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<まるのうち保健室・第5回レポート>婦人科外来受診のススメ ?婦人科の悩みのウソ・ホント!

「まるのうち保健室」会場内で開催している「聖路加メディローカス プチセミナー」

 日本人の女性にとって、歯医者や目医者に比べ、かかりつけの医師を持つ習慣が少ない婦人科。でも、乳がんや子宮の病の可能性や、出産に関する知識など、正しいことを知り、身につけておくことで、より健やかで美しい女性を目指すことができます。

「まるのうち保健室」では、そうした婦人科の基本的な知識を気軽に学んでもらうため、「聖路加メディローカス」にご協力いただき、30分の盛りだくさんのプチセミナーを開催。
今日は担当の酒見先生がお話ししている内容の一部をレポート。人にはなかなか聞けない婦人科の基礎知識や、ちょっとした悩みをすっきり解決していただきます。

生理周期の正しい見方

カウンセリング風景

「生理周期」とは、「月経が始まった日を1日目と考えて、次の生理が始まり前日までの期間」のこと。平均的には「24日〜40日」と言われています。
「中には月経が始まる前の少量の出血から数えたり、明らかな出血はないけれど、おりものが出ている期間をどう捉えればよいか分からない方がいらっしゃいますが、心配なときは婦人科に相談にいらしてください。個体差もあるので、それほど心配しなくても大丈夫。」と酒見先生。

 ただ、自分のカラダのリズムを把握する為にも、生理周期は記録しておいた方が良いですね。

「月経周期がまばらというだけで気に病んでしまうと、かえってストレスをためてしまいます。出産に関して言えば、重要なのは月経のあるなしではなく、排卵がきちんと行われているかということ。これは極端な例ですが、半年間に一度しか月経がなくても、出産を二度経験した方もいらっしゃいます。気になるときは、月経周期の記録だけでなく、基礎体温を記録する習慣を持って、排卵のあるなしには気を配るようにしましょう。」とのこと。

 月経では、もう一つ、月経前や月経中のカラダへの影響が気になりますね。中には貧血症状や下腹部痛や頭痛のひどい方もいますが、薬の服用は問題ないのでしょうか?

「月経痛のひどい方は、無理せず鎮痛剤を服用して大丈夫ですよ。ポイントは、そろそろかな…というタイミングで、痛みのピークが来る前に服用を開始すること。市販の薬がどうしてもきかない!という時は子宮内膜症や子宮筋腫の可能性もあるので、必ず病院で看てもらうようにしてください。今は治療法も発達し、漢方薬や低容量ピルなど色々な症状のコントロール方法がありますので、よく相談し納得のいくものを選んでくださいね。」と酒見先生。

また、月経前や月経中は、ホルモンバランスの変化から、どうしてもイライラがたまったり、疲れやすくなり、肌荒れを起こす方も多いのが現実。この時期は予定を詰め込みすぎず、リラックスして過ごす時間を持てるようにするのも大切ですね。

生理周期の図不妊治療はいつくらいから始めたら良いですか?

「妊娠を望んでいても、なかなか実現しない。どう判断して治療をスタートしたら良いのか分からない。そんなときは受診のタイミングです。婦人科で基本的な知識から相談することができます。年齢や個々の事情によって、不妊検査、治療の順番や方針は異なります。大切なのは、ご本人とパートナーがどうしたいのか。施設によってはできない治療や検査があり、相性もあります。医師と信頼関係を結び、よく相談してみる、それからはご自身の選択になります」と酒見先生。

具体的な治療の開始の前に、まずは気軽に専門外来で相談して、パートナーと共に話し合う場を持ちたいですね。

最近耳にする「卵巣年齢」。正確には何のこと?

 欧米諸国に比べて、まだまだ日本では浸透していない「卵巣年齢」。これは「その女性の卵巣にあとどれくらい卵子を排卵できる状態かどうか計る為の年齢」のこと。

実は、卵子の数は、女性が産まれた瞬間に決定しており、出生時で約200万個、初経時には約30万個に減少しています。月経が始まると、排卵の有無に関わらず大体1か月に1000個の卵子が消滅していきますので、年齢を重ねると共に、卵子の数は減っていきます。 見た目はどんなに若く美しくても、卵巣にある原子卵胞の量が少ないため、若くして閉経してしまう方(早発卵巣不全)がいます。  卵巣機能の検査として、血液検査AMH(アンチミューラリアンホルモン)の検査で「卵巣に残っている卵子の目安」を調べることが可能になっています。今後、早発卵巣不全の早期発見や、女性の妊娠出産等の人生設計を考える指標として役立てることができるのでは、と医療業界でも注目されています。

ただ、誤解されがちなのが「卵巣年齢が高い」=「妊娠率が下がる」ということ。「AMHは個体差が大きく、低くても若い女性であれば良質な受精卵ができる可能性が高く、その方の年齢なりの妊娠率は出るはず。卵巣年齢の検査はまだまだ日本ではメジャーではないですが、気になる方は相談してみてくださいね」とのこと。

妊娠前後に気をつけたいこと

 妊娠が分かってからの運動や飲酒、喫煙に関する知識は様々ですが、いったいどれが正しいのでしょうか?

