
SUSTABLE(サステーブル)2025 vol.2【微生物とともに。「発酵」文化から考える、持続可能な未来の醸しかた】開催レポート
SUSTABLE(サステーブル)2025~未来を変えるひとくち~第2回が
2025年9月11日に開催されました。
食従事者と消費者をつなぎ、未来の食卓に変化を起こす「SUSTABLE(サステーブル)2025」。今年の年間テーマは「日本らしい持続可能な食を考える ~ 復興・伝統・未来 ~」です。
第2回のテーマは、「発酵」。世界各国の食文化には、古くから発酵の文化が根付いています。それらは、微生物たちと共生しながら豊かな食をつくりあげてきた先人の叡智でもあります。私たちはこの叡智を学び、持続可能な食の実現に向けて「発酵」という概念をどのように拡張できるのでしょうか。今回は、発酵デザイナーの小倉ヒラク氏、寺田本家・24代目当主・杜氏である寺田優氏、そしてシェフとして株式会社TETOTETO代表の井上豪希氏をゲストに迎え、共に日本の食文化を取り巻く課題と未来を考えました。
【第2回ゲストの皆様(順不同)】
◆発酵デザイナー 小倉 ヒラク様
◆寺田本家・24代目当主・杜氏 寺田 優様
◆株式会社TETOTETO 代表 / 食のクリエイティブディレクター 井上 豪希様
【ファシリテーター】
◆ ハーチ株式会社 代表取締役 加藤 佑様
ゲストトークに先立ち、ファシリテーターの加藤氏より、今年のSUSTABLEのテーマである「日本らしい持続可能な食」について解説。加藤氏が代表を務めるハーチ株式会社は、社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン「IDEAS FOR GOOD」をはじめ、サステナビリティ領域のデジタルメディアを多数運営しています。
多様な課題が浮き彫りになる現代において、「日本らしい持続可能な食」の模索は足元を見直すための重要なカギを握る切り口となりうるもの。身土不二(しんどふじ)という言葉にもあるように、住んでいる場所から近い食材をいただくことが身体にも良いという考え方に触れ、人間の身体は自然の一部であるという捉え方をご紹介しました。

第2回目のテーマである「発酵」について加藤氏は、先人の叡智が詰まったものであるとした上で、そこから現代のサステナビリティに通ずる学びが得られるのではないかと会場に投げかけました。郷土料理や酒などの食文化など、日本の食のシーンにおいて欠かせない発酵。しかし、こうした発酵食品の消費量は年々減少しており、豊かな日本食の文化を次世代へどう繋いでいくかが重要となっています。
ここで、加藤氏から会場の皆さんにも問いかけが。「発酵と聞いて思い浮かぶ言葉は?」という質問に対して、現地およびオンラインの参加者から「身体に良い」「味噌」「チーズ」「ヨーグルト」「腸活」などの回答が集まりました。続く質問は「発酵と腐敗は同じですか?違いますか?」という二択の質問。違うと答えた人が6割・同じと答えたのが4割ほどでした。質問を通じて会場の雰囲気が温まったところで、加藤氏から早速、発酵デザイナーの小倉ヒラク氏にバトンを繋ぎました。
小倉ヒラク氏は、普段は山梨の山にて生活。発酵デザイナーという肩書を持ち、醸造文化の専門家として活躍されています。「僕の仕事の大きなテーマは、発酵文化の実践と継承。何かを伝える人というイメージを持たれやすいですが、ただ伝えるというよりは、郷土食にまつわる具体的な課題をどう解決できるかを考え、実践しています」と小倉氏。

最初は親子で味噌作りをするなど食育のワークショップを展開し、小倉氏が手がけた「手前みそのうた」という歌は大人気を博しました。小倉氏は発酵に関わるなかで多くの醸造家と出会い、大学にも入り直して発酵について本格的に学び、現在はサイエンスとデザインの両面から研究機関などとともに発酵の力を活かした商品やサービスの研究、開発に取り組んでいます。
中でも特に小倉氏の代表的な仕事となったのが、「発酵デパートメント」という専門店です。定番のものから地域独自の知る人ぞ知る発酵食まで600点ほどの発酵食を幅広く取扱い、現在は年間12万〜13万人が訪れる大人気の店舗となりました。
こうした活動のベースとなっているのが、日本のローカル発酵文化の調査と体系化です。従来の研究は発酵や菌の特徴を自然科学的に調査するものが多かった一方で、小倉氏はその土地での発酵食の作り方や地域における発酵の位置付けなどに着目する文化人類学的なアプローチから日本全国の発酵文化を研究。「発酵文化人類学」といった書籍の出版にも繋がりました。
小倉氏は、日本全47都道府県の発酵食を一枚にまとめた日本地図を見せながら、「都道府県の間で、味噌や酒などのカテゴリーが絶対に被ってはいけないというルールを課していて、本当に大変でした。でも実は皆さんが知らない不思議な発酵食が多いんですよ」と、当時の骨の折れる作業を振り返りました。
その反響は大きく、メディアでも多く取り上げられました。この体系化を通じて、日本各地にまだ知られていない発酵文化があり、それらが土地のアイデンティティを受け継いできたことが明らかになったのです。

