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食育丸の内プロジェクトの一環としてSoup Stock Tokyoの代表、遠山正道さんをホストに連続7回開催されるシリーズワークショップが丸の内で開催されました。
第4回のゲストは「DEAN & DELUCA」を経営する横川正紀さんです。知られざる立ち上げのお話やこれまでの数々の苦労と成功のお話を伺っていきます。お弁当のテーマは「シェア」、生徒さん同士のシェア、作り手と食べ手のシェア、さまざまなシェアが集まりました。

 前半は横川さんのお話を伺っていきます。横川さんはファミリーレストラン「すかいらーく」を創業し経営する元祖飲食経営一家のご出身、4人兄弟の末っ子だったお父さまは業態開発やデザインを手がけていたそうです。当初は東京の国立で「ハンバーグレストラン」としてスタートした「すかいらーく」はその1年後くらいからファミリーレストランと謳いはじめました。当時より、ロゴマークをデザイナーに依頼したり、建物を建築家にお願いするなどこだわりを持って展開されていたそうです。1店舗目は国立ICに近い甲州街道添いにオープンした、木造のキャンチレバー(柱の無い屋根が突き出たような構造のモダンな建築)のレストラン。銀座など都心からもお客様が多数いらっしゃるほど大変話題になっていたそうです。毎週、運営するレストランに父親と試食を兼ねて訪れ、子供ながらにメニューやサービスアイデアも出していたとか。現在の横川さんのお仕事に繋がるきっかけが当時の生活の中にたくさん散りばめられていたのでしょう。

 その後、一家の決まりである「経営に家族を巻き込まない」という決まりのもと、家族会社への進路は選ばず、家具やインテリアの道に進む横川さん。最初に入社した会社で都心の文化的なエッセンスを吸収した後、配属されていた部署が業績不振で撤退になってしまったため、それを機に独立して仲間とはじめたのがジョージズ ファニチュア(現・ウェルカム)でした。

横川:「京都をはじめ、いくつかのショップには、ロータスやバワリーキッチン等を経営されている空間プロデューサーの山本宇一さんにお手伝い頂きカフェも併設しました。
2003年に山本宇一さんにお声がけ頂き始めたDEAN & DELUCAは、OPENしてしばらくの間は苦戦しました。丸の内、渋谷、に続き品川にも大きな店舗を出したのですが、特に品川は生鮮産品を取り扱いましたが、これがなかなか売れてくれない。NYのSOHOの本店には、クラッシュアイスの上に新鮮な魚がたくさん並べられてそれはそれはかっこよく、それを目指して始めたんですが、上の階に大型のスーパーが入っていたこともあり、毎日どれだけ食べ物を捨てるんだとジレンマに陥りました。結局オープンして半年でお店を改装して、生鮮のスペースをカフェにしました。また常においしい「ベーカリー」を多数用意しておくというのもなかなか難しいことでした。世田谷区くらいの大きさのマンハッタンには何百軒ものベーカリーがあり、自転車で各店からソーホーのDEAN & DELUCAに持ってきてくれるのでさまざまなベーカリーのセレクションが成り立つのですが、それと同じ事を東京でやろうとするのは難しいんですね。」

横川:「現在は社内に職人さんを雇ってオリジナルで焼くようになりました。現在は全国に18店舗、既にスタートしてから10年の月日が流れ、売り上げは60億に達しました。やはり好きな事だから踏ん張れるんですね、それこそ友人や身近なひと、もちろん遠山さんにも「いいね」と言われる仕事にしたいと思っています。ださいことして遠山さんに「やっちゃったな」って思われるのなんて絶対嫌ですからね(笑)。
自由が丘の「TODAY’S SPECIAL」は10年前に世界中の良いものやデザインを集めた「CIBONE」を青山と自由が丘に作ったんですが、自由ヶ丘にいらっしゃるお客様は、より暮らしに根付いたものをもっと求めているんじゃないかな、と思い至りまして。リアルなライフスタイルを提案できる市場のようなお店を作りたいなと思って始めました。」

 さて今回のお弁当のテーマは「シェア」です。

横川:「この企画を頂いた時に、そもそもどちらかというと食べるのが専門なので自分で自分にお弁当を作ったりはしないのですが、ぱっと頭に浮かんだのが「お節」でした。私は通常ひとりであまり食事をしないし、食卓を囲んで食べ物について話を分かち合うのが好きなので、そんなイメージのお弁当ができたらいいなと思いテーマを「シェア」にしました。「和」の食材を選び、秋の収穫をイメージして日本の究極のフィンガーフードだと私が思う「手鞠寿司」を作ってみました。みんなで囲んで旬を楽しむ題して「秋の輪ごみ弁当」です。」

 一方ホストである遠山正道さんのお弁当は、シェアするって何かな?と考えたときに「赤福」を思い出し、1種類の何かを作って、皆さんにシェアする、ということも成立するかなと思ってそういう主旨でお弁当を作られたそうです。

遠山:「タイトルは途中まで決まっていて『へらきんとん』です。栗ごはんを下に引いて、上にかぼちゃ、さつま芋、緑豆の餡をのせました。さつま芋と緑豆には米飴を使いましたが、それ以外は砂糖を使っておらず、食材の甘さを引き出しています。こういう業態がやりたいなあと思います。」

 生徒さんのお弁当の講評は、いつもプレゼンテーションが時間内に収まりきらないため持ち時間は今回から2分に拡大。「Share」というテーマなだけに心なしか大きい包みを持っているひとがたくさん見受けられます。みなさん今回もプレゼンテーションに大変熱がこもっていました。

最後に参加者全員の投票で票が集まったのが”印象的だったお弁当”は同票で2名が選ばれました。コニシマリさんの鶏を丸焼きにしたお弁当は作る過程からFacebookでシェアを促していたというインタラクティブな側面も併せ持つ「鶏の丸焼き弁当」、もうひとつは仲田ゆきえさんの永遠に話が尽きない女子会と、不思議の国のアリスをイメージしたにぎやかなお茶会弁当「永遠に話のつきない女子会弁当」、”おいしそうだったお弁当”は佐藤多恵さんの好きな物ばかりを集めたお弁当、デザートの和栗のパウンドケーキまでついた「私の好きな秋ごはん弁当」、そして今回のテーマである”Shareなお弁当”は荒巻洋子さんのシェアはシェアでも半分こをイメージしたお弁当で、会話が生まれる仕掛けが随所に用意されたあえて半分に「しなければならない」ちらしずしや、お吸い物などの「半分このお弁当」でした。

コニシマリさんの「鶏の丸焼き弁当」鶏の丸焼き弁当仲田ゆきえさんの「永遠に話のつきない女子会弁当」永遠に話のつきない女子会弁当佐藤多恵さんの「私の好きな秋ごはん弁当」私の好きな秋ごはん弁当荒巻洋子さんの「半分このお弁当」半分このお弁当

 美味しい食べ物をつくる生産者さんとの出会いを求めて、自然豊かな福井県を訪れたのは、新丸ビルにある四川料理の伝統の味と技法を守りつつ、化学調味料を一切使用しない調理を確立した中華レストラン「四川豆花飯荘(シセントウファ)東京店」の遠藤浄料理長と、本店を本場バンコクにもち、ロンドン、東京、ドバイなど世界各国に展開する、丸ビルのタイ料理レストラン マンゴツリーの熊谷亜里専務。福井県は初めてだと話すふたりの期待いっぱいの旅は、ベビーリーフを中心に様々な野菜を育てる、なんとも個性豊かな生産者さんとの出会いから始まった。

