Health Data Dictionary 女性の健康と美しさのために必要な 脂質とミネラル“ヨウ素”

あなたの身体はいま、何を必要としているか知っていますか?
「まるのうち保健室」に集まった測定結果から、取り組むべき課題とソリューションを紹介していきます。食事という楽しみの中に工夫を盛り込むだけでなく、ライフスタイルを見直すきっかけになるさまざまなアドバイスを掲載していきます。多様な選択肢から自分の身体に必要なものを選び取れるようになりましょう!

女性の健康と美しさのために必要な
脂質とミネラル“ヨウ素”

今こそ知っておきたい、妊娠と脂肪の気になる関係

脂質は、炭水化物やたんぱく質に比べて、1gあたりのカロリーが高いことから、ダイエット中には敬遠されがちです。しかし、脂質には“必須脂肪酸”といって、人の身体では作り出せない脂質があるのをご存知ですか。この脂質、DHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)をはじめとする健康・美容への貢献度が高いため、遠ざけることの被害は大きく、肌荒れ・便秘・脳機能低下・うつ病・PMS(月経前症候群)の重症化など、不定愁訴を増大させる因子となってしまいます。

生殖には、身体にどれだけエネルギーと脂質を貯めているか、が影響します。妊娠を維持するだけのエネルギーが足りない女性は、排卵しにくくなったり、月経が止まったりしてしまいます。摂ったほうがいい油、減らしたほうがいい油、避けたい油を知って、賢く脂質を摂取しましょう。

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脂質の意外な役割

魚油(DHA・EPA)に含まれるオメガ3脂肪酸は、人の身体では作り出せない脂肪酸の代表格です。魚油以外には、くるみや亜麻仁油などに含まれますが、オメガ3脂肪酸は脳機能を高めるだけでなく、インスリンの感受性を高めて肥満を予防したり、うつ病を予防•改善する効果があります。女性 ホルモンを整え、PMS(月経前症候群)を緩和したりと、プレゼンティズム(Presenteeism ※)の予防•改善に必須の栄養素といえますが、近年の魚離れが影響し、母乳中のDHAが20%低下しているという報告もあります。
※プレゼンティズムとは⇒*プレゼンティズムとは、出勤しているのに心身の不調により頭や体が働かず、生産性が低下してしまう状況のこと。

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海藻が女性の体型と月経の鍵を握っている!?
海藻は世界が不足させている栄養素の宝庫

日本食文化を長きにわたり支えてきた“海藻”。実は、海藻には海藻以外からは摂取が期待できない栄養素が含まれており、これが女性の健康に密接に関係していることはあまり知られていません。食生活の洋食化とももに魚介類・海藻離れが進んでおり、それにより新たな健康被害が心配されるのが“ヨウ素欠乏”です。
新陳代謝のスピードを決めるホルモンの甲状腺は喉の付け根にあり、甲状腺ホルモンを分泌しています。甲状腺ホルモンには新陳代謝を刺激する作用があり、胎児の発育を促したり、子どもの成長を促す働きがあります。甲状腺に異常が生じると必要以上に新陳代謝が加速したり低下したりするため、心拍や脈拍が乱れたり、栄養代謝が加速し、座っているだけでフルマラソンをしているような状態になります。甲状腺疾患は若年女性に多く、患者の半数以上が月 経周期に異常をきたし、不妊症や流産、産後うつになる可能性が高まります。

日本女性の健康を支えてきたのは、1日1杯のお味噌汁!?

日本人は世界でも珍しく、海藻を食文化に取り入れてきた民族です。海藻は甲状腺ホルモンの材料であるヨウ素の貴重な供給源であり、内陸の国や州では採れないことからヨウ素は世界三大栄養欠乏のひとつです。日本食は昆布と切っても切りはなせない関係にありますが、この昆布は海藻の中で最もヨウ素を含んでおり、週3日以上の摂取はかえって閉経後の甲状腺ガンのリスクを高めてしまうほど。わかめはその心配がないため、1日1杯の味噌汁習慣は、今こそ見直したい食文化のひとつといえます。

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