続いて、小倉氏はある動画を投影。調査のために全国をめぐる中で、その土地の人たちの暮らしを映像にも収めていたのです。この発酵をめぐる暮らしの営みは、まるでタイムスリップしたかのように、かつての日常のあり方を見せてくれます。今では、こうしたマップをもとにした「発酵ツーリズム」にも発展しています。
「発酵は豊かな自然環境から生まれるのではなく、大雪など制限のある環境から生まれています。ある程度閉鎖的な、資源制約などの上限のある場所にこそ、発酵は大きな可能性を秘めています」と語り、環境や資源の制約が起こるこれからの時代こそ発酵の考え方が重要になると説明しました。
また、この後に登壇する寺田氏の蔵を訪れるなど、様々な地域の醸造家と出会ってきた小倉氏の活動や店舗は、醸造家を繋ぐハブとなり、同志のネットワークが生まれているとのこと。そんな場を介して集った人々が運営メンバーとなり自主企画のイベントを開催するなど、共に発酵商品の流通を共に考える場も構築されています。こうして発酵やご自身の活動が「ローカリティの再発見やコミュニティの地域産業の再生になっているんです」と、締めくくりました。
続いてトークのバトンを引き継いだのは、千葉県で日本酒を作っている寺田本家の24代目当主・寺田優氏。1673年頃から酒造りを続けています。先人たちがかつて近江商人であったことから琵琶湖で酒造りをしていましたが、より人口の多い地域での販売を目指して現在の千葉県に拠点を移動した歴史があるとのこと。かつて寺田本家は東京の華やかな文化を地域に広げる役割も担う地域の文化センターとして機能していたと言います。酒が暮らしの中で穏やかに馴染む存在であったことがうかがえます。
「私たち寺田本家は、自然酒に特化して、一切添加物などを使わず自然界の菌だけで酒造りをしています。先代が『なぜ世の中には争いや憎しみが多いのだろう』と悩んでいたときに、そのヒントは発酵にあると考えたそうなのです」
先代は、自然界に良い菌と悪い菌、多様な存在があるものの、そんな違いも含めて調和が取れていることに社会を穏やかにするヒントがあると考えたとのこと。酒造りをしながら、微生物の生き方から社会の幸せのカギを探り、その模索は「発酵道」という著書にもなりました。

そんな、先代が魅了された微生物たちの発酵する力を最大限に引き出すことによって生まれるのが自然酒です。酒の基本的な作り方は「お米を発酵すること」であり、微生物が活発に生きる蔵の中では、米と水を合わせて置いておけば何でも発酵してしまうそう。
現代社会で、酒はリスクが伴うものとされがちです。しかし寺田氏は「本来のお酒は、飲むとそれだけで元気になるような百薬の長だったんです。多くの量を作るとかではなく、皆さんに必要とされるようなお酒造りがしたい。それを実現するのが自分たちにとっては自然酒なのです」と、語ります。
そのために重要となるのがお米です。酒造りには近隣の農家さんが育てたお米を使用しており、寺田本家としても田んぼを持っているそう。そこには、日々異なる美しさを見せる風景が広がっています。「昔の人はずっとこの美しさを見てきたのだろうなと思うんです。だからこそお米作りがお祭りや食文化の起点になっていったのだろうなと思っています」と、寺田氏。
イベントが開催された9月上旬は、まさに稲刈りのシーズンです。この日も午前中は稲刈りをしてきたとのこと。2025年はお米の高騰が大きな話題になっていますが、それと同時に現代における農業の厳しさも見えてきており、寺田氏はこうした課題を受け止めながら、時代の移り変わりとあわせた米づくりの変化が必要かもしれないと指摘しました。
もう一つ、お米と合わせて酒造りにおいて鍵を握るのが水です。寺田氏は、寺田本家の水脈環境と神社の位置を描き出したイラストを見せながら「寺田本家の酒蔵は神社の麓にあるんです。神社に大木が何本もあるので、土の中にも根がしっかり伸びて、空気が巡って、水が上ります。敷地内に井戸が4本あり深さは6メーターぐらいとそこまで深くないものの、今でもコンコンと水が湧き続けてくれています」と、語りました。
つまり酒造りをする上では、自然を守ること、自然の仕組みを学ぶことが重要となるのです。それは、微生物との向き合い方においても同じ。酒造りは9月〜10月に始まり、寺田氏は毎年「今年もちゃんと発酵するだろうか」と緊張するそう。なぜなら寺田本家では、特定の菌を選出することはしないため、発酵の予想が立てにくいからです。しかしどんな菌が入っているか分からないからこそ、年ごとのユニークな味を生み出しているのです。
そんなこだわりの詰まった寺田本家のお酒から、この日は3種類が用意されました。長期発酵したすっきりとした味わいの「五人娘」と、春秋に発酵し始め短い発酵期間で瓶詰めすることによって瓶内発酵されシュワシュワを感じられる「醍醐の泡」、一部の水の代わりに日本酒を使って発酵させた「木桶貴醸酒」です。寺田氏は「ぜひその違いを楽しんでいただきたい」と締めくくりました。

