味覚の一週間×エコキッズ探検隊 出張授業 山口シェフの味覚の授業
「食べることの大切さを、生徒たちに知ってもらいたい」。
10月25日、千代田区立和泉小学校で行われた『味覚の授業』。特別授業の先生は、コックコートに身を包んだ、神戸北野ホテル「イグレック・ブリュス」の山口浩氏 。神戸からこの授業のために東京へ。「フランスでは、1992年から『味覚の一週間』というのがあるんです。フランス料理のシェフがいろんな場所で授業を行うイベントとして定着しています。日本でも少しずつ始まったところ。僕も子どもたちに、食の大切さ、楽しみの奥深さを伝えていきたいんですね」と語る。フランスでは、全国民がフランス料理という国家遺産の素晴らしさを再発見、再学習する場として親しまれているが、日本では2011年からスタートしたばかり。世界共通で語られる「味覚」の中に日本食ならではの良さをプラスしながら、各地で有名シェフたちが『味覚の授業』を行っている。
「からい!」「しぶい!」「あまい!」と、次々と元気よく答える生徒たち。今回は6年生の42名を対象に行われたこともあり、かなり活発に手が挙がり、家庭科教室はスタートと同時に盛り上がる。そんな中で、山口シェフは「味覚には5つあって、酸味、塩味、苦味、甘味、うま味があるんだよ。”命を育むため”に発達したのが味覚であって、生きていくために必要なものなんだよ」と教えてくれた。酸味は腐ったものを食べないため。そして、苦味は毒を口に入れないため。「初めて食べる食材を口に入れるときは怖いよね。でも、私たち人間の味覚は、身体にとって悪いものをきちんと”食べたらダメ!”と分かるようにできているんです」。そのため、苦味だけは25種類もの苦味を感じ分けるセンサーがあり、あとの甘味や塩味などは1~3種類ほどしか感じわけるセンサーがないのだとか。「全部で33の味覚センサーが働くことで、みんなは”これはいちごの味”とか、食べたものの味と臭いを一緒に、どんどん味を脳に記憶していくんです」。そして、この味覚に「臭い」「温度」「色」「歯ごたえ」を加えていくことで、食を通して、いろんな感覚が研ぎ澄まされていくと話してくれた。
「基本の五味に、香りや臭いといった風味が加わり、そこに温度や色、歯ごたえを考えながら足していくのが料理なんだね。寒いときに温かいものを食べるとほっこりするでしょ? 同じ食材を使っても温度が変わると食は違う印象として脳にインプットされるんだよね。それが食の経験なの」。また、『食の経験+食べたときの気持ち+食べるときの環境』によって、美味しさが決まるとも。同じ料理を食べても、大好きな人と楽しく食べるのと、その逆では、味が変わり、美味しさも感じられないのだとか。