今回のマルシェで一番の賑わいをみせていたのが京都の老舗料亭「紫野和久傳」のブース。無農薬の京野菜というとこで、女性のお客様がたくさん来ていました。京野菜は伝統野菜の中でも一番の人気の野菜。東京ではなかなか手に入らない京野菜を、しかも和久傳がお店で使っているのと同じものを!グルメ感度の高いお客様には、こんなにうれしいサプライズはありません。
所狭しと京野菜が並ぶ和久傳のブース
「私たちは、一生懸命頑張ってらっしゃる農家さんを心から応援したいだけなんです」とおっしゃるのは女将の桑村綾さん。この京野菜は、和久傳が生産者さんのところに行って、本当に無農薬で栽培されているか、実際に目で確かめているものだとか。
目の前で丹誠込めて野菜作りに励んでいる生産者さんの真摯な姿を見て感動した桑村さんは、その農作業の苦労を”収穫という喜び”に変えるパワーにどんどん惹かれていったそうです。
「農業はほんま大変なんです。今回も野菜を提供してくださった山田ファームさんに”丸の内マルシェに出品してはどうですか”とお誘いしたのですが”1日たりとも畑から離れられない”ということなので和久傳が販売する、ということで出品してもらったんですよ」
京都と言えばお漬物。代表的な葉物からひょうたんのような形をしたかぼちゃまで、バラエティ豊かなラインアップ。
今日だけではなく、明日も、明後日も自分が作った野菜を待っているお客さんのために、日々の努力を積み重ねている生産者さん。彼らの努力と野菜たちを守り、そして多くの方々に知ってもらいたい。そんな熱い想いを語ってくださった桑村さんの瞳はとても輝いていました。
桑村さんの計らいで、祇園豆(いんげん豆の一種)をいただいたのですが、その味はとても甘く、懐かしい青々とした香りが口のなかにほんのり広がりました。野菜は本来みんな生で食べられるものなのだ、と感じることができるのもマルシェだから。野菜を通して生産者さんと会話できるマルシェの醍醐味を感じた瞬間でもありました。
京野菜と一緒に。和久傳のスタッフ
紫野和久傳 丸の内店
〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-3-1 新東京ビル1F
☎03-3240-7020
前回は丸ごとトマトのカレーが大盛況だったAWキッチン。今回は、新潟産の米茄子を丸ごと大胆にトッピングした茄子カレーを販売しました。ものすごいインパクトです。
「この茄子は普通の米茄子に比べて大きいものです。今回も野菜本来の味を食べて欲しいと思い、素揚げした茄子を大胆に入れてみました」とにこやかに語るのは、シェフの桜木武士さん。
茄子は油との相性が良いと言いますが、私たちが作ると茄子が油を吸いすぎて油っぽくなってしまう事が多いのですが…。
「素揚げした茄子を一旦オーブンで温め直すと、余分な油が抜けおいしく食べられますよ」と野菜を知り尽くしたシェフならではの技を教えてくれました。
器からはみ出してしまうくらい大きい米茄子!ちょっと辛めのルーとの相性はバッチリです。(左)AWキッチンの桜木武士氏(右)
「以前は、野菜は肉や魚介類などの引き立て役で使うことが多かったのですが、今はどうすれば野菜そのものの良さが引き出せるのかいろいろと検討しています。野菜のおいしさを表現するために肉や魚介類がある。発想が逆転しましたね」と面白いご意見も。
「今、AWキッチンではハーブやスパイスに注目してます。どの野菜にどのハーブやスパイスが合うのか、いろいろとプレゼンテーションしますし、ご家庭でも使える技をどんどんご紹介していきますので楽しみにしていてください」
日本人には馴染みが薄いハーブとスパイス。畑の伝道師がどんな魔法をかけてくれるのか、楽しみですね。
キッチンカーのそばにはいろんな種類の茄子が並んでいました。中には、めずらしい白茄子も。
AWキッチン 新丸ビル店
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビルディング5F
☎03-5224-8071
今回のキッチンカーのもうひとつの目玉は、なんと香港飲茶界の老舗「福臨門」が参加したこと。
「”本当にあの福臨門ですか!?”とお客様に何度も聞かれました」とご担当者様。確かに、福臨門さんはマルシェやキッチンカーに縁遠いイメージですが…。
「福臨門は、香港の家庭料理が原点で、身近なものだと知っていただきたい」との思いで出店されたそうです。
このジューシーな餡はオイスターソースで甘辛く煮たもの。ほんのり甘い皮との相性も抜群です。
今回は、福島県会津市とのコラボレーションで、麓山高原豚を使った「チャーシュー饅頭・会津スペシャル」と、会津の伝統野菜である会津小菊かぼちゃを使った「小菊かぼちゃの冷たいお汁粉」の2品を販売。
「麓山高原豚は、香港のシェフも納得する味でしたが、小菊かぼちゃは香港にはない形や色だったので、点心チームはみんなビックリして大騒ぎでした」と、新しい食材との出会いのエピソードも語ってくれました。
チャーシュー饅頭をお買いあげのお客様。にっこりと顔がほころびます。
「福臨門は、高級で、国産の素材を使っていないのでは?というイメージがあったので、今回のマルシェを通して、このイメージを払拭し、もっと身近に感じてもらえればと思っています。今回、お客様の反応や多くのご意見をいただいて、とても勉強になりました。マルシェはいろんなお客様と触れあえる場なので、大切にしていきたいですね」
普段の営業では触れあえないお客様との新しい出会いが生まれるのも、マルシェの醍醐味でもあります。
これが香港のシェフを驚かせた会津小菊かぼちゃ。お汁粉はさらっとしていてかぼちゃ本来の甘みが味わえます。
福臨門魚翅海鮮酒家
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-4-1 丸ビル 36F
☎03-3283-2002
今回の丸の内マルシェは、大盛況!11時のオープンからたくさんのお客様が来てくださいました。ランチ時になると丸ビル周辺にお勤めの方々も、お財布片手にやって来て、会場は一気に盛り上がります。たくさんのお客様でにぎわっているマルシェの様子を見ていると、女性のお客様がとても多いことに気づきました。しかも、若い女性のお客様が!比較的女性のお客様が多い丸の内マルシェですが、近ごろのヘルシー嗜好の高まりでしょうか。野菜をたくさん買って行かれる方が多かったのが印象的でした。
生産者の皆さんも「丸の内の女性は、食に対する意識が高いですよね」「他のマルシェに比べて若い女性が積極的に質問をしてくれるんですよ」とその感度の高さに感心していました。恋も仕事も頑張る丸の内ワーキングウーマンの元気の源は、おいしいものを探求するパワーから来ているのかもしれませんね。
ランチタイムが終わる頃、丸の内エリアのシェフたちの姿がありました。海外で料理修行をされたシェフ達には、マルシェは思い出の場所でもあり、生産者さんと実際に話して、良い食材を見つけられる勉強の場でもあるそうです。海外修業時代の懐かしい体験が、丸の内で出来るとあって、積極的に足を運ぶシェフも。これも周辺にレストランの多い丸の内マルシェならではですね。
実際に素材を手にとって見られるマルシェは、シェフにとっても魅力的。忙しい仕事の合間を縫ってでものぞいてみたい場所なのです。
銀座寿司幸本店 主人 杉山衛氏
野菜を吟味されていた銀座寿司幸本店の杉山さん。「生産者さんのこだわりを理解しようと、みなさん訪れてくれ、中でも女性の関心が高まっているのが見ていてうれしいですね」
レストラン・モナリザ シェフ 河野透氏
ご実家が農家を営まれているモナリザの河野シェフは「やはりその地方でしか採れない野菜は興味あります。マルシェは毎日あると作る側もやりがいが出てきて、良い相乗効果になると思いますよ」とアドバイス。
レストラン・モナリザ シェフ 柴田 秀之氏
河野シェフと一緒に見えたモナリザの柴田シェフは、普段からマルシェには足を運ぶそうです。「ネットで探すよりも、マルシェに行った方が収穫が大きいですね。見たことのない食材を生産者さんから直接教えてもらえるマルシェはもっと開催してほしいです」
レストラン・モナリザ シェフ 岩田氏
同じくモナリザの岩田シェフは「マルシェは自分で食材を選べるのが魅力。良い勉強にもなるし、食に対する責任感が一層まします。情熱的な生産者さんだと、その情熱に応えたい!という気持ちになって、さらに力が入りますね」
イル ギオットーネ オーナーシェフ 笹島保弘氏
京都から駆けつけてくれたイル ギオットーネの笹島シェフは、丸の内カフェeaseで開催されている米粉を使ったランチ企画にも参加されました。
「米粉のパスタは、日本人好みの食感ですね。麺タイプもいいけど、ショートパスタとの相性もいいので、ぜひ商品化してほしいですね」とランチ企画の感想をいただきました。
「僕たちも店ではどんなお客様が、どんな感じで食べているのかうかがって、日々勉強しています。マルシェは、我々で言うお店のようなもの。お客さんの反応をダイレクトに見られるのは生産者さんのモチベーションも高まっていいと思います」
実りの秋に相応しい旬の食材がたくさん集まった今回のマルシェ。
野菜、果物の他に、新米も。秋のマルシェはおいしいものがいっぱいです!