その後、食事を心待ちにしながら、参加者からの質問が紹介されました。「貴醸酒を初めて知りました」というコメントに、寺田氏は「お米だけの原料でも色んなお酒を作れます。これは、これまで日本人がいろんな作り方を試したからこそなんです。麹を作る、米を蒸す、炊く……様々な工程を混ぜるレシピは先人が実践し尽くしているのです。そんな試行錯誤を寺田本家でも表現できたら良いなと思っています」と回答。小倉氏から「貴醸酒は日本で最初に文献に出てくるお酒ですね」と、その歴史の解説がありました。
ここで、会場の皆さんのテーブルには発酵技術を用いたお料理が並び始めました。今回は、株式会社TETOTETO 代表 / 食のクリエイティブディレクターである井上豪希氏が料理を担当。「発酵とサステナブル」をテーマに、里山で害となってしまっている鹿をメインとした品々が用意されました。鹿肉は処理に手間がかかる一方で美味しく調理することも難しく、なかなか食用での消費が進んでいません。そんな鹿肉の表面上で麹を育てて酵素分解し、旨みを引き出したのがこの日のメインディッシュ。そのソースは動物性のものを使用せず、玉ねぎやブドウのカスなど普段は捨てられてしまう部分を存分に活かしたもの。付け合わせに発酵食品が使用され、発酵の多様さを味覚で実感できるメニューとなりました。

メニュー
<メイン>
◆麹熟成鹿肉のカツレツ風
サステナブルデミグラスソース(玉ねぎぐるりこ/酒粕/ハネだし葡萄のキャラメル)
麹マヨネーズ(寺田本家の米麹/ぶどうのワンピー酢)
発酵チミチュリ(梅干し/菊芋の粕漬け)
nin 粒マスタード
<デザート>
◆奈良漬のミニあんみつ
<日本酒>
◆五人娘
◆醍醐の泡
◆木桶貴醸酒
井上氏は、幼少期から料理に強い関心を持っていたそう。自然豊かな場所で育ち、子どもの頃から自宅に帰ると自分で料理をしていた井上氏。現在は、食とクリエイティブを掛け合わせた事業を展開しており、「フードコレクティブ」として食をめぐる共通の課題感に対して様々な人と協働しています。特にフードロスに注力しており、捨てられる副産物を使って、あっと驚くような食品を開発するなど食の可能性を探求しています。
井上氏と共にいくつかの商品開発に取り組んできた小倉氏は「TETOTETOの商品は、味のデザイン性があって、メリハリが効いている。どんな食材を使っても食べたらすぐ覚えられる味」と、コメントを添えました。

続いて、3名でのクロストークへ。今回のテーマである発酵をめぐる現場から見る食文化としてのサステナビリティや気候変動のリアルに迫りました。
寺田氏は、海外からの注目度に着目。海外では、日本で見られないような意外な食材にも発酵文化を応用した興味深い取り組みが増え、世界各地に麹の存在が広がりつつあることを感じているとのこと。また小倉氏も「自分たちが取り組んできたことがこんなに可能性があるんだと、驚いています」と語り、日本の発酵文化が日本だけでなく人類の共有文化になりつつあると感じていると述べました。
一方で、「危機感を煽りたくないが、気候変動について非常に危ない状況だと感じている」と、小倉氏。発酵は文化として注目が集まっているものの、産業としてはインフラが未だ整っていないのが現状だと言います。だからこそ小倉氏は、たとえ発酵の文化が途絶えたとしても復興させることができるよう、聞き取りやレシピの保存に取り組んでいるのです。
こうして文化を残していくために必要なのは、横の繫がり。一つの地域だけでは取り残されてしまい、どうすれば良いのか分からなくなってしまうことも多いそう。たとえば、沖縄のある地域で米が足りず困っているとき、発酵のネットワークがあることで本州から米を送ることができるかもしれません。こうした繋がりがあることで、文化を互いに守り合うこともできるのです。
そんな繋がりが持つ可能性が、すでに見えてきているところも。寺田本家には興味深い視点を持った就職希望者が集まってきており、来るものを拒まず、多様な人や知識の交わりを見守っているそう。「発酵」を起点として人の繋がりが広がり、分野を超えていくことで、発酵文化そのものも残っていくのかもしれません。