ビニールハウスのある畑キッチンスタッフの一員として、畑に立つ男

 迎えてくれたのは、株式会社インスフィアファームの松井さん。7 年前に福井県にやってきて農業をはじめ、今やビニールハウス31棟、露地畑3haにて、一流シェフの舌を唸らせるベビーリーフをはじめ、様々な野菜を年間100 種類以上栽培している。松井さんの野菜は、基本的にレストランにしか出荷されない。美味しい一皿を調理するプロが、どのような野菜を使えばより付加価値を付けられるか、よりお客様を喜ばせることができるかを日々探求しながら、野菜と向き合っているという。「農業雑誌を読む時間よりも、シェフの料理本を読む時間のほうが長いくらいなんですよ」とくったくのない笑顔で話す松井さん。一流シェフと一緒にキッチンに立つ気持ちで、畑に立っていると話してくれた。いいものを栽培している、という強い意思がびんびん感じられる。なんだか話を聞いているだけでわくわくしてくる。遠藤料理長と熊谷専務の期待もどんどん高まっているようだ。「まぁ、まずは食べてみてくださいよ。」とビニールハウスの扉をあけてくれた。

ビニールハウス前の松井専務おいしいと感じる生物学的本能をくすぐる育て方

 ビニールハウスの中には数種類のベビーリーフが広がり、まるで緑の絨毯。どのベビーリーフも色が濃く、 強い生命力を感じられる。ベビーリーフは、現在約10 種類くらいを栽培していて、全国各地の約400 軒ものレストランへ届けているという。松井さんが栽培している野菜に、誰もが知る有名フレンチやイタリアンのシェフが惚れ込んでいるようだ。「ベビーリーフはやっかいな生き物ですよ。1 番美味しい時期を取り逃してしまうともう使い物にならなくなる」と話しながらしゃがみこみ、食べ頃のベビーリーフを見極めて手渡してくれた。

ベビーリーフ緑(左)ベビーリーフ紫(右)

 ちぎったばかりのベビーリーフは口に入れる前から強い香りが漂う。一口食べた遠藤料理長と熊谷専務は、「わぁ、味が濃い!」と思わず言葉を漏らし笑みを浮かべた。摘みたてだからということは勿論だが、それぞれのベビーリーフの個性を強く感じさせてくれる濃厚な味わい。ルッコラやマスタードリーフ、ビート、クレソンなど、どれをとっても味が凝縮されている。「これはチーズと合うんです。こっちは鴨肉のソテーに添えると絶品ですよ。」料理になった時のイメージを常に持ちながら栽培していることを感じさせるコメントとともに次々と野菜をちぎって手渡してくれる。

ビニールハウスのベビーリーフ

 どうしてこんなに美味しいんですか?という問いに「それは企業秘密です。」とにやりと笑顔を返す松井さん。それはそうだろう。でも知りたい。少しだけ教えてくれたのは、自然の摂理に寄り添うことだという。自然界と同じ厳しい環境で栽培する。冬は暖房をいれない。夏は日光カットもしない。勿論その環境での栽培は難しい。枯れやすくなるし虫がくることもある。けれどもそうすることで、冬は寒さのなかでゆっくりとしか育たず甘さが凝縮される。逆に夏はすごく辛くなる。その甘さや辛さは、体が季節の移り変わりとともに本能的に求める美味しさなのではないかと話してくれた。さらにもう少し教えてくれたのは、生産のし易さではなく、美味しさのために生産方法を決める、ということ。通常、水耕で育てることが多いベビーリーフだが、自然に近い状態の土耕で栽培している。その土も、アルカリ性に近づけると栽培しやすくなるのだが、日本の土はそもそも酸性に近い。ありのままの状態というこだわりは土を酸性に維持するというところまで徹底している。そうすることで驚くほど色の濃い美しいベビーリーフが育つのだという。シェフの料理を皿の上で美しく彩る名脇役となることを計算している松井さんならではの栽培方法だ。

松井さんのこだわりと技術力の高さに、遠藤料理長も熊谷専務も驚きとともに関心しきりの様子。新たなメニューのアイデアが次々浮かび、松井さんへ作ってほしい野菜のリクエストを投げかけるほど。松井さんの仕事はますます忙しくなりそうだ。

移動中の遠藤料理長、熊谷専務、松井さん土地に愛された里芋

 翌朝、車を走らせてむかった先は、日本百名山に選定されている標高1,523m の荒島岳を望む場所で、里芋を栽培する建石さんの農地。迎えてくれた建石さんの笑顔はなんとも温かい。山々に囲まれた雄大な土地で農業を営む厳しさを知りながら、そのすべてを受け入れているような懐の深さをうかがえる。

遠藤料理長も熊谷専務(左)、建石さん(中央)、建石さん(右)

 さっそく建石さんの里芋畑を案内してもらう。ここ大野市で栽培されている里芋は、上庄里芋と呼ばれるもの。そもそも里芋は、たっぷりの水を欲する野菜。水の良さが美味しい里芋の決め手になるという。

里芋畑に案内する建石さん(左)、畑から里芋を掘り出す(右)

 「うちは、おかげさまで里芋を育てるのにぴったりなんですよ」と嬉しそうに話す建石さん。荒島岳から流れる真名川の水流には、ミネラル分がたっぷり含まれている。上庄里芋が美味しい水をごくごくと好きなだけ飲むことができるのだ。それに加えて標高300 メートルの盆地であることも良い条件なのだという。寒暖差が大きいことから歯ごたえ、粘り、喉ごしが格別に良くなる。通常は40%程度のでんぷん質を含む里芋だが、上庄里芋のでんぷん質は60%くらいまで上がる。身の締りがいいから煮しめにしても煮くずれせず食感を愉しめるのだという。同じ種芋をつかって他の土地で栽培してもこうはいかない。この土地でしか味わうことのできない、まさにこの土地の愛情をたっぷりうけて育った里芋なのだ。

里芋を持つ手(左)里芋を両手に持つ建石さん(右)灰汁までも栄養たっぷり

 大野市では、川に取り付けた水車に里芋を入れてがらがらと回し続けることで、水流で皮をこすり取る昔からの伝統的な皮むきの方法も続いているという。というのも、薄皮のあたりに栄養がたっぷりあるので皮を全部剥いてしまっては勿体ないというわけだ。また、やっかいなものとして取り除いてしまうことの多い灰汁だが、実は栄養素がたっぷり。そのまま是非味わって欲しいという。栄養豊富なだけでなく、低カロリーで食物繊維も豊富な里芋。美容にもよいことが期待できそうだ。やっぱり一度味わってみたい!ということで畑の近くに加工工場をもつ建石さんに、里芋のころ煮を食べさせてもらった。

里芋のごろ煮

 醤油で焦がさないように焼きながら、煮詰めたころ煮。口に含むと、なるほど確かに今まで食べた里芋との食感の違いは歴然だ。歯が里芋に食い込むような身の締まりを感じる。遠藤料理長も熊谷専務もその体験したことのない歯ごたえを愉しんでいるよう。またその一口から、料理人の創作意欲に火がついたのか、スープにいれるとどう?炒めてみたらこうなるのでは?…などなど、様々な意見が飛び交う。建石さんの受け答えもどんどん饒舌になる。おいしいものを囲むと、人の気持ちはいつもより柔らかくなるのかもしれない。

福井県で出会った生産者さんは、土地の特性をよく理解し、自然に抗うことなくその恩恵を最大限に活かすプロだ。冬になると2m もの積雪がある福井県。今年の冬も、うんと寒くなる。だが、春になるとまたミネラルたっぷりの雪解け水が山から流れ、おいしい食べ物を育てるのだろう。そうやって四季の移り変わりとともに自然と寄り添って暮らしてきたのだ。福井県で、毎日の食卓を大切にしたくなる時間を過ごすことができた気がする。さぁ今晩は、何を食べようか。おいしいものを育ててくれている生産者さんを想いながら食卓を囲む幸せ。わくわくしてきた。

