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【FOOD INSPIRATION】石川雅記 #食品ロス

食品ロスを減らすために、私たちにできることは?

 

そもそも、食品ロス、その定義とは?

主に家庭で発生する「まだ食べられるのに、捨ててしまうこと」を、食品ロスと認識している人が日本では多いのですが、英語では食品メーカーなどで製品を作る上での損失のことを言います。実は世界共通の定義がないのです。作りすぎたり、規格外で出荷できず破棄される農産物、過剰生産で売れ残ってしまった加工品、賞味期限を過ぎてしまった総菜やお弁当、家庭での食べ残しや野菜の切れ端、買っても使わなかった食材・・・。毎年日本では600万トン以上の食べられるものが捨てられていますが、その詳細推計値が確認できるのは、2012年以降。食品ロスが近年注目されていますが、当時から大きく数値に変化がなく、減っても増えてもいない状況です。

早く解決しないと健康被害が出る、といった類の切迫した問題ではありませんが、世界中のみんなの日々のテーブルの上で起きている問題なので、すべての人が対策に取り組まないと、解決できないのです。

しかし、日本の食品ロスの600万トンという数字は、アフリカの数カ国分の食品生産量と同じで、さらに増えていくとなると、日本の米の生産量の約800万トンに追いついてしまいます。日本でも貧困や格差といった問題が注目され、捨てる人がいる一方で食べることに困っている人がいる。それを考えると、このままでいいはずはないですよね。切迫した問題ではありませんが、現状を理解し、問題共有することが大切で、このままでは、この矛盾した状況が続いてしまいます。

 

普段の生活で、私たちができることは?

「記録に残すこと」

家庭で眠ってしまっている食材を学校や自治体の施設、地域のイベントなど人が集まるところに持ち寄るフードドライブという取り組みも広まってきています。そこで集まったものを食べ物に困っている施設や人々に届けるフードバンクに寄付する。こういった仕組みを利用するのも良いですが、もっと簡単にできるのは、自分がどれだけ食品ロスを出しているか認識すること。つまり、記録を残すことです。私が代表を務めるNPO法人ごみじゃぱんでは、神戸、名古屋、仙台で、1カ月間ある調査を行いました。各世帯で食品ロスが出たら記録できるダイアリーを使ってもらったのです。当初はどのくらいのロスが出るかを知りたかったのですが、面白いことに記録をつけることで、食品ロスを意識したのか、多くの世帯で日に日に減っていったのです。

また、食品の在庫管理をきちんとすること。メニューを決めて計画的に買い物しないと、必要のないものを買ってしまい、結局使わずに捨てることも多くなります。しかし、それが難しい。楽しくできるような仕組みやツールができると良いのですが。石川先生率いるNPO法人ごみじゃぱんが調査に活用した「食品ロスダイアリー」。2019年度はアプリを試作し調査を実施

「美味しく食べきる協力を」

外食のシーンでは、言うまでもなく食べ残しを減らすこと。自分が美味しいと思うものを選んで楽しく食べる。量が多く食べられないのであれば、事前に小盛りでお願いする。これは提供側の協力も必要ですね。

例えば、飲食店は、ランチのご飯をデフォルトで小盛り提供するのはどうでしょうか? 大盛りを無料にして、完食するとポイントなどのインセンティブをつける。また、付け合わせも選べるようにし、残すものを作らないようにすることです。ひとつひとつは小さなこと。こういうちょっとしたことで、食品ロスは解決に向かっていくのです。


石川先生の言葉の通り、切迫した問題ではないけれど、解決しなければいけない食品ロス。ひとりひとりが自分が出している食品ロスを認識し、この問題とちゃんと向き合うこと。それだけで600万という数字が大きく変わってきそう。まずはできることからはじめてみましょう。


Profile
石川雅記(いしかわ・まさのぶ)

1978年東京大学工学部化学工学科卒業、工学博士。東京水産大学助手・助教授を経て2003年神戸大学大学院経済学研究科教授 2019年同退職 神戸大学名誉教授 NPO法人ごみじゃぱん代表理事 中央環境審議会、産業構造審議会委員など歴任。

NPO法人ごみじゃぱん
https://gomi-jp.jimdofree.com/

石川先生が参加する「食品ロス削減推進会議」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/conference/


>>食品ロスについて、丸の内シェフズクラブのみなさんが語った記事はこちら
https://shokumaru.jp/2019_soukai/

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