「例えば飲酒や喫煙に関しては、日本国内では基本的に、妊娠が分かってからは絶対やめるよう勧めています。これは、お母さんが吸収したアルコール、ニコチンは直接的に、体内の赤ちゃんに供給されてしまうため。また喫煙は血管収縮作用があり、赤ちゃんの体重が小さくなることが報告されています。母体と赤ちゃんは胎盤を通じてつながっているので、お母さんが吸収したものはほぼ100%赤ちゃんも吸収することになります。その上、肝臓も未熟な赤ちゃんの方が、アルコールの副作用が長く続きます。産後授乳中も同じ事が言えます。母乳は血液でできているので、出産後もアルコールの摂取は控えるようにしましょう」と酒見先生。

 ただ、国によっては、ヨーロッパでは妊娠中でもアルコール制限が緩やかな所もありますね。

「そうですね、国によって異なりますが、これも個体差があるとはいえ、妊娠中の飲酒は外見や脳の発達への影響があるため、世界的にも制限する方向にあります。と言われています。もともと必要以上の飲酒や、喫煙はカラダに良い影響をもたらさないので、できるだけ妊娠を望んだ時からやめるよう心がけましょう。また、妊娠を望んだ時からサプリメントの葉酸を開始してください。妊娠前から葉酸をとっていただくことは、赤ちゃんの体の異常などのリスクを下げる報告があるため、強く勧めています」とのことです。

 では、運動はどの程度続けてもいいのでしょうか?

「出産は体力がとっても必要になる活動です。体力低下を防いだり、血液が固まる病気にかからないようにしたりと、適度な運動は妊娠中でも充分効果のあることです。ストレス発散にもつながりますから、無謀なことはしないよう気をつけつつ、体力維持のためにも運動は心がけたいですね」

生理周期の図最近耳にする「卵巣年齢」。正確には何のこと?

「妊娠反応が陽性になっても、約15%は妊娠初期の自然流産となります。また、0.5~1%で発生するのが子宮外妊娠。子宮外妊娠(異所性妊娠と最近は呼ばれます)は子宮の外に赤ちゃんが妊娠してしまうことで、時に母体の生命を脅かす危険のある病気です。ただ、妊娠が発覚した初期の4週目までは、エコー検査でも子宮内を正確には把握することができません。お腹が痛くなるなど不安が生じたら、早めに婦人科を訪れるようにしてくださいね」とのこと。

 大人のカラダに比べて、とても不安定な状態で産まれてくる赤ちゃん。お産の直後も突然の病気にかかったりしないか、不安ですね。

「残念ながら、すべての赤ちゃんが元気にお生まれになるわけではありません。妊娠中の出生前検査で全てが分かるわけではありませんが、検査で分かる事の可能性や、その後の選択肢などを学んでから出産に望む事も、時に大切です」と酒見先生。
また、体力をたっぷり使う出産後は、母体にもかなりの負担がかかっています。パートナーや家族の理解のもと、赤ちゃんとともにゆっくりと暮らしを送っていくことで、体内を整えてあげたいですね。

「それから、閉経後であっても、おりものやお腹の痛みで不安を感じることがあったら、我慢をせず婦人科に相談するようにして下さい。女性は月経の開始前から閉経後まで、生涯女性特有のカラダの変化があります。産婦人科?病院?と聞くと大げさに感じられたり、高額な検査が必要なのではないか?というイメージを持たれたりするようですが、そんなことはありません。
受診前の工夫として、聞きたい事をメモにまとめて”これが知りたいです!”といった形で聞いていただけると、医療者とより良いコミュニケーションが取れるのではないでしょうか。きちんと必要な知識をお伝えすることができるよう、私たちも環境を整えています。
一般的な情報に惑わされ不安に思ったり、ストレスを感じていらっしゃるようななら、気軽に病院に訪れ、ご自分が安心して相談できる専門医を見つけてくださいね!」と酒見先生。

婦人科のかかりつけの医師を持つ習慣のない日本では、ハードルが高いイメージを持っている方も多いかもしれません。ただ、聖路加メディローカスをはじめ、専門外来の先生達は、女性の皆さんの心強い味方になれるよう、相談しやすい環境作りを用意し、悩みに応じて選べる様々なプランを提供してくださっています!
人間ドックや健康診断だけではなく、一年に一度でも、婦人科にかかる習慣を作れると、出産やご自身の女性としてのカラダの変化にも、安心して準備をしていくことができます。ぜひこの機会に、婦人科を訪れてみてはいかがでしょうか?

「まるのうち保健室」でのプチセミナーでは、あくまでベーシックな女性のカラダに関する知識を先生がお話してくださっています。もっと詳しく知りたい!個別の相談に乗ってほしい!という方は聖路加メディローカスへ…
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