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働く女性たちの課題に取り組む企業と共創する「産学医ウェルネスワーキング」開催

まるのうち保健室「働く女性 健康スコア」は、働く女性の課題を可視化するプロジェクトです。女性たちへ健康課題や就労環境などに関するアンケート調査を実施し、集計データを分析しています。昨年度は、参画企業14社・約3,400名の働く女性たちを調査し、その結果を3月8日の国際女性デーに発表しました(関連記事:「働く女性 健康スコア」発表会2023)。

今年度も「働く女性 健康スコア」にご参画いただく企業様には、各社ごとの調査結果の内容が手元に届くようになっています。その調査結果は、男女ともに働きやすい環境づくりなどの施策に生かしてもらうものとなっており、その結果を前に各社の人事部の皆さまにお集まりをいただき、「産学医ウェルネスワーキング」を開催しました。現在の課題感や取り組みなどをシェアしながら、今後の活動や解決へ向けての意見や情報を交換する場です。ここでは8月23日(水)、14社・25名にご参加いただいて開催したワーキングの様子をご紹介します。


参加者は4つのテーブルに分かれて座り、A~Dのチームごとにワークに取り組みました。


会の冒頭では、神奈川県立保健福祉大学の吉田穂波先生が昨年度の「働く女性 健康スコア」の振り返りを行いました。

前半のワークショップのテーマは、「課題の可視化/構造化」。
各社が抱えている課題の棚卸と整理を行っていきます。

初めに行ったのは、「自社(あるいは個人)における課題感、具体的な困りごと・悩み」を付箋に思いつくだけ書き出す作業です。チーム全員が書き終わったらホワイトボードに貼り、1人ずつ前に出て、内容をそれぞれ説明していきました。

次に、すべての付箋をグルーピングしていきます。どのようなグループに分けられたかといえば、「リテラシー」「働き方/ワークライフバランス」「組織/制度設計」「人事・労務/マネジメント」など。各ホワイトボードを見てみると、4チームともに共通したグループが多くありました。

その後、1つのグループにつき課題5つまでに絞り込み、さらに議論を重ねて、後半のワークショップでテーマに取り上げる課題を1つだけ選び出しました。

後半のワークショップのテーマは、「解決策の検討」です。
まずは、前半のワークショップで選んだ1つの課題に対して「現状のままにしておくと、将来どのような事態になるか」「もし克服した場合、どのような将来があるのか」の2点を明らかにする議論を行いました。

次の議論は、「現状のままの将来」と「克服した将来」の間にあるギャップについて。ギャップを埋めるためには、「どのような目標を設定し、どういう手段を実行すればいいか」を全員で考えていきます。

その後、5分間の“個人作業”がありました。先の議論でギャップを埋めるために見出した「目標と手段」を実行するために活用できるmeans(アイデア、リソース、ネットワークなど)を、できるだけ多く付箋に書き出していきます。

そして、最後に行うワークは「ステートメントの作成」。全員のmeansを交えながら、実際に取り組めそうな解決策をステートメントとしてまとめ、各チームの代表者が発表しました。

●チームAのステートメント

課題:「健康に関する制度が十分に活用されてないこと」。この課題の背景にあるのは、上長や管理職の方々の理解やサポートが足りないことがあります。

解決策:上長や管理職の理解促進。そのために必要なものは、「社長など上層部のトップダウン」「産業医や保健師など、プロの方々に協力していただく」「実際の制度利用者の声を集める」「上長や管理職も参加の上、研修を行う」などです。中でも研修は、上長や管理職の方にも“自分事”として捉えていただけるよう、質の向上が求められます。

将来の展望:上長や管理職の方の理解が深まると、メンバーの意識変革や行動変容につながり、エンゲージメントが上がります。もし素晴らしい会社だと発信する社員が増えれば、良い人材が集まるようになり、やがて1人1人の業務軽減になるかもしれません。

