私と向き合う時間 Vol.01【 ゲスト:池畑薫さん】
「直感を信じられる自分のメンタルを、自分で作る」
──新しい世界に飛び込んだり、自分の感覚に身を委ねるためには、心と体の状態を快適に整えておくのが大切です。
よく晴れた日曜日の午後、東京駅を眺められる丸ビルのコンファレンスルームは、リラックスできるエッセンシャルオイルの香りに包まれています。輪になって集まって、いよいよ「私と向き合う時間」が始まります。まずは、Will Conscious Marunouchiの主催者である三菱地所・井上友美の挨拶からスタート。
「働く女性の皆さんが悩んでいることや迷っていることをゆっくり話せる機会を作りたいと考えて、長く温めてきた企画を今日こうして開催することができました。関係性の深い家族や友達には心配をかけたくなかったり、話づらかったりする事柄もあると思います。こうしてこの場で顔を合わせたメンバーだからこそ、気軽になんでもお話ししていただきたいです」
これまでにWill Conscious Marunouchiでは、働く女性たちが未来を前向きに見据えられるよう、様々なプロジェクトを実施してきました。「私と向き合う時間」もその一環で、「こうあるべき」といった固定概念に捉われずに、仕事上の悩みやライフイベントの迷い、自分の体や子供を持つことなど幅広いテーマを扱い、共に考える場所を提供していきます。第一回のゲストであるヤムナプラクショナーの池畑薫さんに、自己紹介をしていただきました。
「ヤムナメソッドを教えています、池畑薫です。ヤムナメソッドとは、骨格や筋肉を正しい位置に戻し本来の姿勢や動きを取り戻すエクササイズメソッドのひとつ。もともとスポーツやエクササイズが好きだったのですが、ヤムナメソッドと出会って『これはまず最初に習得するべきものだ』と直感し、今まで続けてきました。続けていくうちに、体のパフォーマンスを上げるだけでなく、本来の自分自身を引き出してくれる方法だと感じたんです」そう語る池畑さんの背筋は天井に向かって垂直に伸び、笑顔は明るく輝いています。
体を動かすのが好きなことを生かして、フィットネスウェアのモデルなどをしていた池畑さん。30歳を過ぎてから「何かを真剣に勉強したい」と思っていた頃にヤムナメソッドと出会ったそうです。その存在を知った2週間後に、アメリカにいるメソッドの考案者のもとで資格取得のための講習があることを知り、仕事の休みを取ってすぐに申し込んだのだとか。「自分の直感を信じて、勇気を出して最初の一歩を踏み出すことが大切です」とは言うものの、直感を疑ってしまったり、挑戦に二の足を踏んでしまう人も多いのでは……。
「自分の直感を信じられたのは、私が昔からマインドフルネスを生活に取り入れていることも関係しているかもしれません。マインドフルネスには、何も特別なものは必要ありません。自分の感覚に敏感に向き合って、集中すること。例えば食事をするときにも、テレビを見ながら食べるのではなく、目の前にある食事の味わいに集中する。あとは日頃無意識にしている呼吸に注目する。目を閉じて、息を鼻から吸って、ゆっくりと吐くことをカウントしながら繰り返してみる。これだけでも自分自身をニュートラルな状態に調整できる、マインドフルネスだと言えます」と池畑さん。
井上も「コンディションやシチュエーションを整えて、『さぁ、マインドフルネスを始めます』というものだと思っていたのですが、池畑さんのお話からすると瞬間瞬間で取り入れられるのですね」と嬉しい発見があった様子。
「私は田舎の小さな島生まれで、古い慣習や価値観を窮屈に感じていました。宴会をしていても女性が給仕係に徹していたり、お年玉の金額が弟よりも少なかったり……。そんなモヤモヤした気持ちを抱えていたら、体にも不調というかたちで現れてしまって……。海を眺めて風を感じる時間を作るなどして、無意識に自分のメンタルを調整していました。だから今も、ヤムナメソッドやマインドフルネスを取り入れることで、自分ができるだけ快適に過ごせるようにしているんです」