今回がマルシェ初出店。最南端の青ヶ島から参加されました。「ひんぎゃの塩」は、黒潮の豊かな恵みを火山の地熱でじっくり結晶させた塩。えぐみがなく、おどろくほどまろやかな味をしています。
〒100-1701 東京都青ヶ島村無番地
☎0499-69-0241
名産のブルーベリーアイスが女性のお客様に大人気だったプロデュース会津の会も今回が初出店。福臨門さんのチャーシュー饅頭とお汁粉のコラボレーションもありました。
〒965-0025 福島県会津若松市扇町89-8
☎0242-25-1778
最近ブームの米粉のパスタを提供してくれた小国製麺所。米粉のパスタを購入できるチャンスはめったにないので、すぐに売り切れてしまうほどの大人気。米粉のパスタを良さを多くの人に知っていただけてとてもうれしいと喜んでいました。
〒959-2801 新潟県胎内市近江新115
☎0254-47-2121
http://oguniseimen.com/
山梨県北斗市のNPO団体でもあるえがおつなげて。標高1200mの高地で栽培された野菜は、どれもえぐみがないのが特長。生野菜のおいしさを存分に味わえると人気でした。
〒408-03131 山梨県北杜市白州町横手2910-2
☎0551-35-4563
http://www.npo-egao.net/
キズや規格外の大きさで出荷できない果物を販売している全国訳あり果実直売所の谷さんは農家支援の一環として始めたとか。全国の優秀な果実園の果物なので味は天下一品。舌の肥えたお客さんに大人気でした。
〒151-0066 東京都渋谷区西原2-25-13-107
☎03-3468-2293
お茶を通じて生産者さんとお客さまをつなぎたい、がコンセプトの茶の葉。銀座の店舗ではお茶室があり、入れたてのお茶を楽しめるとか。お茶でしか得られないリラックス効果もあるそうです。
〒420-0011 静岡県静岡市葵区安西3-11
☎054-251-1515
遠忠食品の佃煮は、地産地消を心がけているとか。マルシェに出店すると生産者同士の交流ができてうれしいと言っていました。
〒343-0846 埼玉県越谷市登戸町41-23
☎048-988-3710
今回のおすすめ食材は栃木の「にっこり」梨。いつもの年より2周りも小さいですが、甘みが凝縮されておいしいと評判でした。
〒323-0103 栃木県下野市上川島47
☎0285-48-5601
江戸東京野菜と農大のコラボ商品「谷中ショウガシロップ」を販売。なんと、丸の内マルシェが初見参だったそうです。
〒108-0074 東京都港区高輪3-19-23-7047
☎03-5421-8660
http://greenstyle.jp
コシヒカリ発祥の地として、お米やご飯のお供などを販売していた福井県。今話題の米粉も発売していました。
福井県農林水産部販売開拓課
〒910-0005 福井県福井市大手3-17-1
☎0776-20-0422
http://info.pref.fukui.jp/hanbai/
【四川&イタリアン 六味前菜の盛り合わせ】
伝統野菜:地ねぎ(会津)、小菊かぼちゃ(会津)、じゃがいも(会津)、唐辛子(京都伏見)
四川料理とイタリアンの見事なハーモニーが奏でる前菜。上3皿が笹島シェフ、下3皿が遠藤シェフの料理。
【フカヒレのムニエルとすぐきを使った会津米のリゾット 京都青ゆずの香り】
伝統野菜:すぐき(京都)
醤油ベースのフカヒレと、色鮮やかなサフランリゾットのチーズが好相性。 ほんのり香る青ゆずと、すぐきの酸味がちょっとした箸休めに。
【海鮮とリコッタチーズ、菊菜、菊花のパートフィロ包み「春巻き仕立て」】
伝統野菜:菊菜
XO醤ベースの辛味ソースと春巻きのリコッタチーズがぴったりマッチ。 味全体をまろやかにまとめます。菊菜の食感とほのかな苦みが味のアクセント。
【餃子ミンチを詰めた豚肩ロースのインボルティーニ】
伝統野菜:かおり枝豆(会津)
福島産の高原豚を使った餃子餡を肩ロース肉で巻き焼き上げたもの。 大豆の濃厚な風味が楽しめるかおり枝豆、辛味の効いた包辣椒ソース、 オリーブオイルと一皿で3つの味が楽しめる。
【伝統野菜 チャイニーズバーニャカウダ】
伝統野菜:しんとり菜(江戸)、金時人参(京都)、赤かぶ(京都)、立川牛蒡(会津)、赤南瓜(会津)
伝統野菜の素のおいしさが存分に楽しめる一品。 豆豉(トウチ)で深みを与えた特製チャイニーズバーニャカウダソースは、 野菜がいくらでも食べられるクセになりそうなおいしさ。
【自家製タリオリーニ 坦々風】
伝統野菜:南郷トマト(会津)、小松菜(江戸)
福島産の高原豚を使った坦々ソースにコシの強い自家製タリオリーニがしっかり絡むオリジナルパスタ。 トマトの酸味と小松菜の歯ごたえが辛味を和らげる役割に。
【梅酒のグラニテ】
濃厚な会津高田の梅酒が口の中をリセット。白キクラゲのコリコリとした食感も楽しめる。
【デザート3種盛り】
「八角風味のいちぢくのコンポートとジャスミンティーのジュレ」は口の中に八角と ジャスミンの爽やかな風味が。 「あたたかなチーズスフレ」は、フワフワとした軽やかな口当たりが楽しめる。 「福島の巨峰プリン」はプリンにも巨峰の果肉が入っている驚きの一品。 どれも甘すぎることなく、爽やかなイメージでコースを締めくくります。
イベントを終えた笹島シェフと遠藤シェフにいろいろとお話をうかがいました。
――お疲れ様でございました。イベントを終えられてのご感想をお願いします。
笹島: 今年の夏に子ども向けの食育イベントを行いましたが、大人向けのプログラムは企画当初から 話していました。一夜限り、ここでしか食べられないものを、という思いで作りました。 はじめて中華の厨房に入って、新たな発見もたくさんあり、自分で作っていても楽しかったですね。
――新しい発見とはなんでしょうか?