 日本人のお悩み第一位は腰痛!(※)

腰痛の原因はさまざまですが、肩こり同様ポイントは「血行」にあります。さて、皆さんは肩こりや腰痛に悩まされたらどのような対処法をセレクトしますか? マッサージ?ストレッチ?薬?手段は色々とありますが、腰痛予防のポイントを今回はお伝えいたします。

肩こり•腰痛•眼精疲労に定番のビタミン

 ドラックストアで肩こりや腰痛に効果がある薬のパッケージをみてみましょう。ビタミンB1,B6,B12,C,葉酸に、ミネラルのマグネシウムが含まれていませんか?眼球疲労を回復する目薬にもこれらのビタミンは多く含まれています。ちなみに目薬も眼科で直接もらう目薬やドラックストアでも高価なものだと赤い色がついていることがありますが、あれは「赤いビタミン」と呼ばれるビタミンB12(コバラミン)の色です。このような姿勢のゆがみや日常の生活習慣から腰痛はおこります。
CMで有名なナポ○ンの主成分も活性型ビタミンB12です。つまり、医薬品をみるとよくわかりますが「筋肉疲労の回復にはビタミンB群」なかでもビタミンB12が大切であるということがよくわかります。

ビタミンB12を知って末梢神経のダメージを回復させよう

 ビタミンB12とはどのようなビタミンかを理解しておくことは「疲れないカラダづくり」にとって必要な知識といえるでしょう。ビタミンB12は主に動物性たんぱく質に含まれています。傷ついた末梢神経の回復に効果があることで知られていますが、実は必要量を満たすためには食事だけでは不十分です。「健康な胃」がビタミンB12の吸収に欠かせない条件となります。
なぜならビタミンB12を動物性たんぱく質から分離するには「胃酸」が必要だからです。胃酸の分泌量はストレスによって大きく変化するもの。胃炎になってしまうとビタミンB12の吸収率は大幅に低下します(グラフは過去記事を酸行為)。ストレスを抱える=胃の働きが悪くなる(同時に血流も悪くなる)=ビタミンB12が不足しやすい=末梢神経のダメージが回復できない=慢性化という負のスパイラルに入らないよう食生活からも腰痛ケアを行いましょう。ビタミンB12をとくに豊富に含む食材は貝類、レバー、海苔です。

ビタミンB12含有量リストビタミンB12だけじゃない知っておいたい血流促進のビタミン

 ビタミンB群と同じように疲労回復•血行促進に有名なビタミンといえばビタミンEです。アンチエイジングのビタミンとしても有名ですが、ビタミンEには血行促進効果•ダメージの修復効果があり、ヘアトリートメントやリップクリームでも定番のビタミンです。  ビタミンEはトコフェノールと呼ばれていますが「トコ」はギリシャ語で「子宝を産む」、フェノールは「力を与える」という意味です。実は、ビタミンEは不妊症のラットの妊娠から発見された「子宝のビタミン」としても有名なビタミンです。肩こりや腰痛に悩まされている女性で、これから妊娠を考えている女性には是非覚えておいて欲しいビタミンです。ビタミンEを豊富に含む食材は以下の通りです

ビタミンEリスト入浴の疲労回復には科学的効果あり。疲れたときはやっぱりお風呂。

 とくに肩こりや腰痛がひどいと感じる日には「しじみ汁と焼き海苔でいただく納豆ご飯」はいかがでしょう。ビタミンB12がたっぷり摂れます。おやつにはビタミンEを含むアーモンドを。こうした食生活に加え、疲れが気になるときにはやはり入浴が効果的です。全身の血流促進効果はもちろん、入浴をすると細胞が受けたダメージを修復するヒートショックプロテインが作られ、その効果は2日間持続します。
肩こりや腰痛がひどくて眠れないという人は市販の「にがり」を入浴剤にしてみましょう。筋肉を弛緩させる働きのあるマグネシウムを経皮吸収することで温泉に入ったかのように筋肉がほぐれ、ぐっすり眠れるかもしれません。前号にもあった通り、肩こり•腰痛•偏頭痛の解消にマグネシウムはお食事からの摂取も大切なミネラルです。

おすすめレシピ

三重・伊賀米のバレンシア風ライス(魚介と鶏肉の具だくさんパエリア)
肩こりや頭痛の解消にはぜひ、魚介類を。なかでもビタミンB12を含む貝類のレシピはお疲れ気味な肝臓のケアにもなり、付き合いの多いビジネスパーソンには一押しです。

日本食の素晴らしさを、再発見、学習する授業

 「食べることの大切さを、生徒たちに知ってもらいたい」。
10月25日、千代田区立和泉小学校で行われた『味覚の授業』。特別授業の先生は、コックコートに身を包んだ、神戸北野ホテル「イグレック・ブリュス」の山口浩氏 。神戸からこの授業のために東京へ。「フランスでは、1992年から『味覚の一週間』というのがあるんです。フランス料理のシェフがいろんな場所で授業を行うイベントとして定着しています。日本でも少しずつ始まったところ。僕も子どもたちに、食の大切さ、楽しみの奥深さを伝えていきたいんですね」と語る。フランスでは、全国民がフランス料理という国家遺産の素晴らしさを再発見、再学習する場として親しまれているが、日本では2011年からスタートしたばかり。世界共通で語られる「味覚」の中に日本食ならではの良さをプラスしながら、各地で有名シェフたちが『味覚の授業』を行っている。

味覚と嗅覚のセンサーが食の経験を豊かに

 「からい!」「しぶい!」「あまい!」と、次々と元気よく答える生徒たち。今回は6年生の42名を対象に行われたこともあり、かなり活発に手が挙がり、家庭科教室はスタートと同時に盛り上がる。そんな中で、山口シェフは「味覚には5つあって、酸味、塩味、苦味、甘味、うま味があるんだよ。”命を育むため”に発達したのが味覚であって、生きていくために必要なものなんだよ」と教えてくれた。酸味は腐ったものを食べないため。そして、苦味は毒を口に入れないため。「初めて食べる食材を口に入れるときは怖いよね。でも、私たち人間の味覚は、身体にとって悪いものをきちんと”食べたらダメ!”と分かるようにできているんです」。そのため、苦味だけは25種類もの苦味を感じ分けるセンサーがあり、あとの甘味や塩味などは1~3種類ほどしか感じわけるセンサーがないのだとか。「全部で33の味覚センサーが働くことで、みんなは”これはいちごの味”とか、食べたものの味と臭いを一緒に、どんどん味を脳に記憶していくんです」。そして、この味覚に「臭い」「温度」「色」「歯ごたえ」を加えていくことで、食を通して、いろんな感覚が研ぎ澄まされていくと話してくれた。

五味のガナッシュを食し、心も豊かにした時間

 「基本の五味に、香りや臭いといった風味が加わり、そこに温度や色、歯ごたえを考えながら足していくのが料理なんだね。寒いときに温かいものを食べるとほっこりするでしょ? 同じ食材を使っても温度が変わると食は違う印象として脳にインプットされるんだよね。それが食の経験なの」。また、『食の経験+食べたときの気持ち+食べるときの環境』によって、美味しさが決まるとも。同じ料理を食べても、大好きな人と楽しく食べるのと、その逆では、味が変わり、美味しさも感じられないのだとか。

 45分という短い授業の中で、最後に登場したのはパティシエの作った五味のガナッシュ。一粒一粒、全員で食べながら、山口シェフの「これはなに?」に、元気よく「いちご!」「キャラメルだ~!」と大騒ぎ。授業中に頂く、特別なおやつに興奮しながらも、なにを使った、どの味のチョコなのかを楽しみながら考えている様子。いちご、カカオ、レモン、塩キャラメル、ミルクの五味を使い、同じチョコでも、いろんな味が表現できることを体感している。「食べることは、ただエネルギーの補給だけではないんですね。豊かな食と食環境が、心や脳を豊かにしてくれる。いろんな楽しい食の経験を積み重ねて、豊かな心を持った人になってくださいね」と、満面の笑みで子どもたちに語りかける山口シェフ。食育こそ、人間力を育むもの。そんなことを身をもって体験できた『味覚の授業』だった。