続いて加藤氏から、小倉氏のトークで登場した「制約があるからこそ生まれるものの価値」の話題に光が当てられました。小倉氏は、生活レベルを落としたくないという人々の思いがあるが故に現代社会は多くの資源を使うようになってしまったと指摘。だからこそ、今は消費だけでなく、再生産できる資源を使う社会に向けたリデザインが起きていると言います。それが、微生物の力を引き出すことによる新たなテクノロジーへの注目を高め、投資対象にもなっているのです。
会場からは、「小倉さんが今まで一番意外だった発酵食品は?」という質問が挙がりました。小倉氏の回答は、竹の醤油。メンマの副産物なのですが、あまりお味は良くないとのこと。また「都内でも発酵はできますか?」という質問に、井上氏と小倉氏は「たくさんあるのでぜひ自宅でも実践してみてほしい」と後押ししました。
また、「なぜ世界各地に発酵食品があるのに日本に発酵を学びに来る人が多いのか?」という質問に対し、小倉氏は日本における体系化が秀でていること、そして日本では発酵食品を使うハードルが低いことを挙げました。この特色が、幅広い関心層を掴み、日本の発酵文化の地位を築いているのでしょう。
そして最後の質問に挙げられたのは「美しい地域の自然や発酵文化を残していくために、消費者・企業の立場から何ができるか?」という問い。小倉氏は、買い支えることと、発酵食品を作ってみることを提案。寺田氏は、現在協働しているアウトドアブランド・Patagoniaの事例を取り上げ、企業と発酵の現場が共創する可能性を示唆。そして井上氏は、ワクワクし続けることの重要性を指摘。肩書を問わず、目の前の発酵食品を面白がり、残したいと思うものにきちんとお金を使うことの大切さを投げかけました。
「持続可能な食の未来」というテーマは、一見すると堅苦しくなりがちですが、誰しも関わることができる余白を持つものでもあります。このテーマに対して、イベントの締めくくりとしてゲストの方々からメッセージが寄せられました。
寺田氏は「やはり農業は転換期にあり、地球温暖化が大きな理由だろうと思います。それによって米の収穫が減るなどしていますが、環境が変わりゆく歴史の中で日本酒はお米が日本列島に伝わって以来、連綿と続いてきたもの。それでも現代に日本酒が残っているのだから、これからも残っていくのではないかなと思います」と、前向きな姿勢を示しました。
一方、小倉氏は大企業に焦点を当て、「レバレッジがかかることに投資しないといけない大企業は、根源的に農業や発酵と相反すると思っています。でも、だからこそ企業利益の新しい再分配の方法を模索していかないといけない段階にあるのではないでしょうか」と、問いかけます。
それに続き、井上氏は「好き」「楽しい」という気持ちから始めることが大切だと語りました。「好きを通じてどう解決していくかが大切だと思います。発酵に関わる人たちは、発酵に熱狂している人たちが多いので、その『好き』をどう社会やビジネスと接続していくのかという切り口から楽しめると良いのではないかなと思います」と、背中を押すコメントで締めくくりました。

身近でありながら未だ未知の世界が広がる「発酵」をテーマにした今回のイベント。まさに発酵の世界に熱狂している3名の熱量を受け取り、会場も一つひとつの食材や日本酒のストーリーを丁寧に味わうことに心を踊らせながらあっという間の1時間半となりました。
登壇者の商品を実際に手に取ってみたい方へ
登壇者の商品が購入できる店舗やオンラインショップの情報を、当日配布した資料(表面下部)に掲載しています。気になる方は、ぜひご覧ください。
当日配布資料はこちら
アクション実施概要
- 開催日時
2025年9月11日(木)18:30〜20:00(開場18:00)
- 開催場所
MY Shokudo Hall&Kitchen
(東京都千代田区大手町2-6-4 TOKYO TORCH 常盤橋タワー3F)- 出演者(順不同)
◆発酵デザイナー 小倉 ヒラク様
◆寺田本家・24代目当主・杜氏 寺田 優様
◆株式会社TETOTETO 代表 / 食のクリエイティブディレクター 井上 豪希様- 司会
ハーチ株式会社 代表取締役 加藤佑 様
- 定員
会場参加:30名/オンライン参加:500名
- 参加費
会場参加:2,000円/オンライン参加:無料
- 主催
大丸有SDGs ACT5実行委員会/三菱地所株式会社 EAT&LEAD
転載元:「大丸有SDGs ACT5」掲載記事
※大手町・丸の内・有楽町地区(大丸有エリア)を起点にSDGs達成に向けた活動を推進する「大丸有SDGs ACT5」の活動については、WEBサイト(https://act-5.jp/)をご覧ください。