笹島: 中華のバーナーの火力がものすごかったことです。 今日の肉料理に添えた会津産のしいたけは、開演30分前までは、蒸して使おうと思っていましたが、中華のバーナーを見て、これは炒めた方がおいしいかも、と閃いたのです。実際、やってみたらうま味も香りも良く出て、すごくおいしい。自分でもこの発見にはビックリしました。
遠藤: 笹島さんは野菜の使い方を本当によく知っていますよね。直前になって調理法を変えられるのは 野菜本来の持ち味を最大限に出し切れる、という自信があるから。中華の厨房という違う フィールドでも実力を発揮できるのは、普段から京都という野菜のおいしい土地で 活躍しているからなんでしょうね。
笹島: 洋食の世界では、野菜を炒めるというのは油、つまりうま味をまとわせる、という考えなのです。 でも中華はものすごく強い火力だから野菜の水分が一気に飛んで、うま味が凝縮される。 今まで自分が思っていた中華の概念とは違うことが判りました。野菜はあの火力で炒めると 本当においしい。ウチの厨房にも中華のバーナーが欲しくなってしまいました。
遠藤: なるほど、自分たちでは当たり前のことだったので、改めて気づきました。 僕は笹島さんの仕事を見ていて、彩りがキレイなことと、オリーブオイルの使い方が 勉強になりました。使うタイミングや、食材との絡ませ方、とてもマネできませんね。 これからは野菜と相談しながらうまくやっていかないと、野菜に失礼だな、と思いました。
――先ほど笹島シェフの方から「中華の概念が変わった」とおっしゃっていましたが、 具体的にお話ししていただけますか
笹島: 中華は好きなのですが、実は辛いのが苦手で。なんで中国の人はこんな辛いものを食べるのか 疑問に思っていました。でも、まかないで遠藤さんの麻婆豆腐を食べたら、ただ辛いだけではなく、 香りもコクもあって、食べると本当に元気になる、と感じたのです
中華もイタリアンと一緒で、エリアによって料理が違うということがわかって、もっと勉強しないと、 と思いました。歴史の深い国の料理は、奥深いし、厨房に入らないと判らないことがたくさんあります。 本当に大きな収穫です。自分の料理感が変わった感じがしました。
それと中華は、調理方法からして「食べるものを作っている」感がすごくある。あの火力からして そうですよ。おいしいものを早く作って、早く食べてエネルギーにしよう!というパワーがある。 それが中華だと思いました。だから中国ってあんなにエネルギッシュなんでしょうね。
遠藤: 中国人は食に対してものすごく貪欲ですからね。いかにしてもっと早く、簡単に おいしく食べられるのか、と追求していますね。
笹島: 中華のレストランを見ていても、食べることが明日への活力につながる感じがするし、 人間の躍動感を感じます。今、日本が他のアジアの国に比べて元気がないのは、食が 原因かな、と思います。今の若い人は食が細いでしょ?食べていないからエネルギーを 感じないですよ。
遠藤: そうですね。あと笑いながら食事をしなくなったし、大人数でも食べなくなりましたよね。
笹島: 確かに。中華は大家族で円卓を囲むし、イタリアは必ず家族と食事する。 レストランでも大きなテーブルで相席になることも多く、気がつけば隣の席の人と 仲良くなることもしょっちゅうですからね。
そう考えると、日本人の食の変化はちょっと問題ですよね。 食が細くなり、食事に時間をかけなくなった。こういう食習慣の変化が、 今の若い人たちの性格を作っているのでしょうか?この先どうなるか心配になります。
――その想いが、今回のコース料理のボリュームにも繋がっているのでしょうか?
笹島: そうなんですよ。試食の時、若いスタッフから「量が多いから減らしませんか?」という 意見もありましたが、僕は倒れるまで食べて欲しいと思ったのでそのままにしました。 僕は日本人の食の危機を感じているので、もっと食べて元気になって欲しい、 というメッセージを込めたんです。
――なるほど、その想いを知らずに全部ペロッと食べてしまいました(笑)。
笹島: 味にメリハリがあったから、全部食べられたでしょう?(笑) パスタの前に出したバーニャカウダは遠藤さんが 「野菜を手で食べる機会ってなかなかないので、ぜひやりたい」と提案してくれたのです。 お肉もお魚も食べて、お腹いっぱい、と思ってても口直し的な役割があって、 リセットされる。あのタイミングで出して正解でした。 イタリアンだと、肉料理の前にパスタがあるので、日本人だと食べられないことが多いけど、 今日のコースの流れは日本のイタリアンだと使えると思いました。
遠藤: そうですね、今日のコースの流れは中華の手法です。
笹島: イタリア人の強靱な胃袋と同じ事は日本人にはできませんよね。 日本人にとって、パスタやご飯などは、やはりシメですよ。お肉もお魚もいっぱい食べて、 最後に食べられる量のパスタを提供する、というのが日本ならではのイタリアンなんでしょうね 今日、お料理を提供してみて思いました。
――今回のコラボディナーを通して、いろいろと勉強になったことなどを踏まえ、今後の抱負を教えていただけますか?
遠藤: 今回のようなコラボレーションを続けていきたいですね。 ジャンルの違う料理人が集まって、知恵を出し合って、食材を活かしていけるような 料理を切磋琢磨しながらたくさん作っていきたい。 そしてお客様に喜んでいただけることが我々のパワーにも繋がりますからね。 とてもいい連鎖。どんどん続けて行きたいですね。
笹島: 丸の内は大人の街なので、「食育丸の内」のテーマのように大人に対してアプローチを もっとしていきたいですね。昔食べた野菜の味を懐かしんで、子ども達に食べさせようとか、 ちゃんとした食事をゆっくり味わおうとか。大人がまずできないとダメですよね。
それと、環境のことも考えていきたいです。レストランは多量の生ゴミが出るので、 リサイクルに力を入れていきたい。日本の中心である丸の内のレストランが集まって 環境問題に取り組むことはとても意義のあること。アクションを起こしていきたいですね。
丸の内シェフズクラブのシェフがプロデュースする、ランチ企画第3弾!
今回の「食育」のテーマは「都産都消」と「食料自給率 UP 」です。食材は、東京産にこだわって伊豆七島の魚介類、江戸東京野菜など “都産” をセレクト。モチモチとした食感の「米粉パスタ」にぴったりのソースを、イタリアンのシェフたちが素敵にアレンジします。もちろんレシピも公開。新食感のこだわりパスタを、どうぞお楽しみください。
おいしいだけじゃない!食育丸の内 × 米粉パスタランチ
国産米を配合した「米粉パスタ」は、食料自給率UPの切り札。加えて江戸東京野菜、伊豆七島の魚介類など東京産の食材は、輸送距離も短く、CO2 排出が極力抑えられています。食育丸の内の米粉パスタランチは、食料自給率もフードマイレージ※ もおいしさも、すべてがうれしいメニューなのです。 ※食品輸送負荷
主催:三菱地所株式会社
協力:新潟県、エコッツェリア協会
後援:FOOD ACTION NIPPON 推進本部
※このイベントは終了いたしました。
Date: | 10月18日(月)〜10月31日(日) 11:30 – 14:00 |
Place: | 丸の内カフェease (東京都千代田区丸の内2-4-1丸の内ビルディング 1F) TEL:03-5218-5505 |
Price: | 1,000 円 ※ミニサラダ、米粉のシフォンケーキ、ドリンク付き! |
【金目鯛と東京野菜のもっちもち米粉タリアテッレ】
ゴロゴロっとした金目鯛と、金粉のようにトッピングされたカラスミが鮮やかなゴージャスな一品。アサリと金目鯛のダシがパスタにしっかりと効いていて、最後にゆずのさわやかな香りがふわっと広がる何とも贅沢なパスタです。
エッセンツァ(丸ビル5F) オーナーシェフ 原田 慎次氏
【米粉のスパゲティフレッシュトマトソース伊豆七島のイサキと共に】
イタリアンの王道トマトソースも、ダイスカットしたイサキと魚介のダシで磯の香りが口いっぱいに広がるワイルドなソースに大変身! フルーツトマトのさっぱりとした酸味と水菜の苦みが味にアクセントを添えます。
アルポルト(西麻布) オーナーシェフ 片岡 護氏
【米粉のタリアテッレ豆乳スープ仕立て金目鯛と東京野菜のメリメロ】
見た目こってりクリーム系だけど、豆乳なのであっさりとした優しい味に。長ネギのフリット、ピンクペッパーが味をキュッと引き締めます。ボイルしたカブ、小松菜のピューレなど手法を凝らした秋野菜がたっぷり味わえる栄養バランスに優れた充実の一皿です。
アンティカ・オステリア・デル・ポンテ (丸ビル 36F) 総料理長 ステファノ ダル モーロ氏
【チェリートマトと水菜の米粉ペンネイサキのカリカリポワレ添え】
香ばしく焼いたイサキにイタリアンパセリ(香草)のソースが味全体を上手にまとめます。たっぷり添えたシャキシャキ水菜とトマトでさっぱりヘルシーに。サラダ感覚で楽しめるうれしい一皿です。
エッセンツァ(丸ビル5F) オーナーシェフ 原田 慎次氏
食育丸の内では、作ったり、食べたり米粉料理を楽しむ人たちを「コメタリアン」と名付け、米粉を楽しめるメニューをたくさんご用意しました。この秋、丸の内であなたもコメタリアンになりませんか?
