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おいしい教室~お弁当のじかん~「第4回 シェア」

食育丸の内プロジェクトの一環としてSoup Stock Tokyoの代表、遠山正道さんをホストに連続7回開催されるシリーズワークショップが丸の内で開催されました。
第4回のゲストは「DEAN & DELUCA」を経営する横川正紀さんです。知られざる立ち上げのお話やこれまでの数々の苦労と成功のお話を伺っていきます。お弁当のテーマは「シェア」、生徒さん同士のシェア、作り手と食べ手のシェア、さまざまなシェアが集まりました。

 前半は横川さんのお話を伺っていきます。横川さんはファミリーレストラン「すかいらーく」を創業し経営する元祖飲食経営一家のご出身、4人兄弟の末っ子だったお父さまは業態開発やデザインを手がけていたそうです。当初は東京の国立で「ハンバーグレストラン」としてスタートした「すかいらーく」はその1年後くらいからファミリーレストランと謳いはじめました。当時より、ロゴマークをデザイナーに依頼したり、建物を建築家にお願いするなどこだわりを持って展開されていたそうです。1店舗目は国立ICに近い甲州街道添いにオープンした、木造のキャンチレバー(柱の無い屋根が突き出たような構造のモダンな建築)のレストラン。銀座など都心からもお客様が多数いらっしゃるほど大変話題になっていたそうです。毎週、運営するレストランに父親と試食を兼ねて訪れ、子供ながらにメニューやサービスアイデアも出していたとか。現在の横川さんのお仕事に繋がるきっかけが当時の生活の中にたくさん散りばめられていたのでしょう。

 その後、一家の決まりである「経営に家族を巻き込まない」という決まりのもと、家族会社への進路は選ばず、家具やインテリアの道に進む横川さん。最初に入社した会社で都心の文化的なエッセンスを吸収した後、配属されていた部署が業績不振で撤退になってしまったため、それを機に独立して仲間とはじめたのがジョージズ ファニチュア(現・ウェルカム)でした。

横川:「京都をはじめ、いくつかのショップには、ロータスやバワリーキッチン等を経営されている空間プロデューサーの山本宇一さんにお手伝い頂きカフェも併設しました。
2003年に山本宇一さんにお声がけ頂き始めたDEAN & DELUCAは、OPENしてしばらくの間は苦戦しました。丸の内、渋谷、に続き品川にも大きな店舗を出したのですが、特に品川は生鮮産品を取り扱いましたが、これがなかなか売れてくれない。NYのSOHOの本店には、クラッシュアイスの上に新鮮な魚がたくさん並べられてそれはそれはかっこよく、それを目指して始めたんですが、上の階に大型のスーパーが入っていたこともあり、毎日どれだけ食べ物を捨てるんだとジレンマに陥りました。結局オープンして半年でお店を改装して、生鮮のスペースをカフェにしました。また常においしい「ベーカリー」を多数用意しておくというのもなかなか難しいことでした。世田谷区くらいの大きさのマンハッタンには何百軒ものベーカリーがあり、自転車で各店からソーホーのDEAN & DELUCAに持ってきてくれるのでさまざまなベーカリーのセレクションが成り立つのですが、それと同じ事を東京でやろうとするのは難しいんですね。」

横川:「現在は社内に職人さんを雇ってオリジナルで焼くようになりました。現在は全国に18店舗、既にスタートしてから10年の月日が流れ、売り上げは60億に達しました。やはり好きな事だから踏ん張れるんですね、それこそ友人や身近なひと、もちろん遠山さんにも「いいね」と言われる仕事にしたいと思っています。ださいことして遠山さんに「やっちゃったな」って思われるのなんて絶対嫌ですからね(笑)。
自由が丘の「TODAY’S SPECIAL」は10年前に世界中の良いものやデザインを集めた「CIBONE」を青山と自由が丘に作ったんですが、自由ヶ丘にいらっしゃるお客様は、より暮らしに根付いたものをもっと求めているんじゃないかな、と思い至りまして。リアルなライフスタイルを提案できる市場のようなお店を作りたいなと思って始めました。」

 さて今回のお弁当のテーマは「シェア」です。

横川:「この企画を頂いた時に、そもそもどちらかというと食べるのが専門なので自分で自分にお弁当を作ったりはしないのですが、ぱっと頭に浮かんだのが「お節」でした。私は通常ひとりであまり食事をしないし、食卓を囲んで食べ物について話を分かち合うのが好きなので、そんなイメージのお弁当ができたらいいなと思いテーマを「シェア」にしました。「和」の食材を選び、秋の収穫をイメージして日本の究極のフィンガーフードだと私が思う「手鞠寿司」を作ってみました。みんなで囲んで旬を楽しむ題して「秋の輪ごみ弁当」です。」

 一方ホストである遠山正道さんのお弁当は、シェアするって何かな?と考えたときに「赤福」を思い出し、1種類の何かを作って、皆さんにシェアする、ということも成立するかなと思ってそういう主旨でお弁当を作られたそうです。

遠山:「タイトルは途中まで決まっていて『へらきんとん』です。栗ごはんを下に引いて、上にかぼちゃ、さつま芋、緑豆の餡をのせました。さつま芋と緑豆には米飴を使いましたが、それ以外は砂糖を使っておらず、食材の甘さを引き出しています。こういう業態がやりたいなあと思います。」

 生徒さんのお弁当の講評は、いつもプレゼンテーションが時間内に収まりきらないため持ち時間は今回から2分に拡大。「Share」というテーマなだけに心なしか大きい包みを持っているひとがたくさん見受けられます。みなさん今回もプレゼンテーションに大変熱がこもっていました。

最後に参加者全員の投票で票が集まったのが”印象的だったお弁当”は同票で2名が選ばれました。コニシマリさんの鶏を丸焼きにしたお弁当は作る過程からFacebookでシェアを促していたというインタラクティブな側面も併せ持つ「鶏の丸焼き弁当」、もうひとつは仲田ゆきえさんの永遠に話が尽きない女子会と、不思議の国のアリスをイメージしたにぎやかなお茶会弁当「永遠に話のつきない女子会弁当」、”おいしそうだったお弁当”は佐藤多恵さんの好きな物ばかりを集めたお弁当、デザートの和栗のパウンドケーキまでついた「私の好きな秋ごはん弁当」、そして今回のテーマである”Shareなお弁当”は荒巻洋子さんのシェアはシェアでも半分こをイメージしたお弁当で、会話が生まれる仕掛けが随所に用意されたあえて半分に「しなければならない」ちらしずしや、お吸い物などの「半分このお弁当」でした。

コニシマリさんの「鶏の丸焼き弁当」鶏の丸焼き弁当仲田ゆきえさんの「永遠に話のつきない女子会弁当」永遠に話のつきない女子会弁当佐藤多恵さんの「私の好きな秋ごはん弁当」私の好きな秋ごはん弁当荒巻洋子さんの「半分このお弁当」半分このお弁当

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