<まるのうち保健室2016>実施報告会が開催されました!
去る3月9日に”2016年度のまるのうち保健室実施報告会”が行われました。どんな発見があったのでしょうか。その様子をお届け致します。
今年度のまるのうち保健室は、行動変容を追跡すべく、事前測定と事後の2度測定を行い、タッチポイントを増やして健康意識を継続できるよう部活動や特別セミナーを開催。参加者の皆さんたち(レポートに協力いただいた限定された参加者の皆さん)には1ヶ月分の朝食や補食のトライアルキットが配布され、具体的なオリジナルメソッドも伝授。1ヶ月間向き合ったトライアルチャレンジ、そして実践に移すためのレクチャー、果たしてその生活には変容があったのでしょうか!?そしてそこから見えてきた、働き女子が抱える新たな課題とは…?
報告をしてくれたのは、食育丸の内/丸の内シェフズクラブ事務局のプロデューサーであり、まるのうち保健室の仕掛け人、井上友美さん。「今回は、事前・事後に分けた測定会を実施することで、取り組んできた食生活改善や運動の効果を数値化しました。具体的なアドバイスと共に、気づきから習慣へと促すフィードバックセミナーも実施しました。また、具体的に取り組める6つのメソッドや運動アドバイス、婦人科プチセミナーだけでなく、協賛各企業と共に部活動やセミナーなど、問題を具体的に解決していけるコンテンツを用意しました。一方的に情報提供するのではなく、共に日々のスケジュールを立て、食事や運動をプランニングしていくことこそが、今回の行動変容の実積UPに繋がったと思います」と井上さん。
続いて、まるのうち保健室を立ち上げから牽引する予防医療コンサルタントの細川モモさんが具体的な報告に移ります。「事前測定から事後測定、変化した生活習慣はありますかとの質問に、「変化した」と答えた人は全体の約9割(集計対象者は86名)に上りました。測定結果を手にした参加者たちは、想定外の自分の数値に向き合い、行動に移しました。栄養を考えた献立(たんぱく質や果物など)を取り入れた、間食の内容を変えた(ナッツなど)、運動するようになった(スクワット・階段利用)など様々です。とりわけ、朝食トライアルキットを配布したことで、朝食摂取率がアップしました。」このことにより「痩せ型」(※1)女性の減少に繋がる結果になったと言います。毎朝朝食を摂ることの大切さを、今一度見直す必要があるようです。
(※1)ここで言う「痩せ型」とは、一般社団法人ラブテリの基準である「7タイプ別体型」における省エネ型、寝たきり予備群型、オーバーアクティブ型を指しています。
「体内時計のリセットに欠かせない主菜を食べている人は全体の12%と低かったのですが、朝食提案により、パンとサラダのようなシンプルな朝食から、ただ食べるだけではなく、卵やベーコンなど、栄養とエネルギーに代わるものを摂取する傾向へと変化していきました。何よりも、正しい情報と環境整備がいかに行動変容に繋がるのかが明らかになったということだと思います。誰でも気が進まない、面倒だ、などやらない理由ならいくらでも挙げられるものです。しかし、周りがほんの少し手を差し伸べたり、背中を押すことで、こんなにも変化できるのです。」と、モモさんは語ります。
「疾病予防の観点から、若年女性を対象に初めてロコモ度テストを実施しました。今回20〜30代の参加者の約3割もの人が将来の寝たきり予備群であるロコモ度1〜2に該当していました。これは本当に憂うべきことです。これまでこの若い世代がこのような事態に陥っていることは予測されていませんでしたから、測定を実施したことすら、ほぼありませんでした。「痩せ型」(※1)で栄養、運動、睡眠不足の人は要注意です。これが進むと筋肉や骨などの衰えに繋がり、移動機能を低下させることが危惧されています。目標にした 〝1日30回のスクワット〟ですら実施率は低く、働き女子がこまめに運動することの難易度の高さが浮き彫りになりました。」
続いてモモさんは、今回の大きな3つのテーマ「栄養」「運動」「睡眠」のなかでも、見落としがちだという「睡眠」について報告します。「毎日のお通じや食事から、糖質や脂質の吸収を抑えてくれる健康維持には欠かせない食物繊維が、昨年に引き続き高い不足率になっています。食物繊維の供給源である野菜、果物、穀類、海草類、根菜類の摂取が不足していることが原因と見られます。ハッピーホルモンと言われるセロトニンの95%を生産する腸内細菌を整える栄養素が食物繊維なのです。腸内環境が整うと、質の高い睡眠を得られる可能性がアップし、翌朝の目覚めや疲れの取りやすさが変わってくるのです。1日の生産性を考えても、欠かせない大切な栄養素です。」
今年度はこれまでの、まるのうち保健室から導き出されたメソッドを、解りやすい6つの習慣に置き換え指導を行ってきました。
【1】朝ごはんを食べる。
【2】栄養のあるおやつを食べる。
【3】カフェインを減らす。
【4】1日30回スクワット。
【5】朝ごはんにたんぱく質を摂る。
【6】光を意識した生活。
これらの具体的な目標は事務局とモモさんが相談して打ち出した「毎日できるさりげない、やってほしいこと」でした。これに対して、全て実現するのは難しかったものの、なかでも「朝ごはん摂取」、「朝ごはんにたんぱく質を摂る」、飲み物を変えるといった取り組みには変化が見られました。モモさんは大切にしたいポイントを3つ挙げます。「1つ目は『何をどう食べるのかがカギ』ということです。忙しいとどうしても炭水化物中心の食事を急いで食べてしまいがちですが、なるべく魚や肉が摂れる定食にしたり、おにぎりと合わせてサラダやチーズ、ゆで卵を食べるなど、野菜とたんぱく質を積極的に摂りましょう。また腹筋や背筋をつけて猫背を解消すると胃の働きを助け、腰痛や肩こりの改善にもつながります。」
「2つ目は『○○しながら運動』。運動器の状態を調べる「ロコモ度」テストによると、働き女子の3割が寝たきり予備軍でした。とはいえ、忙しく働く中で運動の時間をつくるのは難しいもの。例えば駅やオフィスでの移動は階段にするなど、普段の行動の中でこまめに身体を動かすことを考える必要があります。3つ目は見落としがちな、『睡眠は長さよりも質』という点です。1日の疲れはその日の睡眠で解消するのが理想です。寝る直前までスマートフォンなどの画面を見ていると、脳が刺激を受けるため寝付きが悪くなります。ゆっくり湯船につかるなどして心と身体をリラックスさせて、深く眠れるようにしましょう。」
総括の最後にモモさんはこんな観点で力を抜き、健康に取り組めばいいとアドバイスしてくれました。「忙しく働く女性たちにとって、「健康に留意しなければいけない」と頑張ることが、逆にストレスになる場合もあります。時間や気持ちに余裕がないときは、例えば朝食は会社の近くのカフェでモーニングセットを利用するなど、上手に「手抜き」をすることも大切です。丸の内にはそうした「健康に気をつけたいけど…」という人たちをサポートするレストランやショップがいろいろあるので、企業や社会のサポートをぜひ活用してください。」
賢く考え、時間をセーブしつつ、効率良く健康で居続けながら働いていきたいものです。