【旬菜 1380円】
時間がたってもさっくりした食感!
旬の秋野菜を米粉の衣でカラッと揚げた1日限定10食の定食。丸ごととまとサラダ付き。
提供期間:10月18日(月)~10月30日(土) 11:00~
天ぷら 船橋屋 (新丸ビル5F/天ぷら)
TEL:03-3211-5200
【手長エビのポワレカレーソース 1900円】
スパイシーなカレーもまろやかに!
パリパリに揚げた米粉パスタと米粉入りメレンゲ、2つの食感をカレーソースで。
提供期間:10月18日(月)~10月30日(土) 17:30~21:30
FRENCH DINING RESTAURANT igrek MARUNOUCHI
(新丸ビル5F/フレンチダイニングレストラン)
TEL:03-3211-1909
【バインセオ 1050円】
冷めても続くモチモチ感!
ヌクチャムソースで食べる野菜たっぷりのベトナム風お好み焼き。
提供期間:10月18日(月)~10月30日(土) 17:00~LO
パパイヤリーフ (丸ビル5F/アジアンマートダイニング)
TEL:03-5220-4488
【宮本レンコンと北海真タコとカラスミのスパゲティー 1950円】
もっちり麺がソースとよく絡む!
レンコン、タコ、麺といろんな食感が楽しめるさっぱり系オイルパスタ。
提供期間:~10月30日(土) 17:30~23:00
PASTA HOUSE AWkitchen TOKYO
(新丸ビル5F/パスタハウス)
TEL:03-3211-5200
【米粉と豆乳のフォンデュ 1個168円】
もっちり食べ応えある食感!
米粉と豆乳の自然な甘みが口いっぱいに広がるやさしい味。
提供期間:10月1日(金)~10月31日(日) 11:00~21:00
ユーハイム・ディー・マイスター
丸ビル店 (丸ビルB1F/菓子・パン・総菜・ギフト)
TEL:03-5220-3301
【eロール 1260円】
なめらかな口どけ感! 米粉の自然な甘みと、きめ細やかなふわふわとした軽い食感。
提供期間:10月18日(月)~10月30日(土) 11:00~
キャンティ (丸ビル B1F/洋菓子)
TEL:03-33240-0105
四川豆花飯荘の遠藤シェフとイル ギオットーネの笹島シェフがお届けする今回のテーマは「国産伝統野菜のマリアージュ」。京野菜、会津若松の野菜、江戸東京野菜と、日本を代表する伝統野菜を使った中華とイタリアンのフルコースでご堪能いただきます。日本の風土によって地域に根付き、古くから親しまれ在来種で栽培された「伝統野菜」。季節に沿った「旬」の地場野菜の香り高さや「えぐみ」や「にがみ」など多種多様で繊細な味わいが特徴とされています。大地の力強さ、生命力を感じる一皿一皿を中華とイタリアンの饗宴で、どうぞお楽しみください。
主催:四川豆花飯荘
協賛:イル ギオットーネ、プロデュース会津の会、三菱地所株式会社
Date: | 10月19日(火)OPEN 18:30 START 19:00 |
Place: | 四川豆花飯荘 (新丸の内ビルディング6F) |
Price: | 特別フルコース 12,000円(丹波スパークリングワイン、赤白ワイン各1杯付き) ※税・サービス料込み |
Capacity: | 50名様 ※事前予約のみとさせていただきます |
Booking: | 四川豆花飯荘 TEL:03-3211-4000 |
俳優の永島敏行氏を代表とする青空市場と一緒に開催する「青空市場× 丸の内マルシェ」。丸の内のど真ん中で、生産者、消費者、そしてレストランを結ぶお見合いマルシェです。
今回は、初出店の京都の料亭が手掛ける「紫野和久傳」太鼓判の京野菜に、各地の伝統野菜やフルーツが並んだりとニッポンの秋の収穫祭です!
出品予定品物:かぼちゃ、なす、おこわ、さつまいも、きのこ、ハーブ、りんご、かき、だいこん、新米、ジャム、くり、ごぼう、カブ、小松菜 などなど
主催:有限会社青空市場、三菱地所株式会社
協賛:株式会社寺岡精工、プロデュース会津の会、株式会社竹尾、王子アドバ株式会社
後援:FOOD ACTION NIPPON 推進本部
Date: | 10月22日(金), 23日(土) 11:00 – 19:00 |
Place: | 丸ビル1階マルキューブ |
十穀米で食べる秋の美味しい茄子カレー
今夏マルシェでも大好評だった野菜カレーの第2弾。「畑の伝道師」と称される渡邉シェフが探し出した一押しの秋野菜を、ぜひ味わってください。
デザート:香港風・会津小菊かぼちゃの冷たいお汁粉
点心:チャーシュー饅頭・会津スペシャル
香港の老舗、福臨門が福島・会津の食とコラボレーション。最高級ではあるが本質は日常の家庭料理。その味をお楽しみください。
「農園バーニャカウダ」をはじめ、野菜そのものの味をダイレクトに味わえるメニューが人気の「AWキッチン」。オーナーシェフの渡邉明さんは、生産者とのコミュニケーションを何より大切にしている。
「僕は、埼玉県所沢市の畑のド真ん中で育ちました。幼い頃から狭山湖周辺の新鮮な地元食材に触れていたことが、料理人として成長できた大きな要素のひとつだと思っています」と渡邉さん。
現在も多くの時間を畑や漁港、牧場などで過ごすというが、いったい渡邉さんは生産者とどのように向き合い、畑で何を感じているのだろう?
今回は、渡邉さんが足繁く通う畑のひとつである、千葉県白井市の『ほのぼの芦田農園』に同行させていただいた。
『ほのぼの芦田農園』は、常磐高速道柏インターから千葉方面に車を30分ほど走らせた白井市というところにある。畑に到着するなり、まず驚いたのが自然環境の素晴らしさ。丸の内から車で1時間ほどの場所でありながら、都心とは空気も時間の流れ方もちがう、緑豊かなところだ。
芦田さんの畑近辺は緑溢れるいいところ(左)、とても都心から1時間の場所とは思えない(右)。
『ほのぼの芦田農園』は先祖代々農業を営んでおり、現在は芦田貴裕さんとそのご両親が畑を切り盛りしている。渡邉さんが芦田さんと知り合ったのは約2年半前。「本当に偶然の出会いでした」と渡邉さんは語る。
「柏に新しいお店をオープンさせるため、地元の生産者を探していたら、たまたま白井駅で野菜の直売をしているのを見かけたんです。無農薬・減農薬ということだったので、とりあえず買って食べてみたところ、それが本当に美味しかった。また、野菜の種類の多さにも驚いて、これは一度畑に行ってみるしかないと。それが芦田農園さんだったんです」
芦田さん宅の屋根にはぶどうがたわわに実る(左)、ぶどうのすぐ近くで柿も発見(右)。
そんな渡邉さんの言葉通り、芦田さんの畑にはトマト、ナス、オクラ、ピーマン、ゴーヤ… などなど、この時期収穫できるものだけでも相当数の野菜が実っていた。また、”トマト”といっても、桃太郎トマト、トマトベリー、イタリアントマト、チョコちゃん(チョコレート色に近いトマト)など、品種は実にさまざま。年間を通して150種類もの野菜を生産しているという。さらに、芦田さんは常に新しい挑戦にも余念がない。
「今年は、ピッコロカナリアという品種のトマトを植えました。初めてだったので不安はありましたが、実がなってくれたときは本当に嬉しかったですね。ただ、うちのトマトは露地栽培なので、例えば雨に当たっただけでも皮が割れてしまい商売にならない(笑)。まだまだ油断はできません!」と芦田さん。
マーボーナスという品種。その名の通り麻婆ナスにすると旨い(左)、ゴーヤを嬉しそうに手に取る芦田貴裕さん(中)、「マッチャン」という韓国かぼちゃ。「しゃぶしゃぶにすると美味しい」(右)。
ほとんど酸味がないミニトマト、その名も「チョコちゃん」(左)、「ピッコロカナリア」は、甘みが強いオレンジ色のミニトマト(右)
渡邉さんはそんな芦田さんのことを「志が高く、頑張っている農家さん」と評する。それは、畑のところどころから伺い知ることができた。
例えば、芦田さんは7〜8月に空いている畑にソルゴーというイネ科の1年草を植えているが、これは収穫のためではなく、緑肥(植物の葉や茎を田畑にすきこんで腐食させ肥料とするもの)としてである。また、堆肥も野菜くずを使って作っていたりと、自然のサイクルを大切にしている
イネ科の「ソルゴー」は畑の土作り用(左)、野菜クズは畑に放置して土に還す(中)、「堆肥の中は温かいんですよ」と芦田さん(右)
渡邉さんが紹介した九角形のオクラについて意見交換
『AWキッチン』は現在、『ほのぼの芦田農園』をはじめ青森や茨城、四国など、全国各地の畑から野菜を仕入れている。渡邉さんが食材を選ぶ「決め手」は何なのだろう?
