まるのうち保健室2015 第3回 イベントレポート
「まるのうち保健室」の参加者の多くが意識している「妊活」。健康な出産には、女性ホルモンの変化が大きく関係していることをご存知でしょうか。また、たとえ出産を望んでいなかったとしても、月経を毎月迎え、ホルモンバランスの変動が起こることで、男性に比べてより様々なカラダの不調を抱えやすい傾向にあることから、女性だからこそ、知っておきたいカラダに関する知識は様々なものがあります。
7年周期で変化を迎えるとされる女性の「ライフステージ」をよりよく過ごすためにも、特に婦人科の知識はきちんとおさえておきたいところ。ただ、お友だちとの会話や、マスコミで流れてくる情報には食い違う事柄もあり、何が本当で、何が間違っているのか、今更誰に聞いたらいいのか分からない!そう思っている事はないでしょうか。
「まるのうち保健室」では、会場内で、聖路加メディローカス(大手町)の酒見先生が30分程度の基本的な婦人科プチセミナーを開催。1日に4回開催するセミナーの席は毎回満席。参加者が真剣な顔で先生のお話に耳を傾けている様子が見受けられました。
さて、先生のプチセミナーはどういった内容だったのでしょうか?今日のレポートでは、セミナーの一部をお届けします。
みんなが気にする体重やBMI。「太りすぎ」「痩せすぎ」は具体的に何がいけないの?「まるのうち保健室」では、体組成計で、BMI や筋肉量・水分量など、体の内側の数値を計測します。BMI とは、体重と身長の関係から肥満度を表す体格指数のこと。一見、ほっそりとして見えても内臓脂肪が多く、BMI が平均数値より多く表示される方もいれば、一方で、筋肉どころか脂肪も少なく、痩せすぎていることで、BMIが平均数値より大幅に少なく表示される方もいます。状態は様々ですが、こうして平均数値外になってしまうことは、具体的に何がいけないのでしょうか?
酒見先生によると「太りすぎ・痩せすぎ共に、不妊に影響すると言われています。まず太りすぎの場合ですが、BMI が高く高度肥満になればなるほど、糖尿病などの生活習慣病にかかりやすくなります。高インスリン血症にかかることで、正常の排卵が抑制されてしまう。また、痩せすぎの場合は、体が常に飢餓状態にあることから、自然の摂理で要らないものから排除していこうとし、排卵が止まってしまう可能性があります。無月経の症状も、痩せすぎの方に多く見られる傾向です」.それでは、妊活をするにあたって、BMI はひとつの指標になるんでしょうか?
「個人差があるので、一概にBMI だけで判断することはできません。肥満の方でも正常に排卵・妊娠し、健康な出産を迎える方もいらっしゃいます。ただ、ダイエットを意識するあまり、普段から体重の変化が急激に起きている方がいます。急な体の変化は、ホルモンバランスを崩してしまいますので、実はこれが最もカラダに悪いこと。妊娠以前に、ご自身の生活の中で不調が増えて、暮らしづらくなってしまうので、バランス良く、体をベストな状態で長く保つことを心がけてもらいたいです。」カラダの悩みと薬の服用、辛い生理痛。ついつい鎮痛剤を毎回服用してしまいますが、カラダには悪くないのでしょうか?
「個体差によって、生理痛はタイプもその重さも変わりますね。中には出社できなくなり寝込むほどの方もいます」と酒見先生。
「辛いときは、無理せず鎮痛剤を服用して問題ありません。ただ、一言で生理痛といっても、人によっては頭痛がひどかったり、下痢・便秘に悩んでいたり、腰痛や末端の冷えといったように様々な症状があります。市販の薬もそれに応じて様々なタイプが販売されているので、薬局で相談してご自身に合ったものを服用するようにしてください」とのこと。もしも、薬局では相談しづらい場合や、細かい相談にのってほしいときは、婦人科を訪れ相談することもおすすめです。
「卵巣年齢」とは、カラダが歳とともに老化していくように、卵巣が持っている年齢のこと。女性は、生まれたときから卵巣に卵子を持って生まれてきます。初潮を迎えると、月経を迎えるたびに毎月数百個ずつ卵子は減少し、増えることはありません。また、加齢により卵巣も老化するので、卵子の質が低下し、受精能力のある卵子を育て、排卵することが難しくなるため、高齢での妊娠は難しいとされているのです。
ただ、最近注目されている「卵巣年齢」は、実際の年齢とは異なるもの。卵巣の老化は自然現象ですが、普段の生活習慣や食生活などにより、老化のスピードを遅くすることはできます。
酒見先生の回答は「直接的にサプリメントが卵巣年齢に効くとは言うことができませんが、卵巣・卵子の若さを保つセルフケアとしては”規則正しい生活”があげられます。ストレスをためず、健やかな睡眠をとることが大切なように、バランスのよい食事も大切です。
まるのうち保健室の食生活カウンセリングでアドバイスを受けた、女性のカラダによい栄養分もしっかり食事で吸収して、どうしても足りない栄養素についてはサプリメントで補うのはいかがでしょうか」とのことでした。
「かかりつけ、というほど日常的に診てもらう先生を作るのは、何か具体的な疾患が気になってからでもいいのではないでしょうか。ただ、それ以前にちょっとした心配事や、相談したい事は、かかりつけの医師とはいわないまでも、気軽に婦人科の門をたたいて、わたしたちに話してもらえたらと思っています。男性に比べ、女性はホルモンバランスの変化から体調の変化が出やすいのが現実です。ひとりで抱え込まずに、気軽に相談しにきてくださいね」とのことでした。
自分のこととなるとつい後回しにしてしまいがち。未来のため、ささいなことでもかまわないので、まずは一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
酒見先生が在籍する「聖路加メディローカス」(大手町)はこちら!
⇒ http://medilocus.luke.ac.jp/