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丸の内で地産地消!「農」と「食」の体験型イベント「Farm to Table」を初開催

丸の内にある名店3軒でそれぞれ開催


左は「恵比寿 笹岡」の笹岡隆次さん、右は「アンティカ・オステリア・デル・ポンテ」のステファノ・ダル・モーロさん

10月28日(金)に初開催したイベント「Farm to Table」は、EAT&LEADと丸の内シェフズクラブのコラボ企画です。丸の内エリアにある3店舗、日本料理「恵比寿 笹岡」、イタリア料理「アンティカ・オステリア・デル・ポンテ」、フランス料理「Sens & Saveurs」が参加しました。

当日、参加者が集合した場所は、2022年5月に大規模リノベーションが完了した大手町ビルの屋上。約4,000m²の屋上空間「Sky LAB」に併設された、都内最大級のシェアリング型コミュニティ IoT 農園「The Edible Park OTEMACHI by grow」です。この農園でシェフと一緒に収穫体験をし、その食材を使った特別メニューを各レストランで楽しみます。

そして今回、密着取材したのは「アンティカ・オステリア・デル・ポンテ」の総料理長、ステファノ・ダル・モーロさんでした。

丸の内で摘み立てのハーブを使える贅沢


左は、この農園を運営するプランティオ株式会社の共同創業者/CEO 芹澤孝悦さん。本イベントは芹澤さんの農園案内からスタートしました

「The Edible Park OTEMACHI by grow」は、いわゆる区画貸しの農園ではありません。海外では一般的な“共同栽培型”。園内の野菜をみんなで育て、農園の楽しさを共有するコミュニティとして機能しています。

「この農園の野菜を育てているのは、近隣のオフィスワーカーや飲食店、住民など、農業のプロではありません。誰でも栽培を可能にしているのが、私たちが開発した、growと呼ばれるナビゲーションシステムです。プランターに挿したセンサーが温度や日照などのデータを収集し、AIが水やりや間引きの必要性を通知。それによって、知識や経験を問わず、あらゆる人が楽しく野菜を育てられる仕組みがあるのです」(プランティオ株式会社の共同創業者/CEO 芹澤孝悦さん)。

こうした都市型の農園について、ステファノシェフは料理人として期待を寄せていると話します。「イタリアの田舎のレストランは店のすぐ近くに畑があって、毎朝、そこで育てている野菜やハーブを摘みながらメニューを考えるんです。特に摘み立てのハーブは香りが良いので、素材の味を大切にするイタリア料理では、新鮮なハーブを使うことがとても大切。以前から東京でも同じように料理がしたいと考えていたので、こうした農園が丸の内にできてとても嬉しいです」。

この日、収穫を体験したのは、ミント、バジル、ベビー小松菜、ピーマン。「どんなハーブが料理に適しているか」「どう調理すると美味しく食べられるか」など、シェフとの会話も楽しみながら、料理に使う野菜を参加者全員で収穫していきました。

「天候に恵まれない日々が続いていましたが、無事に収穫ができて嬉しいです」と話すのは、食に興味があり、以前からこの農園を利用しているという参加者の大学生。他にも、今回の「Farm to Table」に参加したことで農園の存在を知ったというオフィスワーカーは、「職場の近くにこんな場所があったなんて驚きました。これが一体どんな料理になるのか楽しみです」と、新鮮な体験を楽しんでいる様子でした。

ひと通りの収穫を終えたら、いよいよレストランへ。ステファノシェフは「先に行って仕込んできます。楽しみにしていてください」と一足先に、笑顔でお店へ向かっていきました。

野菜の個性を引き出すシェフの技に感動

到着したのは、丸ビル36階にある「アンティカ・オステリア・デル・ポンテ」。レストランの厨房にお邪魔してみると、早速、採れたての野菜が調理されていました。火にかけられていたのは、ピーマンです。濃い緑色がみずみずしく、これだけでとても美味しそう。今回、ステファノシェフが作る特別メニューは全部で5品。先ほど収穫した野菜のほか、東京野菜もふんだんに使い、どれも野菜を主役にした彩り豊かな料理になると言います。

一方、メニューの内容を知らされていない参加者たちは、期待で胸がいっぱいの様子。この頃には参加者同士の交流もあり、隣り合った人同士での会話も弾みます。家庭菜園をしている人が多いようで、育てている野菜についての話にも華が咲きました。