「全国には、凄くプライドを持って野菜を育てている農家さんがたくさんいらっしゃいます。それは、大切に野菜を育てているから生まれるもので、もちろん料理人もその気持ちは同じ。ただ、農家さんも料理人も、食べてくださるお客様がいればこそ。だから、農家さんと料理人が『お客様に喜んでいただく』という同じ目的に向かって力を合わせることが大切で、そのためには、どんなに素晴らしい食材を作っていても『嫌だったら使わなくてもいいよ!』みたいな人とは仕事はできない。いちばんの決め手は、やっぱり”人”ですね」と渡邉さん。
芦田さんの話をメモする渡邉さん
『ほのぼの芦田農園』では、今年から新たな品種のオクラを育てているのだが、そのオクラについて芦田さんがこんなことを語っていた。
「『こういうオクラがあるよ!』って渡邉さんが教えてくれて、『じゃあ育ててみよう』とあちらこちらで種を探したんですが、でも、見つからなかった。今年ついに見つかって、2年越しでようやく苗を植えることができました」
渡邉さんは、畑で芦田さんの話に熱心に耳を傾け、ノートにメモを取る。その後、ひとり畑に残って何かをチェックし、時折、携帯で誰かに電話をかける姿が印象的だった。
真剣な眼差しでひとり畑の状況をチェック
「僕の場合は、食材というより畑の状況を見るんです。普段から足を運んでいれば、今の時期どんな食材が収穫できるかは、畑を見ずともだいたい分かります。でも、畑の状況ばかりは実際に来てみないと分からない。畑って2週間も経つとガラッと様子が変わりますから。どの野菜がどれぐらい育っているか?また、次にどんな野菜を、どこに植えたいと芦田さんが考えているのか?それを畑で把握したうえで、『じゃあ、今うちが何を仕入れれば畑のロスを少なくできるか?』ということをチェックしているんです」
渡邉さんと芦田さんは、お互いその道のプロ。プライドや譲れない部分もあるにちがいない。でも、お二人は「料理人」と「生産者」という以前に「人」と「人」として向き合い、言葉ではなく行動でお互いを思いやっている。そしてそれが、お互いのモチベーションの向上にも繋がっている。
お母さんの愛称で親しまれる芦田恵子さん。野菜ソムリエの資格を持ってます
『AWキッチン』には、スタッフが畑に出向き、生産者と一緒に草むしりや稲刈りなど農作業のお手伝いをする”畑の日”が月に一度に設けられている。
この日も、渡邉さんだけでなく、各店舗の料理長や若いスタッフが、畑で芦田さんとともに汗を流していたが、そこには渡邉さんのこんな思いがある。
「スタッフが増えてきて僕がもっとも悩んだのが、どのように人材教育をしていくか?ということ。サービスの講習など、いろんなことを試したんですが、ほとんど効果がありませんでした。じゃあどうしようかと考えた末に出た答えが、”畑に行く時間を作る”ということだったんです。
この日仕入れるマーボーナスを念入りにチェックする桜木料理長
畑で農家さんにお会いすれば、何のために仕事をするのか? という答えを見つけられるんじゃないか、そう思ったんです。畑で農家さんが頑張って野菜を作ってくれている姿を見れば、『どうやってそれをお客様に伝えようか?』と考えるし、それを伝えたお客様に『美味しいね!』とか『このお店に来ると次の日、体調がいいんだ』って言っていただけると、スタッフも仕事の意義が分かってくるじゃないですか。それを頭で考えさせるんじゃなく、まずは体験させることから始めたいと思ったんです」
芦田家の愛猫「マサムネ」。人懐っこく、撮影にも気軽に応じてくれました。
今回同行したスタッフの皆さんは、全員、芦田さんのご両親を「お父さん」「お母さん」と呼ぶ。また、丸の内店の桜木武士料理長に「ずいぶん日焼けしてますね」と声をかけると、「畑で焼けました!」と威勢のいい返事が返ってきた。若いスタッフの中には、芦田さんが飼っている猫を「マサムネ」と名前で呼んで可愛がる人もいる。
『AWキッチン』で提供される料理には、素材ひとつひとつに物語がある。そして、スタッフ全員がその物語の登場人物なのである。だからこそ、それがお客さんにも伝わり、多くの人に感動を伝えていくのだろう。
さて、最後に渡邉さんに、今後の展望を伺った。
「実は芦田農園さんが、僕たちが自由に使える畑を用意してくださっているんです。その畑にうちのお客さんをお連れして、一緒にブロッコリーの苗を植えるところから収穫までを体験してもらったり、いろいろやらせてもらっていますが、今後はより積極的に食育活動などに活かしていきたいです」
レストランのテーブルで出来上がった料理を味わってもらうだけでなく、お客さんに野菜作りの苦労や喜びから味わってもらう…。実現のためにはまだまだ乗り越えなければならない壁はたくさんある。渡邉さんは「芦田さんが一歩も二歩も先を行ってくれているのに、僕たちが全然追いつけない(笑)」と苦笑を浮かべたが、その視線は、確実に次のステップを見据えている。
専門学校『レコールバンタン』の生徒も同行。渡邉さんは未来の料理人の育成にも励んでいる(左)、畑で獲りたてを口にする生徒の皆さん。「美味しい~!」「甘い~!」と歓喜の声が(右)
新鮮な野菜や果物を生産者から直接購入できる直売所が、近年注目されているが、『ほのぼの芦田農園』が営む直売所は “直売所の日本一を決めよう”という「直売所甲子園」で優秀賞の「日本一あたたかい直売所」を受賞している。芦田さんの直売所があるのは、千葉県白井市にある白井駅の、いわゆる “駅ナカ”。開店時は、通勤客に野菜を販売することを目的としていたが、美味しい野菜が評判を呼び、現在は通勤客以外のお客さんも多いとか。お店に立つ芦田恵子さんは、「日本一小さくて営業時間の短いお店です……」とどこまでも謙虚だが、そんなお人柄こそが人気の最大の秘訣なのだろうと、今回の取材で実感しました。
〒270-1422 千葉県白井市復1264
☎047-492-0400
東京駅直結、新丸ビル5Fにある人気パスタハウス『AWキッチン丸の内店』。ランチは野菜を使った前菜とデザートがブッフェスタイル、パスタとメインディッシュを選べるコース。ディナーは、アラカルトと厳選お野菜コースをご用意。渡邉明シェフが信頼する契約農家から届く新鮮野菜を、存分にお楽しみください。
【PASTA HOUSE AWkitchen TOKYO(丸の内店)】
〒100-6505 東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビルディング5F
☎03-5224-8071
営業時間:
ランチ 11:00~15:30(ラストオーダー14:30)
ディナー 17:00~02:00(ラストオーダー01:00)
日・祝 17:00~22:00(ラストオーダー21:00)
定休日:不定休 (新丸ビルに準ずる)
http://www.eat-walk.com
猛暑日が続く都心・丸の内のイタリアンレストラン「イル ギオットーネ」に子ども達が大集合。今回は、イタリアンと中華のコラボレーションということで、子ども達にも馴染み深いピッツァと餃子を作ります。今回は両方作るので、ちょっと大変かもしれませんが、本格的にシェフに習う滅多にない機会。子ども達もお母さん達も期待に胸をふくらませています。さっそく二つの班に分かれて、クッキング開始です。
笹島シェフの見事な手さばき。あっという間にピッツァが完成します
