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SUSTABLE2023vol.2【プラントベースという選択肢】開催レポート

SUSTABLE(サステーブル)2023~未来を変えるひとくち~
第2回が8月4日に開催されました。

食従事者と消費者をつなぎ、未来の食卓に変化を起こす「SUSTABLE(サステ―ブル)2023」。

お肉に代わる選択肢として大豆などのプラントベース(植物由来)の肉を見かけることが増えてきましたが、乳製品においてもプラントベースの選択肢が広がりつつあることをご存じでしょうか?第2回は、そんなプラントベース乳製品を題材に、酪農がもたらす環境負荷とどのように向き合うことができるか、2名のゲストの皆様とともに考えました。

《第2回ゲストの皆様(順不同)》
◆株式会社ADEKA 食品本部 東日本食品営業部プラントベース販売グループ 平野 優様
◆株式会社クーニーズ・アソシエ 代表取締役社長 青島 邦彰様
《ファシリテーター》
◆ハーチ株式会社 代表取締役 加藤 佑様

冒頭、「環境問題と代替食の関係」や「酪農の環境負荷とその解決に向けた取り組み」について解説したのは、ファシリテーターの加藤氏。社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン「IDEAS FOR GOOD」をはじめ、サステナビリティ領域のデジタルメディアを多数運営するハーチ株式会社の代表取締役を務めています。

加藤氏は、動物性食品以外のもので味、食感、栄養素などをまかなう代替食が注目を集める背景として、増え続ける世界人口をまかない続ける食料・土地が不足していること、家畜に与える栄養素と比較した際の最終的に人が摂取できるタンパク質の割合の少なさ、畜産業が排出する温室効果ガスの多さを挙げました。酪農も、牛のゲップに含まれるメタンなど、温室効果ガスの排出量の多さが指摘され、飼料作物の栽培を通じた森林破壊、土壌劣化、水質汚染などの様々な環境問題の一因となっています。そうした状況を受け、農林水産省は、環境負荷軽減型の酪農の支援事業をスタート。さらに加藤氏は、酪農による環境負荷低減の取り組みの例として、自然の力を生かしながら放牧で家畜を育てる「再生型放牧」の事例を紹介しました。

今回のテーマであるプラントベース乳製品も、酪農による環境負荷を低減する解決策の一つです。加藤氏は、オーツミルク、豆乳、アーモンドミルク、ライスミルクなどのプラントベースのミルクを生産する際の土地使用面積、水使用量、温室効果ガス排出などの環境負荷が、牛乳と比較してかなり小さいというデータを提示し、「私たち一人ひとりが、選択肢の一つとしてプラントベース食品を少しずつ取り入れることで、より環境負荷を抑えた食が実現できます。一日三食とすると、一年で1000回以上のチャンスがあります。その選択をどのように変えていくかが大事になってくるのではないでしょうか」と参加者に語りかけました。

続いて登壇いただいたのは、株式会社ADEKAの平野優氏。業務用の加工油脂や加工食品を幅広く展開するADEKAは、植物性原料を使用したプラントベース製品「デリプランツ(Deli-PLANTS)」シリーズを2022年4月より展開しています。

「『デリプランツ』は“delicious(おいしい)”と“plants(植物)”を掛け合わせた言葉」と平野氏。ADEKAでは、プラントベースフードの市場拡大が予想される一方でまだ一般消費者に浸透していない理由として、「おいしさ」の不足があると考えました。そこで、動物性食品(乳・肉)の持つコクや厚みを、動物性原料を使用せずに再現する独自技術を開発。おいしさにこだわり、高濃度オーツミルク、植物由来のホイップクリーム、チーズなど、8製品を展開しています。平野氏は、「デリプランツ」の「おいしいプラントベースフードを食卓のあたり前に」というブランドコンセプトを説明した上で、「課題となっている『おいしさ』を第一に追求することで、プラントベースフードを世の中に広げ、持続可能な社会の実現に貢献したいと考えています」と、「デリプランツ」シリーズの製品に込めた思いを語りました。

さて、テーブルには華やかな食事が揃いました。待望の試食タイムのスタートです。今回は、数々の飲食店のプロデュースやメニュー開発を行う青島邦彰氏(株式会社クーニーズ・アソシエ 代表取締役社長)が、ADEKAの「デリプランツ」シリーズの製品を使ったお料理を提供してくださいました。


《メニュー》
数種類の雑穀豆とデリプランツチーズのべジチョップドサラダ
8 種の野菜とオリーブ、5 種の豆等のサラダ。オーツミルクを使用したクリーミーなドレッシング、プラントベースチーズをかけて。

デリプランツチーズのとろけるスパイスドリア
オーツミルクとプラントベースバターを使ったベシャメル風ホワイトソース、焼き野菜を加え、プラントベースチーズを乗せて焼いたスパイスの香るドリア。

