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三國シェフの味覚の授業

予想以上の本格的な質問が続出 これも「味覚の授業」効果!?

 今日はいろんな味覚を味わった子ども達。もしかしたらいろいろと聞きたいこともあるはず、と「質問のある人」と聞いてみたら、子どもならではの鋭い質問がたくさんでてきました。

質問をする子供達

子ども達から次々と質問が飛び交います。みんな積極的です!

質問その1 油味(あぶらみ)は味覚に入らないのですか?

 この質問に三國シェフもビックリ。最近では、背脂の入ったこってりとしたラーメンや、牛肉や豚肉の脂など、脂にはうま味をたくさん含まれていることが分かってきています。そしてなんと、現在第6の味覚を発掘していて、油味とカルシウムが候補にあがっているそうです。今は、味覚には入りませんが、近いうちに第6の味覚として油味(あぶらみ)がはいるかもしれませんね。

子ども達の質問に答える三國シェフ

子ども達の質問に丁寧に答える三國シェフ

質問その2 苦みと渋みの違いは何ですか?

 こまたまた鋭い質問にちょっと参った顔の三國シェフ。「渋み」はタンニンと言って、果物の皮やお茶に含まれている成分で、動物性脂肪を分解します。だからヨーロッパの人は食事と一緒にタンニンを含むワインをたくさん飲むし、日本人は緑茶を飲むのです。また、脂肪分の多い食事を摂取して体を冷やしてしまうと血管に脂肪(コレステロール)が溜まります。コレステロールを溜めないためにも脂肪を分解するタンニンが必要なのです。国は違えど、食生活はすべて理にかなっているのですね。
このように「味覚の授業」は子ども達の感性をかなり刺激したよう。三國シェフも驚いていましたが、一番驚いていたのはそばにいたお母さん達のようでした。

三國シェフから贈られた修了証と一緒に記念撮影

三國シェフから贈られた修了証と一緒に記念撮影。みんなうれしそうです

親子で学んでこそ意味がある「味覚の授業」

保護者の方々

お子さんと一緒に保護者の方々もいろいろと学んだようです

「ダシはちゃんと取ろうと意識していましたが、四味までは意識していなかったですね。味ってこんなに奥が深いとは思いませんでした」
「子どもより、自分が引き込まれて授業を受けていました。今日から息子と二人で味について母親にうるさく言ってしまうかもしれません」
「これまでは、素材や家族の健康については意識していたけど、味はちょっとどこかに行っていたかも。今日から”食”に対する意識が変わりそうです。」
「味が頭の成長や、音楽などの芸術方面でも刺激を与えると聞いて、これは何とかしなきゃ!と思いました」

お母さん方が揃って「今日の晩ごはん、どうしよう」と真剣に悩んでいたのが印象的でした。お子さんと一緒に学ぶことで、お母さん達の”食”に対する意識が変わるのも「味覚の授業」効果なのかもしれませんね。

正しい味覚は、自分の身を守る手段でもある。

 「味覚の授業」を終えられた三國シェフに、いろいろとお話を伺ってみました。

三國シェフ

―― 「味覚の授業」の約10年を振り返って、何か変化はありましたか?
ちょうど僕が「味覚の授業」を始めた10年くらい前は、前例がなくどこも受け入れてくれなくてね。ちょうど10年前は小学校の家庭科室が機能しなくなった時期でもあったんです。

―― 家庭科室って今ないのですか?
ちょうど10年くらい前ってパソコンを導入している時期で、家庭科室を潰してパソコンを置くようになっていたんですよ。でもね、パソコンが普及して10年経って、いろんな障害出てきた。他人とのコミュニケーションが取れなくなる。ひきこもり。個食。コンビニのものしか食べなくなる。家族団らんの崩壊。これはよくないと学校側も気づいて、最近では家庭科室を復活させています。どの学校に行っても家庭科室があるし、食堂もあります。また、学校の周辺に畑を持つようになり、野菜を栽培したり、すごいところは上級生が自分たちで作った野菜で給食を作り下級生達に食べさせている学校もあるんですよ。

―― それはすごいですね。
成果、というか、僕や服部先生(服部栄養専門学校の服部幸應氏)が、ずっと”食”の大切さを訴えてきて、そういう時代になってきたんだ、と思います。
フランスの学者ジャック・ピュイゼ氏が言っていたように、食が乱れると社会の仕組みが歪み、人間の凶暴な一面が際だってしまう。ちゃんと予言していたんですよ。「味覚の授業」を早くから取り組んでいたフランスは、最近人口が増えていますしね。味覚の問題は、実は国の問題でもあるのですよ。

三國シェフ

―― 子ども達に向けられた講座でもあるけど、実は一緒に受けている保護者の方々に向けたメッセージであると強く感じたのですが
そうですね。まずは子どもに向けて授業をやったあと、PTAなどで講演して欲しいという依頼が多いですよ。今回みたいに食べ物は体にいいということをメカニズムを教えてあげると実感してもらえますよね。

―― 今日の授業で味蕾は12歳がピークでだんだん減ってくる、と言うのがショッキングだったのですが。
減る、というか鈍感になるんですよ。
でも大人でも定期的に味覚を刺激してあげれば「正しい味覚」をキープすることができます。気づいたときが出発点。あと、普段からトマトやワインなど自然の五味があるものを食べるように心がけてほしいですね。

―― 参加したお母さん達が今まで食材や健康は気を遣っていたけど「味」をどこかにやっていたという声がありましたが。
一番大事なのはやはり「味」。苦みが毒であるという感性を養うことです。最近は、自分の身を自分の感性で守る、という部分が薄れてきたのではないかと思うときがあります。賞味期限など数字を見て食べられるかどうか判断できたりしますからね。苦みを教えることは、危険を教えることです。一番危険なのは、苦みを知らないで危険を危険だと判断できないこと。気づかずに飲み込んでしまうと一巻の終わりですよ。そういうのをちゃんと身につけるのも大事なことだと思っています。

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