食育丸の内プロジェクトの一環としてSoup Stock Tokyoの代表、遠山正道さんをホストに連続7回開催されるシリーズワークショップが丸の内で開催されました。
第3回目のゲストはタレントの水道橋博士さん。水道橋さんが月2回のペースで発行しているメールマガジン「水道橋博士のメルマ旬報」のファンであり読者の遠山さんから直接のラブコールで実現した今回。お弁当のテーマは「お麩会」という難題が挙げられ、苦戦しながらも生徒さんたちが様々なお麩を使ったお弁当を持ち寄りました。発見に満ちた教室が始まります。

水道橋博士さんと遠山さん

 水道橋博士さんは多忙に多忙を極める日々。前日は瀬戸内海出張、そしてこの日も早朝からご子息の運動会に出席した後に会場に駆けつけてくれました。
「藝人春秋」という本を出版された水道橋博士さんに、遠山さんがお話を伺います。

遠山:博士は執筆活動もされていて、『藝人春秋』という本を出されたり、週刊文春ではその続編ともなる「週刊藝人春秋」という連載をされていますが、これは編集者と毎週、打ち合わせをされてるんですね。
水道橋博士:そうなんです。打ち合わせには、編集者とデータを確認してくれる人、それから僕のマネージャーが参加して、すべて芸能界で見聞きした事実しか書いていない僕の原稿の、事実の確認をしながら読み合わせをします。僕はこの打ち合わせを「バンド活動」と呼んでるんです
遠山:「バンド活動」?
水道橋博士:僕の第一稿が譜面で、それを読んでみんなが音を出したときに、「ここが気になる」「主語がわからない」「これは悪文だよね」ということをみんなで言い合う。それが、本当に楽しいんです。
遠山:その連載分がありますから、あと数カ月も待てば、『藝人春秋2』ができますね。
水道橋博士:物理的にはそれだけの量はとっくにありますね。
CREA WEB記事本文より抜粋)

 東浩紀さんのゲンロンカフェにここ最近通う遠山さんからの、スナックのように飲めるし、トークもあるし、そんな水道橋博士ならではのプラットフォームがあれば面白いんじゃないでしょうか?との質問に…。

水道橋博士:僕は今、「ピンポンバー」をつくろうとしてるんですよ。卓球はお得意ですか?
遠山:中学のときキャプテンでした。
水道橋博士:まさにピンポン!
遠山:
水道橋博士:8月8日が長男の誕生日で、毎年、誕生日には好きなものを買ってあげるんですけど、今年は息子が「卓球台がほしい」って言ったんですよ。ちなみに去年はドラムセットを買ってるんですが。
会場:えー!
水道橋博士:ドラムセットを買ってやるのはどうかしてるけど、「どら息子」だから「ドラムセット」と、韻を踏んでいるので、いいんです(笑)。韻を踏んでるのが俺の中では大事なんです。それで今回、卓球台と言われたときも、きっとこれも何かの韻を踏むはずだと思って買ってあげました。
遠山:その後、どんな韻を踏んだんですか?
水道橋博士:僕は老眼でもうキャッチボールも難しいくらいなんですけど、昔、僕の家には卓球台があって8歳から10歳くらいにかけてインターハイ代表だったおじさんに鍛えられたんです。それで今でもやってみたら、すっごいうまいんですよ。
遠山:へーえ、老眼なのに?
水道橋博士:老眼でも。僕のマネージャーは卓球部だったんですけど、いまだに僕に勝てないんですから。それに、卓球はまったく知らない人とやっても面白くて、かつて中国とアメリカの緊張が卓球の国際試合をきっかけに緩和されたように、まさに「ピンポン外交」なんですよ。だから僕はピンポンバーをつくりたいんです。サイドビジネスは一度もやったことがないんですけど、これだけは絶対に面白い!
遠山:たしかに面白そうですね。
水道橋博士:いま、その妄想にとりつかれているから、ある日、いとうせいこうさんに偶然会ったときに、いとうせいこうさんの顔がペンホルダーにしか見えなかったんです。
遠山:なんとなくわかります(笑)。
水道橋博士:それで唐突に、「せいこうさん、卓球をやったことがありますか?」と聞いたら、「俺、高校の卓球部だよ」って言われて、「うおー、ピンポン! だ」と。それでそのまま仕事先に行って、イラン出身の美人タレント、サヘル(・ローズ)さんに会って、「サヘルさん、卓球やったことありますか?」と聞いたら、「私、東海大学の卓球部です」って。
遠山:えー!
水道橋博士:それでまた、ピンポーン! となったんです。それ以降、会う人会う人に、「卓球やってますか?」と聞いてるんですが、その後そんなにピンポンじゃなかった。今日の社長が久々のピンポン! です。
CREA WEB記事本文より抜粋)

 さて、そんな水道橋博士が今回お弁当のテーマに選んだのが「お麩会」。

水道橋博士:今回は、女性の参加者が多いと聞いて、お麩がいかに女性にいいか、ということを言いたくて「お麩会」というテーマにしました。その割には、僕の弁当にはあんまりお麩が入ってないんですけど(と言いながら、お弁当の蓋を開ける)。
遠山:おお、きれい! 華やか! ご自分でつくったんですか?
水道橋博士:かみさんに手伝ってもらいながら、つくりました。茶色のお麩は山形の庄内平野のきざみ麩で、刻んで揚げて、塩・こしょうをしただけなんですけど、めっちゃうまいんですよ。こっちのカラフルなのは京都の手毬麩。かわいいですよね。水で戻しただけです。あとは、枝豆、卵焼き、ひじき、いんげんの肉巻き、マカロニサラダ、小豆島の名産の醤油豆、しそを散らしたさけごはんです。
遠山:ほー。
水道橋博士:ところでみなさん、コラーゲンは食べてもなんの効果もないんですよ。
会場:えー!
水道橋博士:分子生物学者の福岡伸一先生が、著書で何度も「摂取したコラーゲンは消化管内で分解されてアミノ酸となる。他者のコラーゲンがまるごと消化管を通り抜け、細胞間や関節に届いて、その場所に補給されることはまったくありえない」と書いているんです。でも、「コラーゲンを摂ったら、肌がすべすべになった」と言う人がいますよね。それは実際にすべすべになってるんです。なぜかというと、それはプラシーボ効果で、風邪薬だと言って渡されたら、金魚のフンでも風邪が治ることがあるように、コラーゲンを食べたら肌がつるつるになると思い込んでいるからなんです。
遠山:ああ、そういうことですか。
水道橋博士:ところが、NHKの「あさイチ」という番組にゲストで出演したとき、お麩特集で、「お麩には、体内でコラーゲンの部品になるアミノ酸の一種プロリンが豊富に含まれている」という発表が学会でされたと聞いたんです。それで今、女子のあいだで「お麩会」が流行っている、と。お麩料理だけの会です。それが面白かったので、僕がかみさんの参加しているママ会で、お麩の料理をするようになったんです。
遠山:ママ会をお麩会にしたんですね。
水道橋博士:しかもお麩って主に、鯉が食べてるじゃないですか。鯉ってつるつるしてますよね?
遠山:つるつるっていうか、ぬるぬる……。
水道橋博士:いや、つるつるですよ! で、人は恋をする。僕の中ではそういう韻を踏んでるんですよ。だから、「お麩は恋の食べ物だ!」と。オンラインじゃなくて、オフ会で集まって、お麩を食べながら、鯉として恋をするんです!
CREA WEB記事本文より抜粋)

