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医療分野にも踏み込み、さらに進化したまるのうち保健室。「働く女性ウェルネス白書2022」発表会

働く女性にフォーカスを当て、かつ臨床データと個人の主観を交えた「働く女性ウェルネス白書2022」の稀少性

会場には女性のキャリアや健康、ライフスタイルの分野に精通する多くのメディアの方々にも集まっていただき、「働く女性ウェルネス白書2022」への注目度がうかがえます。白書の調査結果と提言を解説する第一部、まるのうち保健室のプロデューサーである井上友美、神奈川県立保健福祉大学 ヘルスイノベーション研究科 教授 吉田穂波さん、株式会社ファムメディコ 取締役CVO 佐々木彩華さん、神奈川県立保健福祉大学 理事長 元厚生労働審議官 大谷泰夫さんが登壇しました。

まず最初に、井上が本調査の特徴や意義について紹介。「これまでまるのうち保健室では、“働く女性の選択肢を増やす”という想いのもと、健康管理に対するアプローチを行ってきましたが、今回は医療コンサルティングを手掛けるファムメディコとの協業により、オリジナル健診プログラムを開発し、医療分野に踏み込んだ調査を行い、企業・社会に対して調査から見えた課題を提示するところまで行きつくことができました」と本調査に対する想いを語り、4つの特徴・意義があると解説。まずひとつめは「希少性の高い働く女性を母集団とした調査」であること。働く女性にフォーカスを当てた健康・就労実態に関わる調査は世界的にも例が少ない、学術的な新規性が認められています。次に「働く女性たちのライフスタイルや価値観と臨床データの網羅的な分析」をしたこと。臨床データを含む健康調査として参加者全員が経腟超音波検査を実施していること。そして、「性差における女性健康への理解促進を焦点とした企業連携」を促進することで、調査から見えた課題を社会に向けてシェアすることができました。さらに今回の調査を契機に「企業主導でのソーシャルイノベーション」として、女性を取り巻く環境を見つめなおし、働きやすい文化醸成を、街を挙げて進めていきたいと今後の展望を宣言。

それに対し、「臨床データと個人の主観の双方を扱えていることが大きい」と神奈川県立保健福祉大学の吉田さん。これまで片方のデータはあったものの、両データがそろうことで検証ができた意義の大きさを「主観データは、参加者ご本人の訴えがなければ私たちは把握することができないもの。300名を超える参加者の方の声があって実現したこの新しいタイプの調査に参加できたことを非常に嬉しく思っています」と喜びの想いと共に語ります以下、調査結果について吉田さんより解説がされました。

今回、調査に参加してくださった女性は313名。そのうち、参画企業からの参加は221名、個人での参加者は92名となりました。年代は20代が32%、30代が36%と若年層が最も多く、62%が独身者でした。

印象的な結果として、経膣超音波検査で有初見率が26%となったこと、参加者の63%が隠れ貧血とされたこと、低用量ピルの服用率が全国平均の約5倍の15%であったことが挙げられました。また、このうち経膣超音波検査について、吉田さんは「有所見者の3人に1人が婦人科の受診経験がなかった」とし、日常の中で、婦人科を受診する機会をもっと、社会全体で増やしていく取り組みが必要だと語ります。

また、生活習慣についての調査では、平均睡眠時間が全国平均よりも短い6.3時間という結果に。また、BMIの平均値や肥満の割合は全国平均よりも低いものの、体脂肪率が肥満に該当する「隠れ肥満」が33%存在することが判明。体重と身長から割り出すBMIだけではなく、体組成の測定も行い、隠れ肥満の見落としを防ぐ必要があると説明されました。

働く女性の就労環境を調査したデータからは、リモートワーク実施者はPMSが軽い傾向があり、時短、フレックス制度による婦人科疾患リスクが軽減されているという事象も見られました。職場での上司や同僚との日常会話の多さや、リモートと対面のコミュニケーションのバランス、就業時間の自由度が仕事におけるパフォーマンスや健康状態の維持との相関関係にあることを読み取ることができました。