ピッツァ組を覗いてみると、まずは笹島シェフがお手本を作っています。その手さばきの鮮やかなこと。魔法のようにピッツァを作りあげていく笹島シェフに、子ども達は食い入るように見入っています。「今日作るピッツァはイタリアの食べ物で、生地が薄くて具が少ないのが特徴です。ピザとは生地の味も違うからその違いをちゃんと覚えて帰ってくださいね」と笹島シェフは説明します。
弾力のあるピッツァ生地は
「モチモチしていて気持ちいい」と喜ぶ子ども達す
さて、次は子ども達の番。まずは生地を伸ばす作業からはじめます。モチモチとした弾力の強いピッツァの生地。みんな初めて触るので、ちょっと手こずっている様子です。そういえば、ピッツァ生地って大人でも触る機会はないので、これも貴重な経験ですね。やっとの思いで一人分の大きさに伸ばし、焼いたときに膨らみ過ぎないよう生地にフォークで穴をあけて、生地づくりは終了です。
「次は楽しいトッピング作業。ピッツァの具はピザと違いシンプルをモットーとしますので、今回はトマトソースに、モッツァレラチーズ、パルメザンチーズ、きのこのソテーにバジルです。
子どもたちが思い思いにトッピングしていく中、ひとりきのこを全く乗せない子がいたので「どうしたの?」と聞くと「きのこが嫌い」とのこと。その声を聞いた笹島シェフが「そうか、嫌いだったしょうがないね」と言って生ハムを急きょ用意してくれるではありませんか。笹島シェフの心遣いに、きのこが苦手と言った子も、生ハムと一緒にちょこっときのこを乗せていました。こうやって、嫌いな物を克服していくきっかけを作ってあげるのも食育の大事な役目なんですね。
みんな思い思いの具を乗せてピッツァづくりは終了です。焼きの作業はお店の人にお任せして、次は餃子づくりにチャレンジです。
チーズたっぷりの子、トマトソースたっぷりの子トッピングにも個性が表れます
続いては餃子づくりです。今回は本格的に皮の成形からトライします。まずは、用意された生地を棒状に伸ばして、同じ大きさに切り分けていきます。みんな初めて木べらを使うそうですが、上手に作業を進めていきます。
餃子の皮づくりに一生懸命の子ども達。どの子も真剣です
カットした生地を丸めて、ここからが難関の生地を伸ばす作業。麺棒を使って均一に伸ばしていくのですが、楕円形になったり、手のひらよりも大きくなったり、心なしかハートの形に見えたり、個性あふれる餃子の皮がたくさん出来上がっていきます。一体どんな餃子になるのか、見ている方も楽しみです。
まずは、遠藤シェフがお手本を見せます。遠藤シェフは、なんと1個5秒で包めるとか! 手際よく包むシェフの手元を見ながら、子ども達もチャレンジです。普段お家で使っている薄い皮と違って、厚みがあって弾力のある皮は、いつもと勝手が違い何だか難しそう。遠藤シェフもマンツーマンで丁寧に教えます。
「ちゃんと上手に包めるかな?」遠藤シェフがマンツーマンで丁寧に包み方を教えます
しばらくすると、大きな餃子から親指ほどのミニ餃子まで、いろんな形の餃子たちがテーブルいっぱいにどんどん出来上がっていきます。几帳面に大きさを揃えている子、ヒダをきっちり作っている子、出来上がった餃子を見ていくと、その子の個性がにじみ出ています。これもみんなでお料理を作っていく楽しさでもありますよね。
みんな夢中で包んでいたので、気が付けば、たくさんの餃子が出来上がってしまいました。焼くのはお店の方にお任せして、今日の作業は終了です。
三國清三シェフの登場。味覚の授業のはじまりです。
近頃ますます注目を集める「食育」ですが、その想いや定義は実にさまざま。三國シェフは、「味覚」という観点から食育活動を行っており、2000年頃から全国の小学校で「KIDSシェフ」という味覚教育に真剣に取り組んでいます。その授業の様子は本が出版されたり、たびたびメディアでも取り上げられるなど、知る人ぞ知る有名な授業。今回は、夏休みの特別プログラムとしてここ丸の内で特別授業を開催していただきました。
三國シェフはまず、「味覚の授業」のはじまりを語ります。
世界で初めて子ども達に、正しい味覚を教えることの大切さを説いたのは、フランスの学者ジャック ピュイゼ博士。ピュイゼ博士曰く、「人間の感性は8歳から「気づき」がはじまり、12歳で脳が大人になる。だから脳が完成する12歳までに、正しい味覚を教えれる必要がある」、と言うのです。その理論を元に、イタリアでは「スローフード」、フランスでは「味覚の授業」として政府がバックアップし、子ども達に正しい味覚を教えているのです。
三國シェフの言葉をひとつひとつ真剣に聞く子ども達。
三國シェフの講義はもっと細部に食い込みます。
「気づき」が生まれる8歳は、舌にある味蕾(みらい)も敏感になり始める時期。そして、脳が完成する12歳の時に味蕾(みらい)は、4万個に達するのです。
なぜ4万個かと言うと、「甘い」「しょっぱい」「すっぱい」「苦い」は、実は天然の食べ物にしかない味で、とてもうす味。それらを確実にキャッチできるように味蕾(みらい)は4万個になった、と言われているそうです。四味(よんみ)が天然の味だとは、驚きです。しかも、私たち人間も天然の生き物なので、そもそも天然のもの、つまり四味しか吸収できないとか。なるほど!だから合成添加物など人工物が入っているジャンクフードは体にあまりよくない、と言われるのはその理由だからですね。
熱弁する三國シェフに、子ども達も釘付けです。
この驚きはさらに拍車をかけます。
12歳までに正しい味覚をきちんと教えてあげれば、「見る、聞く、嗅ぐ、触る、味わう」の五感もおのずと目覚めるとか。ということは、スポーツや音楽や絵画などの才能が花開くことに繋がるのです。
三國シェフは言います。
「味覚を刺激してあげるということは、心の豊かな子どもが育つだけでなく、その子ども達が成長すればおのずと国は豊かな国に発展していく。そのことに早くから着目していたヨーロッパ諸国では「味覚の授業」に国をあげて取り組んでいたのです。」
「うま味」がわかるのは日本人の特権。大切にしたい味です。
ヨーロッパの「味覚の授業」では甘い、しょっぱい、すっぱい、苦いの四味(よんみ)を教えていますが、三國シェフの「味覚の授業」では五味(ごみ)を教えています。最後の味とは「うま味」です。
うま味は今から100年前、池田菊苗博士によって発見された日本独自の味。昆布、かつお節、しいたけなどから取れるうま味は近年世界でも注目を集め、1985年に「UMAMI」として世界用語になりました。
しかも、うま味をきちんと分かる舌を持っているのは、私たち日本人だけ。だから、私たち日本人こそが「味覚の授業」をしっかり受け、次の世代に伝えていかなければならない授業なのですね。
三國シェフの講義の後は、実際に味覚のテストを行います。問題は全部で5問。三國シェフが用意した天然の五味を当てていきます。
甘み、塩味は普段から馴染みある味なので、子ども達も平気でしたが、酸味になると、ツンっ!とした独特の匂いに驚く子も。おそるおそるなめてみると 「うわっ!」 「すっぱーい」と教室はちょっとした大騒ぎに。
さらにインパクトがあったのが苦み。見た目はチョコレートなのに、口にパクっと入れたら苦いこと、苦いこと。いつもと違う味に、子ども達はビックリ。顔をしかめたり、舌を出したり、これまでの中で一番のリアクションです。