水道橋博士さんのお弁当

 一方ホストである遠山正道さんのお弁当は、お題である「お麩会」から考えました。福島弁で「お麩かい?」にしました。

遠山さん:「『これが、、お麩かい?』という、イメージです。もちろん旨くなきゃいやで、一見してお麩に見えない、『うな重』を作ってきました。牛蒡を繊維に見立て、お麩が脂分、木綿豆腐はたんぱく質、海苔を皮目に見立ててます。見るからにうな重になっていますね。これに山椒をかけていただきます。」

遠山さんのお弁当

 生徒さんのお弁当の講評は、持ち時間1人あたり1分という短い時間の中で行われます。予め考え抜いてきたそれぞれのコンセプトを、お弁当を広げながら発表していきます。お麩会という難しいテーマをそれぞれの方の捉え方で表現しています。みなさんお互いのお弁当に「そういう使い方もあったのか」と目を見張ります。

 最後に参加者全員の投票で票が集まったのが”印象的だったお弁当”はチョコバナナにお好み焼き、お麩で作ったとは思えない、荒巻洋子さんの「『お麩かい?』なお祭り弁当」、”おいしそうだったお弁当”はウニの軍艦巻きの要領でその場で巻いて食べるお寿司、コニシマリさんの「じゅわっとするお麩のすきやき寿司弁当」、そして今回のテーマである”お麩会なお弁当”は、季節の移ろいをお麩だけで表現し、見事に春夏秋冬を彩った下田知世さんの「お麩で四季を表現した弁当」の3つでした。

荒巻洋子さんの「『お麩かい?』なお祭り弁当」「『お麩かい?』なお祭り弁当小西真理さんの「じゅわっとするお麩のすきやき寿司弁当」「じゅわっとするお麩のすきやき寿司弁当」下田知世さんの「お麩で四季を表現した弁当」「お麩で四季を表現した弁当」

都心から中央線に乗って2時間あまり。甲斐の国、山梨県。
四方を山に囲まれ日中と夜間の寒暖の差のある気候は、ぶどうや桃などのフルーツの一大産地としても、また甲州ワインの産地としても有名。そして、日本のミネラルウォーターの約30%がここ山梨で汲み上げられており、豊かな水源を有する名水の里でもあります。そんな風光明媚で豊かな自然にはぐくまれたここ山梨は、誰もが知る食材の宝庫。

今年も総勢23名のシェフ達の腕と技が競い合い、メイドイン山梨のオリジナル郷土料理がぞくぞくと18品誕生しました。フレンチ・イタリアン・和食とジャンルも様々。この中から、それぞれシェフのイチオシ料理を東京・丸の内と山梨県内のレストランで特別にお届けします。このシェフ達の絆が試される「美味しい山梨を創るプロジェクト」も今年で3年目。東京を代表するトップシェフ達と、地元をこよなく愛し、山梨を代表するシェフ達が、目利きした山梨食材を使い、次々と溢れるアイディアでメニューを創作されました。

メニューのテーマは、「甲州ワインにあうレシピ」。あなたの舌で新・山梨名物料理を決めてみてください。11月の山梨ワインヌーボーの解禁日に合わせて、11月3日より丸の内シェフズクラブ4店舗と山梨県内参加シェフの各店とで提供されます。
「ぜひ、おあんなって(お召し上がりください)!」

Date: 2013年 11月3日(日)~ 11月16日(土)
※このイベントは終了いたしました。
※各店により提供時間等が異なります。詳しくは各店舗情報をご確認ください。
※天候などの諸事情によりメニューが変更になる場合もあります。

山梨の茜鱒二色巻き市松

豆乳のブラマンジェ〜山梨のフルーツを添えて〜 (写真左)価格:明月コース ¥8,600(税込)/清風コース ¥7,000(税込)
※2品共コース内でのご提供となります。
※コース内容の詳細についてはご予約時にご確認ください。
提供時間:ディナー 17:00 ~ 23:00 (LO 22:00)

山梨の富有柿とズワイガニのスパゲッティーニ たっぷりのカラスミ・黄ゆず風味価格:パスタランチ、サラダ付 ¥1,260(税込)
※別途サービス料あり
提供時間:ランチ 11:00 ~ 15:00 (LO 14:30)

鹿肉拌麺 山梨地粉麺と鹿肉のピリ辛らあえそば価格:一人前 ¥1,890(税込)

清蒸豚蔬菜 甲州信玄豚と彩り野菜のセイロ蒸し価格:二人前 ¥2,100(税込)
提供時間:
ディナー 平日・土 17:00 ~ 23:00 (LO 22:00)
ディナー 日・祝日 17:00 ~ 22:00 (LO 21:00)

甲斐の彩り押し寿司と蒸し寿司価格:お椀・デザート付 ¥1,260(税込)
提供時間:ランチ 11:00 ~ 15:30 (LO 15:00)

日本の最北端、知床の羅臼町が海の幸を抱えて、丸の内に来た!

 『一夜限りの「羅臼祭」』は、知床らうすの海洋深層水を使用した焼酎『グランブルー』にらうす昆布を浮かべたお酒での乾杯からスタート。特別限定メニューを提供している『イーヨ!! yokocho』9店舗で味わえる、海の幸をふんだんに使い、ひと工夫を凝らした料理がずらりとカウンターに並んだ。『Maison kayser Cafe』の「羅臼昆布締めした牛ハラミのグリエ サラダ仕立て」など、和食だけでなく、洋食とのマリアージュも見どころ&味わいどころのひとつ。

昆布酒 乾杯

 各店舗で展開中の特別メニューの紹介が終わると、今宵限りの”羅臼の幸”料理に舌鼓。いくらを贅沢に使った「いくらと鮭節の雑穀おにぎり」、「するめいかのフリット」、「ぶりのソテー レモンソース」などのほか、羅臼町女性部の方々が朝から仕込んだ「つみれ汁」や「お鍋」など、地元の料理も振る舞われた。

開発メニュー紹介本当に旨味が出る昆布の見分け方を昆布博士が解説。

 「お姉さん、いい昆布の見分け方、知っているかな?料理人だけじゃなくて、一般の方々にも『らうす昆布』の素晴らしさを知って欲しいんです」と、イベント参加者に語りかけるのは、羅臼天然昆布部会長の井田一昭さん。大胆にディスプレイされたらうす昆布を手に取りながら、いい昆布の見分け方、昆布漁の話、出汁のとり方を丁寧に教えてくれる。

昆布名人 井田さん講義01

 「羅臼の昆布は天日干ししたあと、熟成させる”奄蒸(あんじょう)”という作業を20回以上もやるんです。そうすることで、旨味が出る!それだけ手間がかかった昆布なの」と、漁から出荷までの過程も教えてくれた。そして「漁師はね、白く粉をふいた昆布を選びます。この粉が旨味成分なんですよ」。黒々とした綺麗な昆布こそ、旨い!と思いがちだが、本物を知る漁師たちは違った見方をすることも教えてくれた。

昆布名人 井田さん講義02食のプロたちも大絶賛する、日本食文化の最高峰!