白書を通じて見えた、女性が働きやすい環境づくりに企業、社会ができること

調査結果を踏まえ、ファムメディコの佐々木さんは「上司のサポートや理解をもっと深め、自分のペースで仕事ができる裁量権を渡していくことで、生き生きと働く人が増え、結果、PMSの身体症状を感じにくくなる可能性が示唆されているのではないかと思います」と説明。「女性社員の健康就労課題に対して取り組みを始めている企業が非常に増えてきていますが、一方で女性の課題が多岐に渡るため、何から始めていいか分からないという声も多く寄せられています」と、振り返ります。企業に向けた、女性の健康サポートの取り組みに関する指南も今後必要なのかもしれません。

また、今回は検診プログラムの同日に助産師相談会も実施。そこに寄せられた相談内容について、20~30代の若年層が月経痛やPMS、特にピルの服用やミレーナなどに関する相談が多かったことに対し、40代以降は更年期に関わる相談が多く見られたと紹介されました。また、現時点で妊娠の予定はないものの、将来の妊娠に対する悩み、身体づくりへの関心度の高さも、AMH(卵巣年齢)の検査を付与した人が全体の12%と最も多かったことや、「将来的に子どもが欲しいと思っているが、年齢的なリミットを考慮しながら、今何をすべきか?」、「卵子凍結について詳しく聞きたい」といった質問が多く寄せられたことからもうかがえました。

最後に、社会・コミュニティ(企業・アカデミア)・個人ができることについての提言を発表。企業やアカデミアに対し、女性特有の症状や疾患を学ぶ機会の創出や課題抽出、サポートし合える環境づくりの促進を推奨しました。

さらに、会の中では「働く女性ウェルネス白書2022」のアドバイザーを務めた慶應義塾大学 名誉教授 吉村泰典さんより映像でコメントが寄せられました。吉村さんは生殖医療の第一人者であり、現在でも女性のヘルスリテラシー向上に走り続けている人物です。本調査ではPMS、不妊症、更年期症状について、その症状や対処法に関する理解度も調査したのですが、どの症状についても「症状は知っているが対処法は知らない」と回答した人が最も多く、症状を感じていても「通院経験がない」と約4割の人が回答。女性個々人のリテラシーを高めるためのアクションを社会、コミュニティ、個人が手を取り合って進めていくことの重要性を強調しました。

「本調査の目的はさまざまな働く女性の健康問題を取り上げ、問題解決のためのヘルスリテラシー向上を目指すことにあります。白書には次の5つの特徴が見られました」と特筆すべき点を挙げてくださいました。

(1)女性の月経に伴う諸症状に対するヘルスリテラシーが必ずしも高くない
(2)産婦人科受診率の低さ
(3)社会・企業は、女性が働きやすい環境と文化の醸成を役割として担うべき
(4)男女の生物学的差異と性差にとらわれないこと、2点の理解が必要
(5)自らの生活習慣を見返し、ベストパフォーマンスができるように心掛けることがヘルスリテラシー向上にもつながる

「白書を通して、全国の働く女性のヘルスリテラシーの向上が大いに期待される」と吉村さん。様々な現場を見てこられた吉村先生からのエールに、勇気づけられます。

続いて、神奈川県立保健福祉大学 理事長の大谷さんは「今回の取り組みは、いわゆるエポックメイキングな白書であり発表イベントではないか」とコメント。「女性の疾病リスクが30代から発症していることがデータから明確になりました。この結果をもとに、男性モデルを軸に構成されている様々な施策を見直し、女性の健康課題をオプション的なものとしてとらえず、正面から向き合っていかなければなりません。業界、地域を超え衛生行政の変革に至る、ヘルスイノベーションの発火点になることを期待しています」とその背景を説明するとともに、助産師にも光が当たったことにも注目すべきだと語り、構想を含め3年を要した本調査に、改めて関係者へのねぎらいと感謝の言葉を述べていらっしゃいました。

バービーさんを交えて本音トーク! 女性が働きやすい環境はどうしたらつくれるの!?

