教えてモモさん

今更聞けない「食とからだ」に関する質問。日常的な習慣や、季節ごとの悩み、妊娠に備えてしっておきたいこと、年齢を重ねる女性ならではの悩みなどなど、いつも気になっているけれど、誰に尋ねたらいいかわからない些細な質問を大募集。
予防医療コンサルタントの細川モモさんに、教えてもらいます。

冷え性で困っています。
食べることで改善出来ることはありますか?

モモさんからの回答

 冷え性というと、ホッカイロや靴下の重ね履きなどで《外から熱を加える》ことが対策とされがちですが、着目したいのは《なぜ必要な体温を生み出せないのか》です。冬になるたび身体に熱を与え続けるのではなく、“自ら熱を生み出せる身体”を目指すことをまるのうち保健室では指導しています。
体内で熱を生み出せていなかったり、作り出した熱を保っておけない状況を改善する必要があります。食べ物を食べて一時的に体温があがっても、体温を保つ力を持続できなければ、また身体は冷えてしまいます。

では、どうしたら体内で熱を作り出すことができるでしょうか?
まず注目すべきは、最も多くの熱を生み出す「筋肉」です。体温調整に作用しているのは、サルコリピンという筋肉中のタンパク質の一種。身体の筋肉量が少ないと熱を十分に作り出すことが出来ません。筋肉量が多い男性よりも筋肉量が少ない女性の方が当然冷え性は多くなります。
さらに、冷えの症状は、やせ体型になる(BMIが下がる)ほど、強くなることがわかっています。まるのうち保健室を受けた参加者においても、冷え性と答えた女性は筋肉量が少ない傾向にありましたので、体温を多く生み出すためにはまず筋肉をつける必要があることを覚えておきましょう。

<BMI計算式>
体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
18.5未満…やせ/18.5〜25…普通/25以上…肥満

ただし、熱を生み出すだけでは十分ではありません。体温の維持には実は《体脂肪》が必要です。筋肉が生み出した体温を体脂肪がサンドイッチして保温することで体温は高い状態をキープすることができます。
また、食事の内容や回数も体温と深い関係にあります。全身の細胞は炭水化物•たんぱく質•脂質を燃やすことで性化学反応を起こして体温を生み出しており、食後にこれらの消化によって生じる熱を「DIT(食事誘導性熱産生)」といいます。朝ごはんを抜くとお昼前には指先が冷たくなっていく経験をしたことはありませんか?また、DITは夜型生活の人は低い傾向にあることがわかっています。
さらに、冷え性の人は貧血であることも多く、鉄分やタンパク質が足りていない可能性があります。他にもお米などの炭水化物に含まれる糖質をエネルギーに変換するビタミンB1や、脂質の代謝を助けるビタミンB2が足りないと、食事は摂っていてもそれらをエネルギーに変換できず、体温に繋げられません。私たちの調査では、働く女性の栄養不足は深刻で、たんぱく質は89%、鉄分は92%、ビタミンB1は95%と大部分が不足しています。
すぐに取り入れることができる対策として、3食の食事メニューに積極的に、肉類、大豆類、魚介類、卵類などのタンパク質を「一食あたり片手一盛り」必ず取り入れましょう。赤みの肉や魚は鉄分も多く含んでおり、豚肉や鴨肉ならビタミンB1も豊富に含んでいます。お肉は太ると思っている人が多いですが、脂身の少ない部位を選び、適度に食べることは良質なたんぱく質と鉄分や亜鉛、ビタミンB群などの美肌を育む栄養素を効率的に摂取することができ、適度な脂質は肌の潤い強化のためにも大切です。

そして、最後は筋肉。血液は心臓のポンプによって身体の末端まで飛ばされますが、飛ばされた血液は重力に逆らって心臓へと戻っていきます。〝戻る力〟に欠かせないのが下半身の筋力と筋肉量です。筋肉は体温を生み出し、冷えを予防する力もあるため、筋肉量の不足は冷えとむくみの両方を招きます。筋肉を形づくる肉、魚、卵、大豆製品などのタンパク質を、毎食“片手ひと盛り”分を摂ることが大切です。また、オフィスでトイレにいく時には「2up3down」(2階上または3階下まで行く)など、少しでも動くことを心がけてください。身体のめぐりをよくして行けば、むくまない体質になっていくでしょう。

むくんでしまったり、塩分を摂り過ぎてしまったら、しっかりお風呂に浸かりましょう。40〜42℃前後で10〜20分、熱めのお湯でしっかり体を温めると、水分を汗として排出できるだけでなく、傷んだ細胞を修復する働きを持つタンパク質“ヒートショックプロテイン”も増え、健康増進効果も期待できます。

体温が高ければさまざまな病気に対する免疫力も上がってきます。熱を与える身体を卒業し、熱を生み出せる身体になるべく、3度の食事と筋肉をつけて毎日をエネルギッシュに過ごせるように応援しています。

冷え性対策の料理紹介

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温野菜のたらこ豆腐ディップ

【材料 (2人分)】
にんじん 1/4本
かぶ 1/2本
れんこん 1/4節
かぼちゃ 1/8個
クルミ 30g
オクラ 3本
〈A〉
木綿豆腐 1/3丁(100g)
ほぐしたたらこ 大さじ3
オリーブ油 大さじ1
こしょう 少々

【作り方】

    • 1)Aの豆腐はキッチンペーパーを敷いたざるにくずして入れ、10分ほどおいて水きりし、残りのAと合わせてまぜる。
    • 2)にんじんは1㎝角の棒状に切る。かぶは茎を少し残して切り、くし形切りにする。れんこん、かぼちゃは1cm幅に食べやすく切る。オクラはへたを切り落とし、ガクをむく。
    • 3)沸騰させた蒸し器に2を入れ、5分蒸してかぶ、オクラをとり出し、さらに5分蒸す。器に盛り、1を添える。
    • フライパンに野菜と水大さじ2を入れ、ふたをして強火で熱し、沸騰したら弱火にして同様に蒸してもよい。

今回のメニューも掲載されているレシピ本
「細川モモの美人食堂‐食べて、きれいになる」発売中

3ステップでできる栄養たっぷりレシピを中心に今すぐ実践できる115品掲載!冷え性やむくみページなどまるのうち保健室参加者のデータから紐解いた「働き女子1,000名白書」の内容も盛り込まれており、読み物としても充実した一冊となっています。是非参考にしてください。

発売日:2015年9月30日(水)
販売価格:1,296円(税込)
出版社:主婦の友社
★細川モモさん公式ブログ
http://ameblo.jp/momo-nutrism/entry-12066906401.html

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