丸の内がつなぐ 都市のグリーンなライフスタイル! ?東京で作ろう、食べよう!安心・安全な“食”?
三菱ビル1階 エムプラスにて、青空市場×丸の内マルシェと連動したトークセッションが開催されました。まずは、独自の手法で環境コミュニケーション活動を続けるGREENSTYLEと、生産者と消費者、レストランの三者のコミュニケーションを図り、都市における食に関する問題に取り組む三菱地所が、今回の企画を生み出すベースとなった成果と背景を紹介。その後、都市の”食”について真剣に考え、実際に行動を起こしている5名のパネリストたちが登場し、江戸東京・伝統野菜の歴史や作り手の努力、さらにそれを丸の内から発信することの重要性について語り合いました。参加した多くの方々もパネリストの言葉に熱心に耳を傾け、中にはひと言ひと言メモする人も。まだまだ知られていない東京の食の魅力を発見できる有意義なひとときとなりました。
持続可能なライフスタイルの実現を目指すネットワーク、GREENSTYLEのプロデューサー・中村正明氏の挨拶からトークセッションがスタート。「現在の東京の食料自給率は1%。東京で地産地消と聞くと『いやいや、ムリでしょ』と思われる方も多いと思いますが、実は東京でもおいしい野菜が作られているんです。『東京やさい』に興味を持つことで食料自給率を上げ、持続可能な社会の実現を目指していきましょう」
東京農業大学発の学生ベンチャー企業『メルカード東京農大』は、アマゾン河流域で栽培されているカムカムを使った商品の販売を手がけている。このカムカムの栽培指導&普及を行なっているのは、同大学OBの鈴木孝幸さん。現地の農民たちの主要な現金収入が麻薬コカインの原料”コカ”栽培によるものであるという現実を目の当たりにし、農民からコカを切り離し、豊かな生活を…、と考えたのがきっかけだったという。「カムカムがコカに代わる換金作物となるよう、我々はカムカムを輸入して商品開発やレシピ開発、販売を行なっています。またOB・OGが生産したものを学生が販売することで、”生産者→東京農大→消費者”という新しいチャンネルを開拓したい」と豊原秀和氏。
「都市に住む人は感動に慣れていて、感動する機会があまりない」と三國清三シェフ。『ミクニマルノウチ』をオープンさせるとき、「では丸の内のお客さまを感動させるためにはどうしたらいいか?」と考えてたどり着いたのが江戸東京・伝統野菜だったという。「東京産の食材はみずみずしく、本当に味がいい」とその魅力を語るとともに、「素晴らしい食材を多くの人にPRすることこそ料理人の最大の使命。我々が宣伝マンになって江戸東京・伝統野菜を丸の内から地方に広めたい」と。
「かつての東京(江戸)は田園都市だった」と語り、今なお東京で作られている江戸東京・伝統野菜の魅力をスライドショーを交えて解説してくれた大竹道茂氏。「江戸東京・伝統野菜は、江戸から東京にいたる歴史の中で市中や近郊で栽培され、江戸・東京市民の食生活を支えてきました。『江戸時代から続く伝統を消してなるものか!』という思いで栽培が難しく、大量生産に向かない伝統野菜を作り続ける、あるいは復活させている志の高い生産者が東京にいることをぜひ知ってほしい」。
農家の方がマルシェに参加するのは大変な労力が必要。でも、小坂良夫氏は「息子や娘が一緒に手伝ってくれる。私と家内が作った野菜を子どもたちがプライドを持って売ってくれる。マルシェを通して家族がひとつになれます」と。そして最後に、「同じ空でも広さがちがいます。ぜひ私の畑に来てください。私の畑を見てください。今日は本当に感動しました!」と力強く締めくくった。
高野克己氏曰く「酸っぱいものを食べられるのは人間だけ」なのだとか。「味覚は、先代たちが実際の経験をもとに培い、我々に継承してくれたもの。でも、現代の人々は安全に慣れすぎていて感覚や嗅覚、味覚が鈍ってしまっています。また、人に食べられるために生きている生物なんていない。いつの時代も”食”に対する感謝の気持ちを忘れてはいけない」。それを再認識し、都市生活者が行動を起こすことが、日本の農家を元気にすることに繋がると力説。