後半では、フォーリンラブのバービーさんを招き、井上、佐々木さんとトークセッションを行いました。実は、バービーさんは自身のYouTube「バービーちゃんねる」ではメイクや美肌をテーマにした動画だけでなく、生理やピルといった女性の悩みについてもオープンに発信されています。今回、等身大の働く女性たちの今に寄り添っていただけるゲストとしてお招きしました。

まず1つ目のテーマは「PMS、月経時のパフォーマンス低下について」。普段の自分と比べて「20%低下する」と回答された調査結果に対し、バービーさんは「本当は40%ほど減っているかもしれない。それを少なく見積もって20%としているのかもしれません。実際に自分自身が生理痛とどんな風に付き合っているのか…流されるままですね(笑)」会場に笑いかけます。「日々意識をしていても、いざ波がきてしまったらあらがえないんですよね」との一言に、登壇メンバーだけでなく、会場にいる多くの女性陣もうんうんと頷きます。

2つ目のテーマは「ピルの服用率」。参加者の15%が服用しているという結果に対し「まるのうち保健室の取り組みを始めた、2014年ごろは数%だったのに、この数値の伸びには想像以上でした」と驚く井上に対し、「以前は避妊目的が多かったものの、今はヘルスケアの目的で使う方が増え、オープンにしやすくなっているのかもしれません」と佐々木さん。その説明に納得しつつもバービーさんからは「私も飲まなければ症状が抑えられなかったのですが、逆に言うとピルを飲まなければ動けない人がたくさんいることの裏返しでもありますね」と鋭い考察も。

そして、テンポよく「婦人科受診のしづらさ」という3つ目のテーマに話は進みます。「痛い、怖いと思っている人が多いのかもしれません」と言う井上に対し、バービーさんは「私なんか婦人科のかかりつけ医を3つ持っているんです。なかには怒る先生など、相性が悪いと感じる場合もある。私はネットで評判や先生の顔を見て、寄り添ってくれそうだなと判断してから受診します。実際には診察の時間もあっという間。一瞬なので受診してほしい」と、なんとなく婦人科を敬遠している女性にとって心強いお言葉。とはいえ受診することが「恥ずかしい」という気持ちも…。「でも、カーテンで仕切られているのは日本だけだと聞いたことがあるんです。お気遣いポイントがあると思っていただいて」という言葉に、さらに婦人科との気持ちの距離感が縮まった視聴者も少なくないはず。また、佐々木さんから受診するにあたって「子宮頸がん検診と経膣超音波検査は別。子宮頸がん検査だけでは不十分なので、ぜひ経膣超音波検査も受けてほしい」というアドバイスもいただきました。

最後のテーマは「働く環境について」。バービーさんは「私は組織で働く人間ではないので、自分でスケジュール調整をしやすい面があります。ただ、会社員のパートナーを見ていると、女性が妊活や子育てとキャリアとの両立をするのは相当難しそうだと感じます」と、働く女性が置かれているシビアな環境についてしみじみと共感。ただ、環境を整えるためには「女性から声を挙げていくことも大切。知らないがゆえにサポートできていないところもある」とし、「言いにくいところもあるかもしれませんが、私はドッキリ企画で落とし穴に落とされたりお酒を飲まされたりしたら困るなど、積極的に周りとコミュニケーションを取っています。言えない立場の人もいるだろうなとも思いますが、何とか言えるところから言っていければ」と激励の言葉も。

最後に設けられた質疑応答では、参加者から「肥満という言葉に過敏に反応し、食べなくなってしまう女性もいる。隠れ肥満の対策についてより詳細に知りたい。」との質問が寄せられました。この質問に対し、吉田さんは「隠れ肥満は体脂肪率の問題であるため、BMIで見ると痩せていてもなり得る。大切なのは筋力を付けることなので、栄養バランスを整えた食事や運動が大切です」と、多くの女性が抱える難問に学術的な見地から回答。まるのうち保健室は食事と運動(加えて睡眠)の大切さを訴え続けてきましたが、継続的に伝えていかなければいけないということを実感する締めくくりとなりました。

あらためてデータとして働く女性の健康実態が明らかになった本調査。バービーさんを交えてオープンに女性ならではの身体のことやPMSなどの悩みが話されましたが、こんな風に一人で抱え込まず、明るく話せるムードづくりこそが、女性が働きやすい環境作りの第一歩なのかもしれません。本取り組みをモデルケースとし、今後さらに多くの企業や女性たちを巻き込む活動へと展開してまいります。

>>「働く女性ウェルネス白書2022」のダウンロード

>>発表会事後リリースはこちら
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000148.000043503.html

当日の様子を動画でご覧いただけます
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