 「羅臼の昆布は本当に旨味のある出汁が出て、薄っすらと綺麗に濁るんですね。超一級品だから、あんまり海外なんかには紹介したくないぐらい」と、有名シェフたちが大絶賛する『らうす昆布』。イベント会場には、恵比寿笹岡の笹岡隆次氏や、日本の料理人たちを育ててきた服部幸應先生の顔も。らうす昆布を手でパリっと割り、小さくして、そのまま口へ含む。しっかり噛みしめて、らうす昆布の旨味を味わいながら漁師や羅臼女性部の方々と”海の幸”の魅力について語り合っていた。

笹岡シェフ、服部先生、羅臼漁港女性部のみなさん

 また、「知床山系から流れ込むミネラルが豊富な河水、そしてシベリア・アムール河から流れ着く豊富なプランクトンが付着した”流氷”が漁場を支え、私たちを元気にしてくれるんです。」とも。東京で暮らす人たちには、なかなか触れる機会がない日本の各地で採れる食材の数々。日本最北に位置する世界自然遺産・知床半島の羅臼町で採れる”海の幸”に触れることで、日本の食文化の豊かさを再確認する夜となった。

会場の様子

本物は羅臼にあり。豊かな自然が育む、魚のオアシス!

 北海道知床羅臼町の羅臼昆布と海の幸を中心とした限定メニュー『北海道直送 なまらうまい!知床・羅臼祭』を開催します。

今回は、日本最北・北海道東端に位置する、世界自然遺産・知床半島の東半分を占める羅臼(らうす)町に注目。世界三大漁場と呼ばれる根室海峡の恩恵をうける羅臼町は、”魚の城下町”と言われるほど漁業が盛んで、現在も年間120億円を超える水揚げを記録しています。

その中でも秋鮭、ホッケは羅臼ブランドとしても知られ、その豊かな漁場を支えているのが、魚のエサとなるプランクトンの住処でもあり、まさに北海の海の出汁「羅臼昆布」です。

食育丸の内「丸の内シェフズクラブ」のシェフ5名が、その北海の食材を吟味し、うまみがぎゅっと詰まったランチ&ディナーメニューを提供。さらに、iiyo!!(イーヨ!!)12店舗が羅臼昆布を出汁に使ったメニューや、北海道の海の幸を贅沢に使ったメニューを展開します。

食欲の秋にぴったりの旬の北海道の海の幸を丸の内からお届けします。

Date: 2013年10月1日(火)~11月4日(月・振休)
※このイベントは終了いたしました。
Place: 丸の内シェフズクラブの5店舗、iiyo!!(イーヨ!!)内12店舗

提供メニュー
鮮魚のグリル羅臼昆布と鶏のブイヨンスープ仕立て西東京・黒キャベツ添え

羅臼昆布の出汁に鶏のブイヨンを合わせたうまみが凝縮されたスープに、鮮魚と江戸東京野菜の黒キャベツ、寺島茄子、甘長唐辛子、ズッキーニを合わせた一皿。うまみが凝縮された昆布出汁が濃厚な野菜の味を引き立てます。

価格:ランチコース¥3,500(税込)内でのご提供
提供期間:10.1[火]-11.4[月・振休]
ランチ:11:00~15:30(14:30 L.O.)

清燉什景 羅臼昆布と干し椎茸入り 特製滋養蒸しスープ

羅臼昆布の出汁をベースに、椎茸や貝柱のうまみが凝縮された滋養スープ。出汁を取った昆布を取り出さず具材として食べることで、昆布を余すことなく楽しむことができます。具材は、鶏肉、大根、人参、クコの実、棗など。

価格:アラカルト¥1,575(税込)
提供期間:10.1[火]-11.4[月・振休]
ディナー:平日・土 17:00~23:00、日・祝日 17:00~22:00

秋鮭と信州きのこのバヴエッティーネ すだちの香り

羅臼昆布のダシ汁で茹でた風味豊かなパスタにとき色ひら茸、たもぎ茸など、菅平高原の麓でとれた個性的なきのこをのせた一品。それぞれの味や食感の違いをお楽しみください。羅臼産秋鮭も脂のりがよく、今が旬です。

価格:アラカルト1,260円(税込)
※ランチはサラダ付きになります。 ランチ・ディナー共にコース内でもお選びいただけます。
提供期間:10.1[火]-11.4[月・振休]
ランチ:11:00~14:30(L.O.)/ディナー:18:00~22:00(L.O.)

井田さんの魂の昆布を使った漁師鍋

羅臼昆布の出汁に、羅臼の新鮮な魚介類、きのこ、根菜を贅沢に加えた羅臼鍋。魚介鍋に人参やじゃがいもを入れるのが、羅臼の漁師流。

価格:アラカルト¥2,654(税込)
※価格は1人前分、ご注文は2 人前から
提供期間:10.1[火]-11.4[月・振休]
ランチ:11:00~15:00(L.O. 14:30)/ディナー:17:00~23:00(L.O. 22:00)

羅臼産昆布で出汁を取ったスープ、帆立貝とポルチーニ茸、昆布を練り込んだパスタと共に

昆布出汁ベースのスープでポルチーニ茸を炊いたイタリア風の土瓶蒸し。軽く昆布〆にしたホタテと昆布を練り込んだパスタと共に。

価格:アラカルト¥7,140(税込)
提供期間:10.1[火]-10.15[火]/10.24[木]-11.10[日]
ディナー:平日・土 17:30~23:00(L.O. 21:00)、日・祝 17:30~22:00(L.O. 20:30)

れんこんサラダハンバーグ、トマトとマンゴーのスイートサワーソース

羅臼昆布の風味を移した牛肉をグリエして、余分な脂を落としました。昆布ダシを合わせたドレッシングで、ヘルシーなサラダ仕立てでお楽しみください。

Maison Kayser Café  ☎ 03-6269-9411

れんこんサラダハンバーグ、トマトとマンゴーのスイートサワーソース

風味のよい羅臼昆布と椎茸をふっくらと煮て、やまや自慢の明太子と組み合わせました。ピリッと辛い明太子が全体の味を引き締め、ついついお酒がすすむ一品です。

博多もつ鍋やまや 丸の内店  ☎ 03-6250-8888

れんこんサラダハンバーグ、トマトとマンゴーのスイートサワーソース

上質な白身魚を旨みたっぷりの羅臼産昆布で〆て、風味豊かに仕上げました。

Grill&Bar THE BALLY’S  ☎ 03-5222-1266

れんこんサラダハンバーグ、トマトとマンゴーのスイートサワーソース

有機野菜に羅臼昆布、帆立など、日本の味覚いっぱいのグラタン。くるみ団子(まめぶ)も入って食感のアクセントに。

Daichi & keats  ☎ 03-6273-4345

れんこんサラダハンバーグ、トマトとマンゴーのスイートサワーソース

近海で水揚げされたタコの昆布〆を、昆布だしとオリーブオイルで作ったドレッシングでさっぱりと。トマトの酸味と交じり合いさわやかな味わいに変化します。

Hot Spoon 丸の内店  ☎ 03-6273-4240

れんこんサラダハンバーグ、トマトとマンゴーのスイートサワーソース

植物性の飼料を食べて育った岩手県産ブランド鶏「いわいどり」を昆布〆に。羅臼昆布の風味をしっかり含んだ鶏肉に、刻んだ昆布を巻いてお召し上がりください。

おでん かしみん  ☎ 03-6269-9666

れんこんサラダハンバーグ、トマトとマンゴーのスイートサワーソース

小麦の風味を生かした中太の特注麺と、豚・鶏の動物系に煮干しなどの魚介ダシをブレンドしたあっさり系つけ汁との組み合わせ。鮭節を入れれば、コクが増しまろやかな味に変化します。