「みんなの大好きなチョコレートは、実はものすごく苦いものだったんですね。でも、おいしいチョコレートを作るには、この苦みが大事なんですよ」と三國シェフ。
ラストはうま味としておみそ汁が出ました。三國シェフが「何が入っているか分かるかな?」と聞くと、「みそ」「カツオ」「昆布」をみんなするりと答えていきます。この短時間でものすごく舌が敏感になったようです。
この味覚のテストは、味蕾が発育している8歳から12歳の間に一度だけ行えばいい、と三國シェフは言います。天然の四味を味わうことは滅多にないので、一度きちんと味わうと眠っていたDNAが目覚め、料理の味に敏感になるだけでなく、感性も目覚めるとか。今日の子ども達もその片鱗が見えてきているようです。
味覚のテストは全員合格ということで、ごぼうびの三國シェフ特製スイーツがみんなに配られます。どれも小さくてかわいいスイーツですが、実はこれも「甘い」「しょっぱい」「すっぱい」「苦い」「うま味」を表現しているのです。
最後に三國シェフは言います。「みんな今日で正しい味覚を身につけたことになります。お母さん、毎日でなくてもいいから半年に1回でいいから天然の味に触れる機会を作ってください。忘れかけていても思い出せるから。味覚をちゃんと鍛えて、感性豊かな大人になってください」
今日の講義を通じて、子ども達は「本当の味覚」という一生の宝物を得ることができ、お母さん達は味覚の大事さをしっかり学んだことでしょう。この「味覚の授業」に込められた三國シェフの想いが、今日の子ども達を通じて、友達や、次の世代に引き継がれるといいですね。
会場に入ると色鮮やかな野菜たちが目に飛び込んできます。トマト、ゴーヤー、アスパラガスなどなど、どれも採れたてで、みずみずしい。その中でも、特に鮮やかだったのがAWキッチンのトマトたち。今回は「AWキッチンのトマト祭り」と題して、いろんなトマトを提供していました。
見てください、この種類!いろんな色のトマトがあるんですね
「このトマトたちは、生産者さんの畑に行って選んできたトマトなんですよ」と新丸ビル店の料理長の桜木武士さん。
AWキッチンでは、月に1回「畑の日」を設けてオーナーの渡邉明シェフをはじめ、シェフ、ウェイターまでお店の人全員が生産者さんの畑に行って、草むしりなどの畑作業をお手伝いしているとか。「ただ単に生産者さんの話を聞くだけでなく、実際に自分たちも農作業を体験することで、食材の本当のおいしさを知るんです。すごく勉強になりますよ」。では、このトマトたちも?「はい、畑作業をお手伝いしたトマトです」。こんなストーリーを聞くと、買う側も愛着がわきますね。
AWキッチンの桜木武士氏。「トマトとわさび醤油は合うんですよ」と驚きのアドバイス!
お昼前にはもう行列が(左)、大盛況で大忙しのキッチンカーのキッチン(右)
そんな愛のこもったトマトたちに、もっと愛をそそぐべく、キッチンカーでお料理を振舞います。今回は、AWキッチンを代表する料理「ブルスケッタ」と「まるごとトマトのカレー」。ブルスケッタは渡邉シェフがイタリア時代に味わったジュースいっぱいのブルスケッタを、いかすみパンにトッピング。あふれんばかりの果肉とジュースは、舌の肥えた丸の内のビジネスマンも大満足。また、まるごとトマトのカレーは、今回のマルシェのために作った桜木シェフのオリジナルメニュー。普通、刻んで一緒に煮込むトマトを、じっくりローストしてそのままごろっとカレーの上にトッピングすると、とてもさっぱりとした味に大変身!見た目も味もサプライズなトマトカレーに並ぶ列は途絶えることがありませんでした。
まるごとトマトのカレー。トマトをつぶしながらいただきます(左)、見てください!このジューシーなブルスケッタ。おいしそう(右)
仲良くブルスケッタを味わう丸の内のビジネスマンたち(左)、トマトの苗も売っていました。まさにトマト祭り!(右)
AWキッチン 新丸ビル
〒100-6505 東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビルディング 5F
☎03-5224-8071
tsunagaru-tsunagaruを主催する中川みどり氏
今回のマルシェではめずらしい食材もたくさん並んでいました。中でも珍しかったのが京野菜をつかったジャム。野菜でジャムができるの?そう思いながら味見してみたら、びっくり!加茂トマト、堀川ごぼう、万願寺唐辛子、どれも素材の特徴を残しつつ、きちんとジャムになっているんです。「うちのは着色料や保存料などの添加物を一切使っていないから安心ですよ」と、この京野菜ジャムを企画したtsunagaru-tsunagaruの中川さん。野菜はすべて露地物を使用し、常に旬の京野菜ジャムを提供するというこだわりよう。ハウス栽培の野菜を一切使わないのもECOのひとつですね。そんな京野菜のジャムのファンの一人に「暗闇坂 宮下」の宮下大輔さんがいらっしゃいます。
お二人の出会いのきっかけとなった「さくらのジャム」(左)、「京野菜のジャムは生ハムと合うんですよ」と暗闇坂宮下 主人 宮下大輔氏(右)
宮下さんは「さくらのジャム」を食べてファンになり、ご自身のお店でも京野菜ジャムを使ったお料理を提供してます。「中川さんのところの商品はどれも魅力的だけど、彼女自身が魅力的だよね」。中川さんは元々スタイリストだそうで、スタイリスト時代に磨いたセンスは、食の世界でも大活躍。「自分が思いつかないようなアイディアをたくさん持っているんですよね、中川さんは。僕も彼女もこだわりのポイントが似ていて、趣味嗜好から知り合いまでいろんなところでつながっているし、いろんなつながりをもたらしてくれる核となる人ですね」。実は、今回のマルシェ出展のご推薦されたのは宮下さんだとか。「彼女の商品はおいしいし、なにか新しいつながりが生まれればと思ってね」と笑顔で語ってくれた宮下さん。生産者、料理人という枠を超えクリエーターとしてお互い高め合うお二人の関係は、新しい食のスタイルをちょっと垣間見た感じがしました。
見てください、このラインアップ!トマト、なす、かぼちゃ、いろいろあります
野菜を練り込んだパスタ「べじパスタ」パスタだけでもおいしそう(左)、野菜のドレッシング「べじドレ」野菜がもっとおいしくなります(右)
暗闇坂 宮下 丸ビル
〒100-6336 東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング 36F
☎03-5220-3331
マルシェの醍醐味は、なんと言っても生産者の方々と直接お話ができること。今回もたくさんのお客さまが生産者の方々と楽しそうにおしゃべりしている姿がありました。実際に味わってから買えるだけではなく、おいしい食べ方、長持ちする保存の仕方など、いろんなことを教えてくれるマルシェは、実はとてもオトクなお買い物かもしれませんね。
試食あり、会話あり、笑いあり。生産者のみなさんもお客様もみんな笑顔です
お買い物をされたお客様にちょっと注目。みなさんが手にしているのは、「青空市場×丸の内マルシェ」のオリジナルショッピングバッグ。そう、ここは都心・丸の内。せっかくお買い物してもビニール袋はちょっと…というご意見がありましたので、今回より登場させてみました。
このショッピングバッグを見かけたら丸ビルでマルシェを開催している目印ですよ。
オシャレなママさんから、お仕事帰りのワーキングウーマンまで、どんなスタイルにもピッタリ!