まず運ばれてきたのは、アペリティーボです。小平市のカリフラワーのボイルをモンブランのような一口サイズに仕立てた一品。続いて、ストゥッツィキーノ(付き出し)は、カボチャのスープ。ムース状の濃厚なスープで、まるでスイーツのよう。2品続けて可愛らしい見た目と優しい味に、緊張もほぐれます。

そして、いよいよ収穫した野菜を使った料理が運ばれてきました。前菜となるアンティパストは、6種類以上の野菜やハーブを使ったパイ。具材は、ソテーしたしいたけ、蒸したにんじん、グリルしたあやめ雪かぶ。パイの上には収穫したピーマンのソテー、セミドライのミニトマト、ボイルしたカリフラワーなど。ひとつずつ調理法を変えることで素材の持ち味を最大限に生かす、手の込んだ一品です。

複雑な味を絶妙にまとめたシェフの技に、とある参加者は「野菜だけしか使っていないとは思えないほど、旨みのようなものを感じます」と驚き、また、お父さんと一緒に参加していた小さな姉妹は「いつも食べられないピーマンが食べられた!」と笑顔でいっぱい。自分で収穫したからこそ、感動もひとしおです。

さらにサプライズとなったのは、添えられているバジルとミントを合わせたソース。アイデアの面白さはもちろん、摘み立てでしか出すことができないフレッシュな香りに、多くの参加者たちが魅了されていました。

そして、今回のコースの主役、小松菜のソースを使った緑鮮やかなパスタの登場です。皿が運ばれてくる度に、「どんな料理だろう」「収穫した野菜はどれだろう」と参加者たちの目が釘付けになるステファノシェフの料理ですが、農園の豊かな緑を想起させる美しいパスタにはひときわ大きな声があがりました。

この日に使われた小松菜は、国分寺で栽培されたもの。そして、先ほど収穫したベビー小松菜も添えられています。小松菜と言えば、全国4位の収穫量を誇る、東京を代表する野菜。今回のイベントにもぴったりな食材です。ペースト状にした小松菜のソースにはイタリア産グアンチャーレの香ばしい香りと旨みをプラスし、仕上げにペコリーノロマーノチーズをひと削り。実に食欲をそそる一品に仕上がりました。

デザートを経て、最後にステファノシェフの挨拶で会の終わりを迎えます。

「イタリア料理は、食材ひとつひとつの味を感じることができるシンプルな料理。だからこそ、新鮮なものを使うことに大きな意味があります。一番良いのは、食材の様子を毎日見ながら、使う直前に収穫して、サッと料理に使うこと。市場を通じて仕入れたものでも、今日のようにすぐ近くの畑で採れたものには敵いません。何より、毎日畑を見ることで、土地にも愛着が湧いてきます。このイベントをきっかけに、そうした地産地消の魅力が少しでも伝わったら嬉しいです。今日はありがとうございました」。

屋上農園とステファノシェフの料理を通じて、五感で堪能した「Farm to Table」。実際に“地産地消”を体験し、丸の内の新たな可能性を感じながら、驚きと感動にあふれた1日となりました。


*「Farm to Table 」は、「東京味わいフェスタ 2022(TASTE of TOKYO)」連動企画として開催しました。

10月28日(金)に初開催した「Farm to Table」は、「東京味わいフェスタ 2022(TASTE of TOKYO)」の連動企画として行いました。同日、丸の内の行幸通りでは「東京味わいフェスタ 2022」のオープニングイベントを実施。小池百合子東京都知事をはじめ、三國清三さん(ミクニ マルノウチ)、笹岡隆次さん(恵比寿 笹岡)、ステファノ・ダル・モーロさん(アンティカ・オステリア・デル・ポンテ)など料理人の方々、JA東京中央会の代表理事会長・城田恆良さんと3名の生産者が登壇し、東京の多彩な「農」と「食」の魅力を語りました。

世界有数の大都市、東京。煌びやかなイメージがありますが、実は農業も身近な存在です。
例えば、小松菜は江戸川区の小松川が発祥の特産品で、生産量は全国4位。都市部、山間部、島しょ部のそれぞれで、地域の特性を生かしながら農業が営まれているのです。

そんな東京の農業には、他県にはない大きなメリットがあります。それは、消費地が近いこと。生産地と消費地が隣接し、都内で生産された農作物は多くが市場を通さず、直売所での販売や直接取引によって消費されています。また、産地と近いほど輸送エネルギーを削減することができ、消費者にとっては新鮮な野菜が手に入りやすくなる、サステナブルで価値の高い「Farm to Table」を実現することができるのです。

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