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【FOOD INSPIRATION】川越一磨 #フードシェアリング

食品ロスをなくしたい作り手と食べ手を結ぶ場を提供

ITの力が食品ロスを解決する糸口に

食べ残しや売れ残り、賞味期限が近いなどを理由に食べられるのに捨てられてしまう“食品ロス”。中でも小売店や飲食店で発生する食品ロスの風穴になるサービスが、川越さんが立ち上げた「TABETE」です。「小売や外食などで発生する食品ロスの解決策は、”発生を抑制すること”と、”発生したものを活用すること”の2つがあります。私が立ち上げた『TABETE』は後者で、廃棄の危機にある食品をレスキューできるウェブプラットフォームです。お店はこのままでは廃棄せざるをえないメニューをアプリ上に投稿し、それを見たユーザーが事前決済で購入する仕組みです。お店は廃棄せずに食品を売りきれる、お客さんは少しお得に買えたり、食料廃棄の削減に貢献できたりする、両者がマッチングの場を提供するサービスです」。

現在「TABETE」は、首都圏のほかに名古屋、浜松、金沢、大阪、神戸などの約600店舗(※2020年3月時点での数字)が参加し、20万ユーザーが利用。参加店やユーザーの意識改革にも貢献していると言います。「廃棄の危機にある食品をユーザーが購入することを、私たちは“レスキュー”と呼んでいるのですが、ユーザーの間でも浸透してきました。ポジティブなイメージが付いて、今後はある種の使命感を持って利用してくれる人も出てきてくれるといいなと思います。また、利用しているうちに食品ロスに対する意識が生まれたり、仕込みの量などを見直すきっかけになったりして、廃棄するものがなくなり『TABETE』を卒業するお店もあるんですよ」と川越さん。発生したものを活用するサービスですが、結果的に発生を抑制することにも寄与しています。

食品ロスをなくしたいお店である作り手と、消費者の食べ手をつなぐ仕組みをテクノロジーで作った川越さん。食品ロス対策の中でも、発生抑制に特にテクノロジーの力が使えると言います。「例えば誤発注しないようアラートしたり、適切な仕入れを促したりするシステム作り。また、欠品が作れない大きなお店なら、余ってしまう食品の量を最適化することもITの力でできるでしょう。事前決算の予約受付ツールなどを使い予約の無断キャンセルを防ぐことも、食品ロス対策としてITを使ってできることのひとつです」。テクノロジーを使った食品ロス対策は様々。まずは、食品ロスに危機感を持ち、多岐にわたる対策があることを知ることが必要です。

食べ物を無駄にしないため私たちができること

食品ロス削減推進法が2019年10月に施行されたこともあり、これからはより求められていくことが予想される食品ロス対策。街や個人ができることはあるのでしょうか。「ランチで考えると、お弁当など、あらかじめ作っておくものはロスになりやすいんです。そこで、どこで何が余っているかまとめて分かるような仕組みを作る。オフィス街だと午後2時には休憩に入ってしまうお店が多いのですが、働き方が多様化しているためその時間にランチをたべたいと思っている就業者もいるはずです。そんな人たちに買ってもらえるようにすることができます」。

食品ロス対策は様々ありますが、自分ができる範囲で貢献することが大切なのだそう。「自分にとって無理があってはいけない、というのが大前提。スーパーなどで賞味期限の近い手前の商品から購入する、フロントファーストという考えがあります。例えば牛乳を買うとき、家族がたくさんいて消費が早いなら手前のものを買えば良いですが、ひとり暮らしで飲みきるのに時間がかかる場合もある。それなのにフロントファーストをしていたら、結局残してしまう可能性もあります。ライフスタイルに合わせて選択することが大事でしょう」。

食品に限らず、ものを買う時は“自分にとって納得のいく消費”かよく考えること。その一歩が豊かな食、生活につながると川越さんは教えてくれました。

Profile

川越一磨(かわごえ・かずま)
1991年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、銀座ライオンを経て、2015年に食を通じた課題解決に取り組む株式会社コークッキングを創業。飲食店で働いていた時に直面した、食品廃棄の問題を解決すべく「TABETE」を立ち上げた。Slow Food Nippon副理事も務めており、原種の保存や先住民族の食文化継承に関する活動も行なっている。

『TABETE』
https://tabete.me/

株式会社コークッキング
https://www.cocooking.co.jp/

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