸の内マルシェは、大盛況!11時のオープンからたくさんのお客様が来てくださいました。ランチ時になると丸ビル周辺にお勤めの方々も、お財布片手にやって来て、会場は一気に盛り上がります。たくさんのお客様でにぎわっているマルシェの様子を見ていると、女性のお客様がとても多いことに気づきました。しかも、若い女性のお客様が!比較的女性のお客様が多い丸の内マルシェですが、近ごろのヘルシー嗜好の高まりでしょうか。野菜をたくさん買って行かれる方が多かったのが印象的でした。
生産者の皆さんも「丸の内の女性は、食に対する意識が高いですよね」「他のマルシェに比べて若い女性が積極的に質問をしてくれるんですよ」とその感度の高さに感心していました。恋も仕事も頑張る丸の内ワーキングウーマンの元気の源は、おいしいものを探求するパワーから来ているのかもしれませんね。
ランチタイムが終わる頃、丸の内エリアのシェフたちの姿がありました。海外で料理修行をされたシェフ達には、マルシェは思い出の場所でもあり、生産者さんと実際に話して、良い食材を見つけられる勉強の場でもあるそうです。海外修業時代の懐かしい体験が、丸の内で出来るとあって、積極的に足を運ぶシェフも。これも周辺にレストランの多い丸の内マルシェならではですね。
実際に素材を手にとって見られるマルシェは、シェフにとっても魅力的。忙しい仕事の合間を縫ってでものぞいてみたい場所なのです。
銀座寿司幸本店 主人 杉山衛氏
野菜を吟味されていた銀座寿司幸本店の杉山さん。「生産者さんのこだわりを理解しようと、みなさん訪れてくれ、中でも女性の関心が高まっているのが見ていてうれしいですね」
レストラン・モナリザ シェフ 河野透氏
ご実家が農家を営まれているモナリザの河野シェフは「やはりその地方でしか採れない野菜は興味あります。マルシェは毎日あると作る側もやりがいが出てきて、良い相乗効果になると思いますよ」とアドバイス。
レストラン・モナリザ シェフ 柴田 秀之氏
河野シェフと一緒に見えたモナリザの柴田シェフは、普段からマルシェには足を運ぶそうです。「ネットで探すよりも、マルシェに行った方が収穫が大きいですね。見たことのない食材を生産者さんから直接教えてもらえるマルシェはもっと開催してほしいです」
レストラン・モナリザ シェフ 岩田氏
同じくモナリザの岩田シェフは「マルシェは自分で食材を選べるのが魅力。良い勉強にもなるし、食に対する責任感が一層まします。情熱的な生産者さんだと、その情熱に応えたい!という気持ちになって、さらに力が入りますね」
イル ギオットーネ オーナーシェフ 笹島保弘氏
京都から駆けつけてくれたイル ギオットーネの笹島シェフは、丸の内カフェeaseで開催されている米粉を使ったランチ企画にも参加されました。
「米粉のパスタは、日本人好みの食感ですね。麺タイプもいいけど、ショートパスタとの相性もいいので、ぜひ商品化してほしいですね」とランチ企画の感想をいただきました。
「僕たちも店ではどんなお客様が、どんな感じで食べているのかうかがって、日々勉強しています。マルシェは、我々で言うお店のようなもの。お客さんの反応をダイレクトに見られるのは生産者さんのモチベーションも高まっていいと思います」