会話しながらめぐる“量り売り”のマルシェ「丸の内グラムマルシェ2024」開催レポート
上の写真の「つま正」は、「ホテルやレストランなどに野菜を納入している八百屋」だといいます。こだわり野菜のほか、野菜ダシのスープ「飲む野菜ファースト」3種を販売していました。「『飲む野菜ファースト』は飲むだけで手軽に8種類の野菜が摂れる上、根・茎・葉など、カット野菜をつくる際の端材をダシとして活用することでフードロスの削減につながります」
そんな八百屋さんをはじめとする全13店舗が参加した「丸の内 gramme Marché 2024」(丸の内グラムマルシェ2024)は、「食料のロスと廃棄に関する啓発の国際デー」に合わせて9月27日(金)~29日(日)に開催しました。
「丸の内グラムマルシェ」とは、必要な分だけ買う“量り売り”を体験できるマルシェです。そして、会場をめぐるときは“お店の方と会話を愉しむこと”が醍醐味といえます。
これより開催レポートをお届けします!
開催初日、八百屋「つま正」には茨城県「山ちゃんレンコン珠美」の生産者さんも駆けつけ、販売をサポートしていました。「化学肥料不使用で特別栽培のレンコンはアクがなく、酸化しにくいため断面が黒くなりにくいのが特徴です。当然アク抜き不要で、生でも食べられる“フルーツみたいなレンコン”です」
海と山に囲まれた高知県からやってきた「グラッツェミーレ」は、安心・安全な素材にこだわってつくっている「野菜で野菜を食べるドレッシング」を販売。もともとはイタリア料理店で、レストランのメニューで提供していたドレッシングが好評を集め、商品化し、現在は約160種類にものぼるそうです。会長さんにお話を聞きました。
「ドレッシング作りのきっかけは、娘のアトピー性皮膚炎です。料理人として『食』で改善させたいと思いました。ドレッシングの成分は4割以上が野菜で、産地まで足を運んで選んだ契約農家さんの野菜を主に使っています」。料理の道を志した当初は「日本一の料理人になりたい」と思っていたものの、途中で挫折を味わったのだそうです。しかし、現在は「野菜の加工品でミシュランの星を取るぞ」という意気込みで、美味しいドレッシング作りを追求しているといいます。
店長のはるさんが厳選した全国の果樹園のフルーツを揃える「はるセレクション」。店頭にはりんご、洋梨と和梨など秋のフルーツが並び、色とりどりのぶどう(山梨県産)と早生みかん「肥のあかり」(熊本県産)を量り売りすることができました。今回の目玉商品はフランス原産の黒いちじく「ビオレソリエス」や、レモン(リスボン種)と日向夏を掛け合わせた「りのか」。りのかはレモンよりもひとまわり大きく、果皮が薄くて果汁が多い。酸味が穏やかで、料理のほかドリンクの割材に使うのもおすすめだそうです。
「中には、規格外フルーツも扱っています。例えば、このルーベルシードレスマスカットは夏の高温障害の影響で、本来は真っ赤なのに緑がかって色が悪い。あと、こちらのブドウも実が歯抜けになっていますよね。でも、味も品質も問題なく、廃棄してはもったいないので価格を抑えて販売しています」
学生が経営する47都道府県地域産品セレクトショップ「アナザー・ジャパン」では、“徳島特集”を実施。「神山すだち」や「なると金時」(さつまいも)を量り売りするほか、木頭ゆずを使用した寒さば缶、「ゆずBAKASCO」(ペッパーソース)や「NALUTO COLA」(クラフトコーラ)など、魅力いっぱいの徳島商品が並んでいました。
「アナザー・ジャパンでは、学生たちが商品セレクトから仕入れまで一貫して行っています。さらに店舗の商品棚のレイアウトを考えたり、収支を管理したりなど普通ではなかなか経験できないことを体験させていただいています。実際に地域を訪れると、その地域に固有に根付く文化や伝統を残そうと作り手さんたちが様々な取り組みを行っており、作り手さんの想いをもっと東京の人に伝えたいと強く思うようになりました。接客する際も、この想いを上手く伝えられるよう心掛けています」
エディブルフラワーの「お花摘み体験会」を実施していたのは、「ICONIC STAGE marunouchi」。お花摘みを体験すると、お店の看板商品・エディブルフラワーを使った「キューブケーキ」も1つもらえます。
「横浜にある本社ビルの中で、エディブルフラワー(食用花)やハーブ、野菜などを水耕栽培しています。コロナ禍で、ビルのテナントに空きが出たことで生まれたアイデアです」。収穫物でお菓子を作って販売したり、運営するカフェのメニューに活かしているといいます。お花摘みのほかには、水耕栽培したハーブを使った「自家製ミックスハーブスパイスナッツ」の量り売りなども行っていました。
会場外にキッチンカーで出店していたのは「げんき農場」。千葉県八街市で栽培したミニトマト5種類の量り売りと、埼玉県羽生市で栽培したいちごを使った「いちご贅沢削り」(冷凍いちごを削った上に練乳をかけたスイーツ)やスムージーなどを販売していました。「ビニルハウスなどを販売する会社から生まれた農場です。今年からいちご狩りができる観光農園もオープンしましたので、2月頃にシーズンを迎えたらぜひお越しください」
買い物を終えたら、挑戦すべきは「グラムコンテスト Supported by Bio c’ Bon」。はかりを使って、決められた重さ(530g=ゴミゼロ)をぴったり量れたら「ジャストグラム賞」として、フランス発のオーガニック・スーパーマーケット「ビオセボン」のマルシェバッグがもらえるというイベントです。
かくして、お店の生まれた背景や「食」を育む土地、つくり手の思い、そしてフードロスや環境対策など、1軒ずつめぐりながらその向こう側にある物語をお聞きしていけば、会場を一周する頃にはココロも買い物バッグもいっぱいに満たされていました。
次回の開催にもどうぞご期待ください。
「丸の内 gramme Marché 2024」開催概要
日時:2024年9月27日(金)~29日(日)11:00~19:00
会場:丸ビル1階 マルキューブ(東京都千代田区丸の内2-4-1)
主催:丸の内グラムマルシェ実行委員会(三菱地所株式会社、株式会社寺岡精工、一般社団法人青空市場、三菱地所プロパティマネジメント株式会社)
後 援:ニッポンフードシフト、千代田区、千代田区観光協会
撮影/千葉裕子