舎鈴(しゃりん)  ☎ 03-6269-9567

れんこんサラダハンバーグ、トマトとマンゴーのスイートサワーソース

羅臼産の秋鮭を羅臼昆布だしとうまみたっぷりの讃岐醤油で味わう釜玉風うどん。バターの香りと醤油の風味、溶き卵のまろやかさが絶妙なハーモニーを奏でます。

四国味遍路 88屋 丸の内店(はちはちや)  ☎ 03-6273-4560

れんこんサラダハンバーグ、トマトとマンゴーのスイートサワーソース

羅臼昆布のさっぱり味のだしに、知床らうす海洋深層水の塩「ラウシップ」でコクを加えた北海道産真鱈の煮物。シンプルな煮汁が真鱈本来の味を引き立てます。

大かまど飯 寅福  ☎ 03-5220-4500

れんこんサラダハンバーグ、トマトとマンゴーのスイートサワーソース

境港から毎日直送される鮮魚をしゃぶしゃぶで。羅臼昆布のうまみたっぷりで味わいます。

山陰海鮮炉端かば丸の内店  ☎ 03-5222-6000

れんこんサラダハンバーグ、トマトとマンゴーのスイートサワーソース

昆布の濃厚なだしと刻み昆布を生地にたっぷり練り込んでふんわりと焼き上げた和風チヂミ。コクが強い羅臼昆布のだしにつけて頂く、まさに昆布づくしの一品です。

LeAF KITCHEN  ☎ 03-6273-4766

れんこんサラダハンバーグ、トマトとマンゴーのスイートサワーソース

新鮮な白身魚を昆布〆にして、和風カルパッチョに。白ワインによく合う一品です。フレンチドレッシングも粗切りの昆布を贅沢に使い、うまみたっぷり。

PASTA MARCHE AWkitchen’s  ☎ 03-6269-9212

第2回目となる今回のゲストが、「ユナイテッドアローズ」取締役会長の重松理さんです。ファッションの世界のみならず幅広く活躍中の重松さんに、会社の運営のこつからご自分のファッション、お弁当までいろいろなお話を聞きました。今回は2回目とあって、参加者の皆さんは少し落ち着いた表情。今回重松さんから提案されたお弁当のテーマ”トラッドマインド”に沿った「お弁当」を作って持ち寄り、一同に披露、講評が行われます。「食べる楽しさ」と「クリエイティビティ」の二側面から楽しむ時間となりました。

 同年の1989年に「株式会社ユナイテッドアローズ」を設立し代表取締役社長に就任しました。その後15年間でユナイテッドアローズは大きく成長を遂げ、全国各地に店舗を増やし、2003年上場を果たした後、重松さんは会長に就任します。ブランドも数多くなっていました。重松さんが会長になられてからしばらく業績が落ち込んでしまいます。「お客様が求めるものを見定めていく作業」をするために再び社長に戻ると、これまでは挑戦や情熱の強さで立ち上げてきた数多くのブランドも、不採算であったらそれがお客様に届いていないと判断し閉める決心をしました。本来お客様が求めているものに耳を傾けることで業績を回復させていったのです。

 重松理さんはとにかくお洒落な出で立ちでいらしてくださいました。この日のジャケットは東南アジアのイカットと呼ばれる生地を仕立てて作ったもので、日本の着物地の絣のような大きな柄があるのに、シンプルに落ち着いた雰囲気で着こなしていらっしゃいました。昔からファッションはもちろん、文化、食文化など衣食住にまつわる事に興味が絶えず、最初に就職した婦人服メーカーに在籍中に現在の創業メンバーと共にビームスを立ち上げました。重松さんが当時26歳の時でした。BEAMSの第1号店の店長として務め、その後は株式会社ビームス常務取締役を経て1989年に退社します。10周年目を機に立ち上げた食と住の開発部門を進めていく段で社長と意見がすれ違い、当時の自己啓発セミナーでお会いした女性社長に「自分が好きな事ができる社長になればよい」とアドバイスを受けて、現在のユナイテッドアローズを立ち上げる事を決めたからでした。

 そんな重松さんがテーマに出されたのが”トラッドマインド”。これはユナイテッドアローズの商品開発の開発理念です。常に伝統と歴史を意識して、それを進化させて時代にフィットした新しいものを作るという意味が込められている造語です。もともとは創業時に目指していたのは「進化した老舗」だったのですが、「虎や」の黒川光博社長が「伝統とは進化の上にしか作り上げられない」とおっしゃっていたことがきっかけで、目指す形が変わりました。「進化する老舗」というのが正しいのだなと今は思っています。そういって取り出したお弁当はシンプルで、懐かしい和風のお弁当でした。「ですからお弁当も子どもの頃から食べ親しんだものを持ってきました。」

お弁当の中身は、京都では御馴染みのピリリと風味がある青実山椒のおにぎり、子どもの頃から好きな卵焼き、肉団子、酸っぱいもの好きなので、若布ときゅうりのごま酢あえ、はすと人参とごぼうのきんぴらにもお酢が利いています。ふだんは忙しくてなかなか家庭料理を味わえない重松さんを想い、毎日奥様がお弁当を作るそう。素早く食べられるように握られたおにぎりにも愛情が詰まっています。これが重松家の「トラッドマインド弁当」。

 一方ホストである遠山正道さんのお弁当は、お題である「トラッド」からロンドンを連想し、「もしロンドンにおにぎりやがあったら」というテーマでお弁当を作ってみました。赤いおにぎりはパプリカの混ぜご飯、ドライトマトとケッパーがはいって程よい酸味。黄色いおにぎりはターメリックご飯、中にはクリームチーズとアンチョビが入っています。海苔のおにぎりはチーズの混ぜご飯のなかに梅干しの代わりにオリーブの実が入っています。食材の置き換えをしてどれも彩り鮮やかに楽しんで作られています。ロンドンの街中にこんなおにぎり屋さんがあったら、行列間違いなしでしょう。

 生徒さんのお弁当の講評は、持ち時間1人あたり1分という短い時間の中で行われます。予め考え抜いてきたそれぞれのコンセプトをお弁当を広げながら発表していきます。緊張感が漂う中、ひとつひとつ丁寧に作られたお弁当に都度歓声があがります。いつものお弁当、とっておきの食材、記憶を辿った母親の味、器や布に思い入れのあるもの、などバリエーション豊かなお弁当が集まりました。

 最後に参加者全員の投票で票が集まったのが”印象的だったお弁当”は霧箱にアンパンが入ったシンプルで潔い近藤千尋さんの「霧箱にアンパン弁当」、”おいしそうだったお弁当”は、大分の地鶏を取り寄せて作った工藤可絵さんの「代々受け継ぎたい弁当」、そして今回のテーマである”トラッドマインド”は、細く裂いたカニの鮮やかな赤色をリボンに見立て、おにぎりを中身が見えない贈り物のようなもの、と捉えて作った下田知世さんの「おにぎり弁当」の3つでした。

おいしい食材を提供してくださった生産者の皆さま



kurkku

http://www.kurkku.jp/



COOKPAD やさい便

http://cookpad.com/



田中農園・ペトラン

http://tanakanouen-petrin.com/



茶の葉

http://www.chanoha.info/



COSMO FARM

http://cosmo-fa.com/



土佐山ジンジャエール

https://www.facebook.com/tosayamaginger?fref=ts



全国訳あり果実直売所



えがおつなげて

http://www.npo-egao.net/



さんちょくどっとこむ

http://www.digiis-sanchoku.com/



フルーツ童夢 やまだ農園

http://fruitdome.net/



東京ローカルレストラン

http://local-restaurant.jp/index.php



成田ガイヤ



そら植物園

http://from-sora.com/#home



STARBUCKS

http://www.starbucks.co.jp/


青空市場×丸の内マルシェ「Gramme Marché(グラムマルシェ)」 会場:丸の内ビルディング 1F マルキューブ 実施日:2013年9月11日(水)、12日(木) 主催:有限会社青空市場、三菱地所株式会社 協力:株式会社寺岡精工 後援:フード・アクション・ニッポン推進本部

