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【イベントレポート後編】HAKKO MARUNOUCHIスペシャルトーク「おいしくてカラダに嬉しい発酵のはなし」

4月22日(土)に開催された、HAKKO MARUNOUCHIスペシャルトーク「おいしくてカラダに嬉しい発酵のはなし」。イベントレポート後半は、なかじさんによるワークショップから始まります。

>イベントレポート前半はこちら!
https://shokumaru.jp/hakko_talk2023sp-1/

なかじさんによる
みんなで作ろう!「ポケット麹」ワークショップ

助野さんの「発酵とは何か?」ミニ講座を通じて、麹への知的好奇心を高めた参加者の皆さま。そんな会場で、次に始まったのはなかじさんによる「ポケット麹」のワークショップでした。

「酒蔵には『麹室』という麹づくり専用の部屋があるほど、麹菌を育てるには温度・湿度の管理が重要です。でも、今日は家庭で麹がつくれる一番簡単な方法『ポケット麹』を体験してもらいます」(なかじさん)。麹菌が成長するのに最適な温度は30~36℃程度。よって、人の体温35~37℃は麹にとって適温で、3日間ポケットの中で麹を育てよう、という提案です。

そして、なかじさんのテーブルに運ばれてきたのは、蒸したてのお米。蒸し米の45℃以下になるまで冷ましたら、菱六もやしの白い種麹を加えていきます。「種麹はボウルの10~15㎝くらい上から3往復ほど、まんべんなく振りかけます。細菌の場合は米粒に1個でもつけば面で増殖していきますが、麹菌の菌糸は植物の根っこ同様に根差すので『米1粒に1胞子』が大事。全部の米粒に1個ずつ胞子がつかないとダメなのです」(なかじさん)。蒸し米に種麹を混ぜ終わったら、あとは小さなビニル袋に入れ、参加者全員に配りました。

ポケット麹の作り方
1日目:24時間ポケットで温め、ときどき揉む、裏返す
2日目:酸素供給。ときどきビニル袋の口を開けて、揉む(3時間毎)
3日目:50~60時間後、完成

「特に難しい工程はないので、これなら自宅でも気軽にできそうですよね? お配りした麹はできるだけ3日間、肌身離さず持っていてください。今は土曜の14時なので、完成は月曜日の夕方です。ビニル袋を開けてみて、お米の表面が白い菌糸で覆われていたら完成です」(なかじさん)

村上さんによる
旬とうまみを掛け合わせた「発酵ビビンバ」

なかじさんの「ポケット麹」ワークショップを引き継ぐ形で登場したのは、村上さん。ポケットで育った米麹は「塩麹」または「醤油麹」にするのがおすすめだそうで、まずは村上さんがつくり方をレクチャーしてくれました。

その後で、参加者のテーブルへ運ばれてきたのは村上さんの発酵料理です。

村上さんの発酵料理 お品書き
●発酵ビビンバ(旬の野菜を麹調味料で和えて)
●三種味噌のお味噌汁(愛媛・井伊商店の麦味噌/京都・山利商店の白味噌/愛知・中定商店の赤味噌)

「本日は、ご自宅でも簡単につくれるお料理にしようと思って、塩麹と醤油麹を使ったナムルと肉みそのビビンバにしました。にんじんは炒めてから、塩麹と甘酒、お酢を少し加えています。甘酒は甘みを足すため、お砂糖の代わりに使いました。ほうれん草は醤油麹、豆もやしは塩麹とごま油で和えてあります。肉みそには赤味噌と、お味噌汁に使っている3種類のお味噌を混ぜました」(村上さん)

ちなみに、お米は愛媛県西予市産の「にこまる」を使用しているそうです。また、発酵調味料を使ったナムルは、冷蔵庫で3~4日ほど保存できるため、たくさん作り置きしておくと便利とのこと。

「お味噌汁は、つくられた地域も味わいも異なる3種類を混ぜて使っています。そんな使い方をすると味噌屋さんに怒られるかもしれませんが、新たな組み合わせを見つけられて楽しいのです。たとえば、普段から食べ慣れているお味噌に、今までちょっと苦手だった味わいのお味噌を混ぜると、相乗効果で新たな美味しさと出会えることもあります。私は愛媛県出身なので基本は甘いお味噌なのですが、そこに愛知県の赤味噌を混ぜるのが気に入っていますし、各地からお取り寄せし、味噌蔵ごとに異なる様々な菌を体に取り入れるのも面白いかなと思います。ぜひ試してみてください」(村上さん)

締めのトークは、“発酵”とともにある暮らしとは?

「麹」を学び、体験する時間が終わると、いよいよ締めのトークタイムです。日常に「麹」を取り入れるとどんな良いことがあり、取り入れるためにはどうしたらいいのか、私たちの質問に答えていただきました。スライドにリアルタイムで上がってくる参加者からの質問も交え、トークが進行しました。

──日常の中で、皆さんはどのように発酵食を摂っていますか?