マンゴーとデリプランツチーズのムース
プラントベースチーズとホイップクリームを合わせたコクのあるムース、
バナナ・パッション・マンゴーピュレのジュレ、マンゴーピュレとプラントベースホイップクリームを合わせた軽いムースの三層。


青島氏は、健康的というイメージが先行しがちなヴィーガンメニューを提供するうえで、いかにより多くの人においしく食べていただくかという点にこだわったといいます。会場からもおいしさに感動する声が聞こえ、参加者の一人は「プラントベースはおいしさを我慢したり制限したりするものというイメージが強かったが、今回初めてプラントベースを食べ、おいしさを楽しめました。もっとこういった選択肢が広がっていってほしい」と、感想と期待の声を伝えてくださいました。さらに、「通常のホイップクリームが苦手だが、今回のホイップクリームはさっぱりしている」と、植物性ならではの食べやすさを実感する声も聞かれました。

青島氏が初めてプラントベースの食材に触れたのは10年近く前、乾燥大豆をひき肉の代わりとして使用したメニューを手がけた際だったといいます。「ここ5年ほどで、プラントベースフードを使ったメニュー開発は一気に増えてきた」と青島氏。海外での経験を踏まえ、「海外では、肉売り場にビーフ、チキン、ポークと並んで、プラントベースのお肉がある。普通のお肉と同じ選択肢の中にあるという点が日本と違います。とはいえ、最近では日本でもひき肉の売り場にプラントベースフードが置いてあることも増えてきたので、時代は変わりつつあると感じます」と話しました。実際に、外食・中食業界の展示会ではプラントベースフードを扱うブースに人だかりができるそうで、注目度の高まりを感じるといいます。

そんな中、青島氏は、ADEKAの「デリプランツ」シリーズを使ったメニュー開発を以前より行っています。「植物性というと豆乳のイメージが強いと思いますが、ADEKAさんはオーツミルクに注目しているという点が面白いと思いました。実際にオーツミルクを料理に使ってみたところ、豆乳とは違うコクを感じました」と青島氏。平野氏も「シェフの方においしいメニューを作っていただくことで、プラントベースフードをより広げていきたい」と話しました。

青島氏はプラントベースフードをより広げていく上でのポイントとして、「これまではダイエット食のイメージが強かったが、社会貢献や未来につなげるといったコンセプトが大事になってきているのではないか。外食も中食もそういった訴求をしていくことで、プラントベースフードがもっと広がり、また違った局面に来るのではないかと考えています」と話しました。平野氏は「業界の方々と話していると、プラントベースフードをどう見せるかに苦戦している人が多いと感じますが、どう見せるかを考える以前に、『普通に食べておいしい』を追求していけるとよいのではないか」と続けました。

質疑応答の時間では、「プラントベースフードの価格がもう少し下がると嬉しい」という声に対して平野氏が、製造工程上のこだわりで高くなってしまう事情を説明しつつ、真摯に応えていきたいと話しました。加藤氏は「生活者・消費者としてこういった商品を支えることも大事なので、積極的に食べていきましょう」と呼びかけました。

最後に加藤氏は、環境負荷を減らし、世界人口が増え続ける中でも人々の食のニーズを満たしていくために、食のあり方を変えていく必要があるという課題を再提起した上で、持続可能な食を作っていくために私たち一人ひとりができることを、ゲストのお二人に問いかけました。

青島氏は、「プラントベースフードを『代替食』としてではなく、一つの『食材』としてあたり前のものにしていくことで、これからの社会と健康を支えていきたい」とコメント。平野氏も、「『食の選択肢』の一つとして、身構えることなく手にとってほしい。食べたいものをおいしく楽しむという中で、プラントベースフードを選択していただけたら嬉しいです」という共通の思いをお話いただきました。

プラントベースフードがおいしい食の選択肢の一つとしてあたり前に存在するようになる。そしてそのことが、持続可能な社会の実現につながる。そんな素敵な未来の到来を感じながら、第2回は幕を閉じました。

SUSTABLE 2023 第2プラントベースという選択肢実施概要
開催日時:2023年8月4日(金)18:30〜20:00(開場18:00)
開催場所:MY Shokudo Hall&Kitchen(東京都千代田区大手町2-6-4 TOKYO TORCH 常盤橋タワー3F)
出演者(順不同):株式会社ADEKA 食品本部 東日本食品営業部プラントベース販売グループ 平野 優様、株式会社クーニーズ・アソシエ 代表取締役社長 青島 邦彰様
司会:ハーチ株式会社 代表取締役 加藤 佑様

定員:会場参加30名/オンライン参加500名
参加費:会場参加2,000円/オンライン参加 無料
主催:大丸有SDGs ACT5実行委員会/三菱地所株式会社 EAT&LEAD


転載元:「大丸有SDGs ACT5」記事
https://act-5.jp/act/sustable2023_2report/
※大手町・丸の内・有楽町地区(大丸有エリア)を起点にSDGs達成に向けた活動を推進する「大丸有SDGs ACT5」の活動については、WEBサイト(https://act-5.jp/)をご覧ください。

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