東京の中心にマルシェがオープン

 秋風が心地よい9月中旬に丸ビル1Fにマルシェがオープンしました。平日の昼間にも関わらず道行く多くの人が足を止め、思い思いに地方から集まった食材に手を伸ばします。
今回のマルシェのテーマは「グラムマルシェ」という名前の通り「量り売り」 “必要なものを必要な分だけ購入する”そんなエコなマルシェが「丸の内グラムマルシェ」です。

環境に優しい量り売りで、欲しいものを欲しい分だけ

 日本人は馴染みがない量り売りですが、海外のスーパーで量り売りはよく見る光景です。例えばナッツやビーンズ、機械で自らつくるピーナッツバターなどを購入するときはいずれも棚の横にある量りに乗せて必要な分だけを購入します。ピーナッツバター機が大好きだったなぁなんて思い出に浸りつつ、著者は有機野菜の彩りが眩しいカートで珍しいセミドライフルーツを購入しました。マンゴーもさつまいもも素材の美味しさはそのままで、味覚がぎゅっと封じ込められています。美容に関心の高い丸の内OLには最適なおやつではないでしょうか。店員さんがグラムを計量し、価格を教えてくれます。

量り売りで童心にかえる

 ふと目をやると多くの女性が足を止めているのがお茶の量り売り。色々な種類のお茶を少しずつ楽しめるとなれば乙女心が騒ぐのは当然のこと。良い香りの茶葉を前にきゃっきゃと楽しそうにお茶を選ぶ女性グループが印象的でした。
著者のおススメは「ほうじ茶」。ほうじ茶はカフェインレスであることに加え、鉄分の吸収を阻害するタンニンを含まない数少ないお茶です。病院ではほうじ茶が定番ですし、老舗旅館などでは寝る前の一服としてふるまわれるお茶でもあります。

マルシェは季節を届けてくれる素敵なイベント

 マルシェを訪れる人の心が高揚するのはなんといっても瑞々しくカラフルな食材たちに心を奪われるから。この日も「フルーツがよく売れます」と売り子さんたちが笑顔で説明してくれました。確かにこの日のカートには美味しそうな秋の味覚がいっぱい!葡萄や桃、梨といった誰もが愛してやまないフルーツが丸の内を歩く人々をお出迎えします。大都会に季節を届けてくれる丸の内マルシェに次回は是非、足を運んでみてくださいね。

 北海道・羅臼町
世界自然遺産、知床半島の南東部に位置する町である。この名前を聞けば、誰もが頭に思い浮かべるのは「昆布」ではないだろうか。
「羅臼の昆布は、他の地域とは旨みが違います。魚も魚種が豊富で、本当に豊かなところ。ぜひ一度、いらして、実際に見てください」
羅臼漁業協同組合・富田康満さんのそんな言葉に心動かされ、北へ足を運ぶ決意をしたのは、「丸の内シェフズクラブ」のふたりの料理人。「アンティカ・オステリア・デル・ポンテ」の総料理長、ステファノ ダル モーロさんと、「恵比寿 笹岡」の笹岡隆次さんだ。笹岡さんの右腕として新丸ビル店の料理長を務める、高崎光行さんも旅に同行した。

羅臼漁協女性部とシェフの集合写真うまみたっぷり! 昆布と魚介尽くし

ステファノさん写真

 9月上旬の北の大地はもう肌がひやりとする。千歳空港から乗り継ぎ、中標津空港で降りて一時間ほど車を走らせた。
広大な畑、そして山々。道路にひょいとエゾ鹿が飛び出してくることも珍しくない。圧倒的な自然に癒やされるうちに、料理人たちを羅臼の海が出迎えた。エサが豊富なのだろう、自在に飛び回るカモメの大きさにも驚く「日本じゃないみたい。ヨーロッパの風景に似ているね」と目を細めたのはステファノさんだ。
初めての風景に心躍る一行を、料理自慢が揃う羅臼漁業協同組合・女性部のみなさんが歓待してくれた。料理自慢が揃う羅臼の女性たちの心温まるおもてなしは期待通り、昆布と魚介尽くし!

大きなメンメ(キンキ)を一尾まるごと昆布で巻き、塩と湯で煮た「湯煮」や、昆布と魚介のだしが特徴の漁師料理「三平汁」など、いずれも昆布の旨みが濃厚に感じられる郷土の味ばかりである。 濃厚に感じられる郷土の味ばかりである。
「どの料理もおいしいね。地元ならではの食べ方を教えてもらえるのは貴重な機会」と、笹岡さん。力強い昆布の味にインスパイアされたのはステファノさんだ。「だしをとったあとの昆布は、手打ちのパスタに練り込んでみたい」と、新メニューの構想をふくらませた。

羅臼漁協女性部の昆布料理写真

40以上の工程を経て旨みが引き出される

 羅臼の味に舌鼓を打ったあとは、この旅いちばんの目的、昆布の加工作業の様子を見学させてもらうことに。訪れたのは昆布名人、羅臼天然昆布部会長の井田一昭さんの「番屋」だ。番屋とは、7月下旬から8月にかけて行われる昆布漁を終えたあと、つきっきりで加工を行う作業場兼宿泊所である。さっそくその工程を、井田さんが説明してくれた。
「羅臼昆布は、採ってからただ干すだけではないんです。むしろ干したあとが勝負。40以上にもなる工程を経て、しっかりと旨みを引き出します」
簡潔に説明すると、こうだ。天日に干しては日没に取り込む作業を繰り返し、完全に乾かす。これをわざと夜露に当ててしめらせ、シワをのばしてくるくると巻いてねかせる。再び伸ばして積み上げて重石をのせ、「奄蒸(あんじょう)」と呼ばれる熟成を行う。再び天日に干し、奄蒸させ、鋏で形を整え、等級別に分ける。昆布の状態を見ながら、必要な工程は何度かくり返し行う。
「昆布の旨みを引き出すために、このような手間をかけるのは、道内でも羅臼だけ」
と井田さんはいう。続けて、
「ただ干したもの、奄蒸させたもの。元は同じ羅臼の昆布です、食べ比べてみてください」
と、料理人たちに、2種類の昆布を差し出した。
「すごい、全く旨みが違う!」
笹岡さんが声をあげ、ステファノさん、高崎さんも力強く頷いた。もちろん、昆布はもともと旨みを持っているため、そのままでも十分に味わい深い。しかし、奄蒸させることでカドがとれ、甘みがあって濃厚な深い旨みへと変わる。 「熟成」は昨今の食業界のキーワードだが、ここ羅臼では、昔からそうした術を心得ていたのだ。

井田さんと昆布写真海洋深層水を利用し鮮度を向上させる

 羅臼の海は、もともと実に恵まれている。何十本もの清流が、山から豊富なミネラルを海に運ぶ。そして毎年、ユーラシア大陸のアムール川からやってくる流氷が海産物の栄養分となるプランクトンを運んでくる。だから、昆布はもちろん、魚介類が旨い。海が豊かだから、多くの魚種が集まる。
しかし港を訪れれば、羅臼の人々がそれらの恵みをさらにいかそうと努力しているのが分かる。6年前から、羅臼漁港では3km沖から海洋深層水を汲み上げる設備を整え、鮮度保持に活用し始めた。

市場写真

 「200m以下の海中を流れる深層水は光が届かないため、菌による汚染がほとんどないのです。3~4℃という低温が保たれているため、魚の冷却にも最適です」(前出・富田さん)
昆布にかける手間、そして魚介の鮮度にかける熱意。羅臼の素晴らしさがここにある。
旅を終えようとする頃、笹岡さんはこう語ってくれた。
「日本料理には欠かせない昆布ですが、羅臼ではこんなにも手間をかけ、やさしくつくっているのかと驚きました。今回見て、聞いて、味わったことを、お客さんにも伝えていきたいですね」
10月、鮭の漁が最盛期を迎える羅臼。秋の旨みを携えて、丸の内にやってくる。

富田さんと漁港写真

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