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三國シェフの味覚の授業

味覚ってどうして大事なの?

三國清三シェフの登場 味覚の授業のはじまりです

三國清三シェフの登場。味覚の授業のはじまりです。

近頃ますます注目を集める「食育」ですが、その想いや定義は実にさまざま。三國シェフは、「味覚」という観点から食育活動を行っており、2000年頃から全国の小学校で「KIDSシェフ」という味覚教育に真剣に取り組んでいます。その授業の様子は本が出版されたり、たびたびメディアでも取り上げられるなど、知る人ぞ知る有名な授業。今回は、夏休みの特別プログラムとしてここ丸の内で特別授業を開催していただきました。

三國シェフはまず、「味覚の授業」のはじまりを語ります。

世界で初めて子ども達に、正しい味覚を教えることの大切さを説いたのは、フランスの学者ジャック ピュイゼ博士。ピュイゼ博士曰く、「人間の感性は8歳から「気づき」がはじまり、12歳で脳が大人になる。だから脳が完成する12歳までに、正しい味覚を教えれる必要がある」、と言うのです。その理論を元に、イタリアでは「スローフード」、フランスでは「味覚の授業」として政府がバックアップし、子ども達に正しい味覚を教えているのです。

人間の味覚は8歳で気づき、12歳で完成する。この驚くべき事実!

三國シェフの言葉をひとつひとつ真剣に聞く子ども達

三國シェフの言葉をひとつひとつ真剣に聞く子ども達。

三國シェフの講義はもっと細部に食い込みます。
「気づき」が生まれる8歳は、舌にある味蕾(みらい)も敏感になり始める時期。そして、脳が完成する12歳の時に味蕾(みらい)は、4万個に達するのです。
なぜ4万個かと言うと、「甘い」「しょっぱい」「すっぱい」「苦い」は、実は天然の食べ物にしかない味で、とてもうす味。それらを確実にキャッチできるように味蕾(みらい)は4万個になった、と言われているそうです。四味(よんみ)が天然の味だとは、驚きです。しかも、私たち人間も天然の生き物なので、そもそも天然のもの、つまり四味しか吸収できないとか。なるほど!だから合成添加物など人工物が入っているジャンクフードは体にあまりよくない、と言われるのはその理由だからですね。

正しい味覚は豊かな人間を育てる。だから「味覚の授業」が大事なのです

熱弁する三國シェフに、子ども達も釘付け

熱弁する三國シェフに、子ども達も釘付けです。

この驚きはさらに拍車をかけます。
12歳までに正しい味覚をきちんと教えてあげれば、「見る、聞く、嗅ぐ、触る、味わう」の五感もおのずと目覚めるとか。ということは、スポーツや音楽や絵画などの才能が花開くことに繋がるのです。
三國シェフは言います。
「味覚を刺激してあげるということは、心の豊かな子どもが育つだけでなく、その子ども達が成長すればおのずと国は豊かな国に発展していく。そのことに早くから着目していたヨーロッパ諸国では「味覚の授業」に国をあげて取り組んでいたのです。」

第五の味「うま味」は日本が生んだ世界の味

甘味、塩味、酸味、苦味、うま味を熱弁する三國シェフ

「うま味」がわかるのは日本人の特権。大切にしたい味です。

ヨーロッパの「味覚の授業」では甘い、しょっぱい、すっぱい、苦いの四味(よんみ)を教えていますが、三國シェフの「味覚の授業」では五味(ごみ)を教えています。最後の味とは「うま味」です。
うま味は今から100年前、池田菊苗博士によって発見された日本独自の味。昆布、かつお節、しいたけなどから取れるうま味は近年世界でも注目を集め、1985年に「UMAMI」として世界用語になりました。
しかも、うま味をきちんと分かる舌を持っているのは、私たち日本人だけ。だから、私たち日本人こそが「味覚の授業」をしっかり受け、次の世代に伝えていかなければならない授業なのですね。

「味覚の授業」実践編。子ども達の感性を目覚めさせる「味覚テスト」

「味覚テスト」にチャレンジする子供達

 三國シェフの講義の後は、実際に味覚のテストを行います。問題は全部で5問。三國シェフが用意した天然の五味を当てていきます。
甘み、塩味は普段から馴染みある味なので、子ども達も平気でしたが、酸味になると、ツンっ!とした独特の匂いに驚く子も。おそるおそるなめてみると 「うわっ!」 「すっぱーい」と教室はちょっとした大騒ぎに。
さらにインパクトがあったのが苦み。見た目はチョコレートなのに、口にパクっと入れたら苦いこと、苦いこと。いつもと違う味に、子ども達はビックリ。顔をしかめたり、舌を出したり、これまでの中で一番のリアクションです。
「みんなの大好きなチョコレートは、実はものすごく苦いものだったんですね。でも、おいしいチョコレートを作るには、この苦みが大事なんですよ」と三國シェフ。
ラストはうま味としておみそ汁が出ました。三國シェフが「何が入っているか分かるかな?」と聞くと、「みそ」「カツオ」「昆布」をみんなするりと答えていきます。この短時間でものすごく舌が敏感になったようです。

この味覚のテストは、味蕾が発育している8歳から12歳の間に一度だけ行えばいい、と三國シェフは言います。天然の四味を味わうことは滅多にないので、一度きちんと味わうと眠っていたDNAが目覚め、料理の味に敏感になるだけでなく、感性も目覚めるとか。今日の子ども達もその片鱗が見えてきているようです。

オテル・ド・ミクニ特製「味覚のスイーツ」はサプライズがいっぱい!

オテル・ド・ミクニ特製「味覚のスイーツ」

 味覚のテストは全員合格ということで、ごぼうびの三國シェフ特製スイーツがみんなに配られます。どれも小さくてかわいいスイーツですが、実はこれも「甘い」「しょっぱい」「すっぱい」「苦い」「うま味」を表現しているのです。

紫いものペーストのプチケーキ 砂糖が入っていると間違えるほど甘いのは、紫いもの天然の甘さです。「甘くておいしいね」と子ども達もにこにこです。

塩キャラメルのぎゅうひ包み しょっぱい味の後にほんのり甘みがひろがります。この甘みも塩そのものが持っている甘みだそうです。塩って凄いです。

ハスカップのゼリー ちょっと強い酸味にむせてしまう子も。この酸味も、鮮やかな赤色も、素材が持つもの。天然の偉大さを感じずにはいられません。

チョコレートケーキ カカオの苦みがしっかりと立っています。 「

野菜ケーキ にんじん、じゃがいも等いろんな素材が入っています。ひとり「ベーコン」と答える子に三國シェフもビックリ。隠し味のベーコンを当てたのです。恐るべし、味覚の授業の成果。その後も隠し味の「チーズ」も当て、大人達はただただ驚くばかり。子ども達の感性が花開く瞬間とはまさにこのことなのですね。

「味覚の授業」を楽しむ子供達

 最後に三國シェフは言います。「みんな今日で正しい味覚を身につけたことになります。お母さん、毎日でなくてもいいから半年に1回でいいから天然の味に触れる機会を作ってください。忘れかけていても思い出せるから。味覚をちゃんと鍛えて、感性豊かな大人になってください」

今日の講義を通じて、子ども達は「本当の味覚」という一生の宝物を得ることができ、お母さん達は味覚の大事さをしっかり学んだことでしょう。この「味覚の授業」に込められた三國シェフの想いが、今日の子ども達を通じて、友達や、次の世代に引き継がれるといいですね。

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