ここまで聞くと、会場の皆さんからも「やってみたい!」といううずうずした様子が伝わってきました。ここから実際に、池畑さんに簡単なワークを教えてもらうことに。
「深い呼吸、できていますか?」
──ヤムナのワークで体をほぐして、お話ししましょう。
「ヤムナプラクティスは、筋肉の流れに沿ってボールを使ってほぐしていきます。ストレスを受けたり嫌な記憶を思い出すと、胃やみぞおちのあたりがきゅーっとする人もいるでしょう。内臓で感じているんです。あとは、股関節。お尻のあたりがガチガチに固まっている人がとても多いんです。股関節は、感情の関節とも呼ばれていて、精神面と密接に関係しています」と池畑さん。ボールを使わずにできるワークの始まりです。
「『頑張らなくちゃ』と力むと、胸やお腹といった体の内側に力が入って硬くなります。椅子の背もたれに体を預けて、ぐーっと体の真ん中を伸ばしてみてください。自分の意識の持ちようで、伸びる部分も変わってくると思います」そう池畑さんに言われた通りに、体をのけ反らせて伸びてみると、気持ちが良い。起き上がったあとには、少し呼吸が楽になっている気がしました。
「そう、大切なのは呼吸です。姿勢の取り方、呼吸の仕方で、体をコントロールできるんですよ。年齢を重ねるとエネルギー循環が悪くなって、脂肪が着く場所も若い頃とは変わってきます。でも深い呼吸ができるようになると、変わってきますよ」そう言って教えてくれたのは、肋骨をほぐして呼吸をしやすくする方法。まずは脇の下の肋骨の部分をさすったり、揉んだりしてほぐしていく。普段なかなか圧をかけないところなので、ちょっと痛い……なんてことも。
「肋骨をほぐしたあとは、力を抜いて深呼吸。胸いっぱいに鼻から息を吸ったら、5のカウントで口からゆっくりと細く長く息を吐きます。まずはこれを5回繰り返してみましょう。肩が上がってしまう人は、肩は動かさずに肋骨が柔らかく広がるように意識してみて」体の中心に空気を入れるようにすると、肋骨が広がるのがわかる。繰り返していくうちに、少しずつ全身がほぐれて、頭もクリアになるようでした。
そうして肩甲骨を動かし、正しい立ち方を教えてもらって、あっという間に30分間のワークが終了しました。ワークで体がほぐれたところで、ひと休み。ハーブティーとヴィーガンドーナツをいただくお茶の時間を挟んで、「私と向き合う時間」は後半へと進みます。
参加者の皆さんの表情も、部屋に入ってきたよりも明るく生き生きとしているように見えます。日頃ストレスを感じていることから、ストレスの解消方法、SNSとの付き合い方まで、ワークの後のフリートークの時間も話が弾みます。
ゆっくりと深い呼吸をし、体をほぐしたあとのお話ですっかり心まで柔らかくなった様子。終了時間となった頃には、「まだまだ話し足りない」という方も。体と心は繋がっているとはよく言うものの、それを自分自身しっかりと実感する会となりました。次回は体と心に影響を与える、ホルモンや更年期のお話です。
<プロフィール>
池畑薫さん
CMやフィットネスモデルとして活動する傍ら、あらゆるエクササイズを経験。無理な運動をすることなく、身体本来の美しさを手に入れる事ができる『ヤムナメソッド』に出会い、ヤムナ認定プラクティショナーとなる。 そのほかにBESJマットピラティスの資格を保持。長年の培った知識から、オリジナルトレーニングなどを取り入れたクラスも開催。 快適で機能的に動かせる身体作りをモットーに、通常レッスンの他、さまざまなイベントやWSを受け持ち、ヤムナの魅力を発信し続けている。