服部幸應の食育のツボ06「安心できる食材選びのポイント 魚編」

四方を海にかこまれた日本は、海の幸にめぐまれた島国です。季節や場所によって多種多様の魚が獲れ、古くから日本人の食卓を支えてきました。しかし、都会を中心に魚食の回数が減り、町内から魚屋さんの姿が消えてしまいつつあります。また、切り身となってスーパーマーケットで売られている魚が、本当の魚の姿だと思っている子どもがいるのも現実です。昔では考えられないことですが、だからこそ小さい頃から食育を通じて、魚食というものに慣れ親しむ必要があると思います。

Q どんな魚を選べばいいのですか?

 魚を選ぶ時のポイントは新鮮な旬の魚を買うことです。旬の魚であれば値段も手ごろですし、養殖や冷凍加工など、人の手を加える機会が減るので、それだけでも不安要素が減ります。旬の魚でなくても、スーパーマーケットなどに並べられているパッケージの表示は必ず確認しましょう。確認するのは次の5点です。「いつ獲れたものか(賞味期限)」「どこで獲れたものか(漁獲水域)」「天然か養殖か」「解凍か冷蔵か」「刺身用か加熱用か」。分からない場合は魚売り場の店員さんや、町のお魚屋さんに直接聞いてみましょう。現在、魚を販売する際には、これらの記載が義務づけられています。とくに「いつ獲れたものか(賞味期限)」「刺身用か加熱用か」の部分は入念なチェックが必要です。これを間違えると食中毒などの原因となります。どんなに新鮮に見えても、全ての魚が生食用とは限りませんので注意が必要です。

Q 魚には脳の働きを活発にする効果があるといいますが本当ですか?

 魚は総じて、良質のたんぱく質、カルシウム、ビタミンA、D、鉄分、ナイアシンなどが豊富に含まれており、非常に健康的で栄養価の高い食べ物です。イワシやサバといった、いわゆる「青魚」にはIPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が含まれており、これらは脳の発育や動きを活発にする作用があります。欧米では肉類の摂取量が多く、生活習慣病を引きおこす原因だと言われており、日本では魚を積極的に食べることが学校給食の現場などでは奨励されています。しかし、海洋汚染などのために、魚にはダイオキシンなどの有害物質が含まれている場合もあります。イワシやサンマ、アジのように寿命が短く、主にプランクトンを餌とする小型の回遊魚は、有害物質の蓄積も少なく安全性は高いと言えます。これに対して、同じ回遊魚でもマグロなどの長命で大型の魚、同じくタイやスズキなどの近海魚は、場所によってはダイオキシンやメチル水銀などの有害物質に汚染されているおそれもあります。いずれにしろ、どこで獲れた、どんな魚なのかを理解して食べることが必要です。

Q 魚は日本人の理想的な献立といいますがなぜですか?

 食の欧米化にともなって、生活習慣病が話題になっています。これらを防ぐためには、肉、乳製品、卵などの動物性食品を減らすこと、油脂と砂糖の摂取をできるだけ減らすことが必要だと言われています。米を主食に、季節の野菜や海草、魚類を食材とする伝統的な和食はこの条件にかなっており、栄養バランスのとれた理想的な食事といえます。魚だけではく、わかめ、昆布、ひじきといった海藻類も頻繁に摂取しましょう。また、カツオや昆布などの出し汁には、人が「おいしい」と感じる「うま味」成分が含まれています。既製品のうま味調味料ではなく、出し汁のおいしさを手掛かりにして、酸味や苦み、素材を生かした和食の奥深い味を、子どもの頃から舌に覚えさせておくのもいいでしょう。 (服部幸應の食育の本より)

丸の内シェフズクラブ 会長服部幸應

学校法人服部学園服部栄養専門学校理事長・校長をはじめ、医学博士で内閣府「食育推進会議」委員、(社)全国調理師養成施設協会 会長など、数多くの協会や委員会で代表を勤める。また、各メディアへの出演・企画・監修も手がけており、講演活動など幅広く活躍中。