●チームBのステートメント

課題:「女性の健康課題への理解不足、リテラシーが低いこと」。そのままにしておくと女性の離職者が増え、ノウハウが流出する恐れがあります。また、課題を抱えたまま働く女性たちのフィジカルやメンタルが悪化すれば、会社の生産性の低下につながるかもしれません。

解決策:“知ってもらう取り組み”をします。知ってもらう際には、ただ女性の課題を伝えるだけではなく、「男性と女性の違い」や「女性はどのようなライフステージを歩み、節々で何が起こるか」など、体系立てて理解してもらうことが重要です。また、「働く女性 健康スコア」などの客観的なデータ、社員の体験談など、説得力を増す要素を取り入れながら伝えることも有効。当初はリーダーやマネージャークラスの方に知識を身に付けていただくことを目指し、段階的に社内に広めていき、最終的には社長や上層部の方から「女性に関する取り組みをする」という宣言していただきたいと思います。

将来の展望:多様な働き方を認める会社には、多彩な人材が集まってきます。すると、社員のエンゲージメントもパフォーマンスも、もしかしたら給料もアップして、老若男女がハッピーに働ける会社になるのではないでしょうか。

●チームCのステートメント

課題:「女性たちが自身の健康課題への意識が低いこと」と「症状を我慢している女性が多いこと」。ヘルスリテラシーの低い女性は、突然の休職や退職のリスクを抱えています。また、不調を我慢していると、周囲の人が気を遣う、職場の雰囲気を悪くする、といった可能性があります。

解決策:1つ目は、セミナーや研修の開催。外部の専門家による講演をはじめ、ワークを伴う体験型の研修を取り入れていけたらと思います。2つ目は“課題の可視化”。「働く女性 健康スコア」を活用するなど、社内の現状把握をすることが大切です。同時に、役員や上層部の理解促進にも取り組んでいきます。

将来の展望:1人ずつのパフォーマンスが上がれば、チームのパフォーマンスも上がり、業績アップにもつながるかもしれません。また、会社へのエンゲージメントも上がり、人材流出の可能性も減っていきます。

●チームDのステートメント

課題:“働き方”にフォーカスし、「心置きなく休暇を取れていないこと」。生理休暇、産休、育休、介護休暇など、女性のみならず男性も含めて、会社の休暇制度を活かせていないことが課題です。

解決策:まず行うべきは“現状把握”。例えば、同業他社の取り組み、グループ会社の制度、海外の事例、厚労省や経産省のデータなど、あらゆる情報を集めて現状を把握します。また、産業医といった専門家を巻き込みながら、説得力ある情報とともに経営層に就業規則の改善を提案します。

将来の展望:休暇が取りやすい会社になれば、退職者が減り、有能な人が定着します。そして、生産性も業績も、株価も上がり、会社の魅力も上昇。健康優良法人となり、ホワイト企業と呼ばれるようになります。

──課題の抽出・整理、解決策を模索した、今回のワーキング。約2時間にもおよぶ議論の末にたどり着いた4つのステートメントを踏まえ、次回の開催につなげていきます。


産学医ウェルネスワーキング 開催データ
【開催日】2023年8月23日(水)
【会場】3×3 Lab Future(大手門タワー・ENEOSビル1階)
【参加企業】アサヒグループジャパン株式会社、アース環境サービス株式会社、アンファー株式会社、株式会社サンシャインシティ、東京産業株式会社、日本事務器健康保険組合、富国生命保険相互会社、株式会社保健同人フロンティア、株式会社丸ノ内ホテル、三菱地所株式会社、三菱地所・サイモン株式会社、株式会社三菱地所設計、三菱地所リアルエステートサービス株式会社、株式会社ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツ ※50音順
【共催】三菱地所株式会社、株式会社ファムメディコ
【協力】神奈川県立保健福祉大学イノベーション政策研究センター

※本ワーキンググループは、まるのうち保健室のプログラムにご参画いただいた企業様を中心に構成しております。

撮影/masaco

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