なかじさん:僕の場合、味噌の摂取量が一番多いですね。朝、起きた時に、味噌をお湯で溶いただけのものを飲んでいます。仕事の前や午後のブレイクタイムにお湯で溶いたお味噌を飲むだけで、塩分や糖分、アミノ酸やたんぱく質が摂れて、体が温まり、脳も体も活性化するので仕事がはかどると思いますよ。出汁を入れなくても、お湯にお味噌を濃いめに溶くだけで十分です。

助野さん:私も朝・昼・夜とお味噌汁を飲んでいます。昼の味噌汁は、スーパーで売っている手軽なものに、うちで作ってる「米麹パウダー」を小さじ1くらい入れ、生味噌気分で味わっています。

村上さん:味噌汁は、私も毎日飲みますが、天然醸造のお味噌を入れると旨味が強いので、出汁を入れなくても美味しいですよね。今日、会場でご提供したナムルもお野菜と麹を同時に摂ることができて、腸内環境にとって非常に効果的です。たとえば、5日に一度作って冷蔵庫にストックしておけば、毎日少しずつ食べられます。

──参加者の方からの質問ですが、「発酵食は、エイジングケアにもいいですか?」

なかじさん:味噌汁とか甘酒を飲むと、腸に必要な栄養が入っているので、リラックス効果があります。リラックスすると副交感神経が働いて腸が動き、便通が良くなったり、新陳代謝が活発になるので、エイジングケアになると言えるかもしれません。

助野さん:有名な話ですが、赤味噌は抗酸化作用が高く、白味噌はストレスを緩和させる成分「GABA」を多く含むそうです。麹の量が多いとGABAが多くなるため、甘酒もそうだと思います。甘酒には、抗酸化作用、美白につながる成分も含むことがわかっていますよね。総じて言えば、日頃から「麹」を食べておけば何か良いことがある!で間違いないと思います。

村上さん:私も20代の頃はひどいアトピーでしたが、発酵を取り入れてから、気づけば肌のトラブルがなっていました。料理教室の生徒さんからもそういう声はよく聞きますので、麹で腸内環境が整うと、肌の調子も良くなることを実感しています。

──なかじさんは著書の中で「脳は第二の腸」と書かれていましたが、発酵食は人の健康にどのように作用するのでのしょう?

なかじさん:「脳は第二の腸」というのは、一般的には逆で「腸は第二の脳」と言われています。でも、人の体が形成される上で先にできるのは腸で、脳は後の方にできていきます。動物も魚も鳥も、多くの生き物は、古来、腸が海の中を動いているような筒状の生物が原型です。そんな腸だけの生物に、進化の過程で手足と頭がついていきました。つまり、もともと生物は腸を生かすために生きていたわけで、現代の私たちにとっても腸は非常に大切なものなのです。その点、日本の麹由来の発酵食は、腸そのものと腸内細菌のいずれの栄養にもなる優れた食べ物。腸の細胞や腸壁の新陳代謝を活性化させたり、さらには腸内細菌の餌にもなってくれます。

──参加者から「世界と日本では、発酵させる時に使用する微生物は異なりますか?」という質問もありましたが、いかがでしょう?

なかじさん:海外では、乳酸菌や酢酸菌を使うことが多いと思います。中国、韓国、台湾などの東アジアと、東南アジアの一部ではカビ発酵が盛んで、特に日本は麹カビが中心です。近年、麹の文化や技術が世界中に広まって、ひよこ豆など現地の豆で味噌をつくっているなど、今、日本とは異なる麹文化が海外で生まれつつあります。すごく面白い時代になりましたよね。

──最後に一言ずつお願いします。

村上さん:私は「発酵」と出会ってからすっかり健康になりましたが、体調以上に心が元気になったと感じています。科学的にも心と体の関係性は明らかになっていますが、発酵によって気持ちにも変化があることもぜひ注目していただけたら嬉しいです。また、私は昨年、愛媛県の伯方島に拠点を移したのですが、麹をつくる時に心が落ち着ける場所を整えておきたいと思って、海のそばを選びました。自分らしい暮らし方を見つけることができたのも発酵のおかげです。皆さんも生活に取り入れていただけたら、きっと何かが変わると思います。

なかじさん:僕は、麹を広く伝えていく活動をしていますが、そこには「日本人に麹の存在を知ってほしい」という思いがあります。普段から味噌も醤油も使っているのに、それらが「麹からできていること」や「麹菌とは何か」を知らない日本人が多いと思うのです。自分たちの文化を知るためにも、日本の食文化のベースにある麹というものを知ってほしい。そして、日本に生まれてよかったとか、麹菌って面白いとか、関心をさらに広げていただけたらいいなと思います。麹菌をもっと身近に感じてもらえるよう、これからも頑張って活動していきます。

助野さん:本日は、話を聞いて、食べて、麹をポケットに入れて持って帰って、麹が盛りだくさんの時間を過ごされたことと思います。日常に「麹」を取り入れてみたい人は、手っ取り早くて、取り組みやすくて、敷居が低いものは「塩麹」と「醤油麹」を一度つくってみることだと思います。いつも使っている塩や醤油を「塩麹」「醤油麹」に代えるだけで減塩にもなりますし、美味しくなります。私の家でも塩麹、醤油麹ばかりが使われていて、塩と醤油の出番はほぼありません。それが「麹」を始める小さな第一歩かなという気がしますので、本日をきっかけにしてぜひチャレンジしていたければと思います。

>イベント終了後のインタビューはこちら!
スペシャル“麹対談” 助野彰彦さん×なかじさん×村上友美さん
https://shokumaru.jp/hakko_interview202304/

HAKKO MARUNOUCHI 2023 Spring
スペシャルトーク「おいしくてカラダに嬉しい発酵のはなし」
開催概要
【日時】4月22日(土)13:00~14:30
【会場】MY Shokudo Hall&Kitchen/東京都千代田区大手町2-6-4 TOKYO TORCH 常盤橋タワー3F
【登壇者】株式会社菱六 代表取締役社長 助野彰彦さん/株式会社麹の学校 代表・麹文化研究家・元蔵人 なかじさん/発酵料理家 村上友美さん

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