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おいしい教室~お弁当のじかん~「第1回 白ワインに合うお弁当」

食育丸の内プロジェクトの一環としてSoup Stock Tokyoの代表、遠山正道さんをホストに連続7回開催されるシリーズワークショップが丸の内で開催されました。毎回の多彩なゲストのトップバッターを飾ったのが、「紫野和久傳」代表の桑村綾さんです。ホストとゲスト両者共に涼しげな和装で登場し、丸の内に涼が届きました。参加する全員が今回のテーマである”白ワインに合うお弁当”に沿った「お弁当」を作って持ち寄り、一同に披露して「食べる楽しさ」と「クリエイティビティ」を体験しました。

 前半は桑村綾さんの話を伺っていきます。1964年に丹後の料理旅館「和久傳」に嫁いだ桑村さんは、娘さんから「太陽みたいな女性」と呼ばれる事を、「近づいたら火傷する」という意味なんですけどね、と笑うエネルギッシュな方です。業績不振に陥った旅館を立て直すため、スタッフと一丸となって奮闘し、現在京都、東京、名古屋、大阪に展開する「和久傳」を築きあげてきました。その秘訣はご自分を自ら奮い立たせ、窮地に追い込まれたときほど発想やアイディアを思いつく、と前向きな姿勢にあるのかもしれません。5年前の2008年には、もともとの創業の地であった京丹後にある<和久傳の森>の中に、山椒やあずき、桑など材料から商品までを生産する食品工房を作るなど、意義のある挑戦を続けていらっしゃいます。

 そんな桑村さんがテーマに出されたのが”白ワインに合うお弁当”。現在のお弁当の需要は様々に多様化していて、「和久傳」も日夜新たな提案に心血を注いでいる。特に、ワインやシャンパンに合う料理、新旧が織り交ざったモダンでクラッシックな提案が求められていると語られます。「後々アクセサリー入れにしていただけますでしょ?」と仰る拡げたお弁当箱は、透明なアクリルのボックス。中の色鮮やかなお弁当が輝いています。会場からは「おお~」っとため息が漏れます。

お弁当の中身は、丹後地方のお野菜を中心にしたもので1段目はスナップえんどう、万願寺とうがらし、おくら、ズッキーニなど季節の野菜に、車エビを薄く味付けしたもの。トッピングに瑞々しい酢ゼリーをかけて艶を出します。2段目は茄子の揚げびたし、玉葱を炊いたもの、すずきの油煮など。3段目はバターナッツ、毛蟹、湯葉の味噌漬けなどで、4段目は鱧のちらし寿司です。

 一方ホストである遠山正道さんのお弁当は、ゲストの桑村綾さんに合わせて「雅と野趣」をお弁当で表現されていました。茶色い袋に無造作に入れられた、一見すると普通の貝殻は中に、スモークした蛤を炊き込んだご飯が詰められたお弁当でした。可愛らしい貝がいくつもころんと入っていたのは「白ワイン片手に愉しんで欲しい」という粋な心配りがあっての事。さりげない和風弁当に桑村さんもとても嬉しそうでした。

 生徒さんのお弁当の講評は、持ち時間1人あたり1分という短い時間の中で行われます。予め考え抜いてきたそれぞれのコンセプトをお弁当を広げながら発表していきます。緊張感が漂う中、ひとつひとつ丁寧に作られたお弁当に都度歓声があがります。
いつものお弁当、とっておきの食材、記憶を辿った母親の味、器や布に思い入れのあるもの、などバリエーション豊かなお弁当が集まりました。

 最後に参加者全員の投票で票が集まったのが”印象的だったお弁当”は野菜のブーケとバジルのポテトサラダを長いバゲットに詰め込んだ東條恵美さんの「パンとサラダとポテトのお弁当」、”おいしそうだったお弁当”は大きな鯛の手毬寿司が入った宝本龍吾さんの「京都の夏男弁当」、そして今回のテーマである”白ワインに合うお弁当”はきめ細かな配慮と彩りの美しさ、片手でつまめるディップ形式のお弁当を提案されたコニシマリさんの「大人がゆっくり語らいながら食べるお弁当」の3つでした。

桑村綾さんからは、どのお弁当も甲乙つけがたく大変感動しました、と感激の声が漏れました。夏の涼を呼ぶ、涼しいお弁当が一同に介した今回、最後の一時間試食タイムには冷たいお菓子「れんこん菓子西湖」と「和久傳特製の桑茶」も振る舞われ、愉しいひと時が過ぎていきました。

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