午後になると、コックスーツを身にまとったシェフの姿があちこちに。丸ビル界隈のシェフたちも直接お話しが聞けるマルシェには興味津々なんです。生産者さんも食のプロであるシェフたちと直接お話しができるまたとないチャンスということで、お互いに積極的に情報交換し、親交を深めていました。
シェフが来ると会場も華やかに。お互いに質問しあったり、味を確かめたりシェフにとっても、生産者さんにとっても価値ある時間となりました
招福楼の中村さんは青パパイヤと小夏に注目。「青パパイヤは味噌炒めにするとおいしいですよ」。小夏は招福楼さんでも使っている食材。産直のものは、ちょっと小ぶりだそうです。
銀座寿司幸本店の杉山さんもお忙しい中、駆けつけてくださいました。
フレッシュミントの香りを確かめるイル ギオットーネの井之上シェフ。「イタリアンは元々地産地消の料理。ワインも食材も輸入品より、国産素材の方が本場の味に近づくんですよ」と驚きのアドバイス!「このミントはデザートやカクテルに使いたいですね」
無農薬ニンニクをお買いあげのPOINT ET LIGNEの大谷さん。「うすくスライスした乾燥ニンニクにグラニュー糖をまぶすと、りんごみたいに甘くておいしいですよ」アイスのトッピングにぜひ。
サンス・エ・サヴールの長谷川シェフは夏野菜が気になるとか。「トマト、玉ネギ、キュウリのガスパチョ(夏野菜の冷製スープ)にパインを入れるとさっぱりしておいしいですよ」とアドバイス。材料を全部ミキサーに入れて、仕上げにレモンかビネガーで整えてください、とのこと。
四川豆花飯荘の遠藤さんの気になる食材はゴーヤー。「ゴーヤーの苦みはタンパク質との相性はバッチリ。イべリコ豚と中華風炒めにするとおいしいですよ」
AWキッチンさん、tsunagaru-tsunagaruさん以外に、今回も多くの生産者の方々が集まってくださいました。ここで今回出店されたお店をご紹介します。
有機栽培野菜のにいずさん。にんにくなど有機であまり出回っていない野菜がたくさん出ていました。農薬を使っていないので安心、と小さなお子さんがいるご家庭に好評でした。
〒790-0841 愛媛県松山市道後多幸町1番-28号
☎089-921-8888
http://www.niizu212.com/top.html
石垣島から参加の平田観光農園さん。ゴーヤー、島バナナ、青パパイヤと地元食材はどれも人気。中でも目をひいたのがボゴールパイン。手で豪快にむしって食べるのです!その食べ方にお客様も興味津々でした。
〒907-0002 石垣市真栄里シイ原1053-2
☎09808-2-6711
オーガニックハーブの専門店。ハーブウォーターやジンジャーエキス、ハーブを使ったソースなど、どれも体が喜びそうなものばかり。中でもジンジャーシロップはクセになるおいしさ。
872-0511 大分県宇佐市安心院町上市305-1
☎0978-44-2382
http://findnews.jp/
ドライトマトの岡福さん。ドライトマトは完全に乾燥させるのではなく半乾燥状態。半乾燥だから、とってもジューシーで、びっくりするぐらい甘いのが特徴だそうです。乾燥する前のトマトも販売していて、両方買うお客様もいました。
〒376-0023 群馬県桐生市錦町2丁目9番13
☎0277-44-5551
前回に引き続きさくらんぼいちごのジャムが大好評の阿波の食財会さん。今回は名産の鳴門わかめも出してくれました。
〒770-0939 徳島市かちどき橋1丁目41番地(徳島県林業センター内)
☎088-621-3054
みずみずしいフルーツがたくさん出していた蔵王ウッディファームさん。柑橘類の他にも果汁100%のジュースがおいしいと、とても大好評でした。
〒999-3212 山形県上山市原口829
☎023-674-2343
http://www.woodyfarm.com/
オススメのアスパラガスは生でも食べられて、まるでフルーツみたいな味。産地直送で新鮮だからできるのだそう。
〒323-0103 栃木県下野市上川島47
☎0285-48-5601
新しい食べ方を提案してくれたマルハチ金龍丸水産さん。「干物はフライにしてもおいしいよ」とアドバイス。
〒410-0106 静岡県沼津市志下785
☎055-932-24871
http://www.kinryumaru.jp/
小さな瓶の佃煮がたくさんあった遠忠食品さん。中でも柚子コショウのパンチのきいた辛みはクセになりそうな味でした。
〒343-0846 埼玉県越谷市登戸町41-23
☎048-988-3710
前回同様、たくさんのきのこをだしてくれた小柳商店さん。生でもたべられるキノコがあると聞いてビックリ。キノコって奥深いのですね。
〒143-0022 東京都大田区東馬込1-22-9
☎03-3776-2702
ひときわ威勢のよかった青空市場さん。旬のアスパラガスを使った麺やケーキは珍しいと大好評でした。
青空市場の顔といえば永島敏行さん。「生産者も役者も一緒で評価されることによって、成長します。だから、消費者と触れあえるマルシェって大事なんです」と熱く語ってくれました。永島さんご自身も畑で得た経験は俳優活動にも活かされているとか。奥深いですね。
☎03-5755-0480
http://aozora-ichiba.co.jp/
丸ビル36階にある「招福楼」の本店は、滋賀県東近江市八日町にある。京都からだと電車で約1時間、JR近江八幡で近江鉄道に乗りかえて八日市駅に着く。
中村成実さんの父でもある先代の中村秀太良さんは、茶の湯を学び、禅、剣道を心得、昭和23年頃から自身の審美眼で招福楼を第一級の料理屋に育ててゆく。昭和50年代にここを訪れた文人たちは「けなげに日本料理の真価を発揮せしめようという新進、誠実な料理にめぐりあえた」と、その懐石料理を評していた。(参考文献「忘れがたき日本の味・秦秀雄」)息子である中村成実さんは、15歳のときに京都の禅寺へ小僧修行に入り、そこから高校、大学に通い、卒業と同時に得度出家し雲水修行を続けた。家業に戻ったのは修行10年後の25歳のときで、以降、厨房に入り向板、煮方を経て平成4年、37歳で招福楼四代目となった。
禅寺での小僧修行は中村成実さんにとっては、見方をちょっと変えてみると、料理人としての大きな修行でもあった。大根など自分たちの食べる分は畑で作る。そして葉から身まで大切に調理しいただく。お米は釜に薪をくべ竹筒で息を吹きながら火力を調整し炊く。漬け物ももちろん自分たちで漬ける。
このような経験を持つ中村さんが、もうひとつ勉強しているのが茶の湯であり、先代から続く禅と茶の湯が招福楼の原点。料理はもとより室礼や枯山水の庭ひとつとっても、そこは日本の様式美が確立されている。
オサ平商店の赤こんにゃくは天日冷却製法(左)、雨どいのような長い型に流し込む(右)
さて、今回は中村さんが地元近江にある「赤こんにゃく」「近江牛」「近江・永源寺米」の生産者や管理者を案内してくれた。
「私にとって御馳走とは、自分たちで “馳” せ回って素材を集めてこその料理だと思ってます」と中村さんは語る。最初に伺ったのは「オサ平商店」。店先では作られたばかりの赤い色をしたこんにゃくが、すだれ状に組んだ竹の上に美しく並んでいた。聞けば天日干しをしているとのことで、2時間ほど干すそうだ。
オオサ平商店のこだわりを見守る中村さん(左)、普遍のこんにゃくも作っています(右)
「赤い色はベンガラで染め、うちのこんにゃくは凝固剤の石灰をできる限り少なくしているので、ゆで立てをすぐに水につけると表面が溶けたようになってしまうから、干すことによって表面に薄い膜がはり外側が丈夫になるんです」と三代目店主の梅村貞一郎さん。「だから、オサ平さんのはやわらかくてもコシがあるんです」と中村さんが教えてくれた。旨さの秘訣は天日干しにあり。このひと手間が重要だ。こんにゃくの凝固剤はかつて他県では草木灰のあくを使っていたところもあったが、近江は古くから良質の石灰を産していたそうだ。
オサ平さんは原料のこんにゃく芋を群馬からのものを取り寄せ、毎日2000個を作り出荷している。招福楼では、ここの赤こんにゃくを油煮してお客様に出している。(作り方を後のページで紹介)
また、近江では、赤こんにゃくと永源寺の黒こんにゃくは冠婚葬祭の席には欠かせない料理なのだそうだ。
一堂に首を出してこちらを見る近江牛たち(左)、牛がベロリベロリと水を飲む風景です(右)。
続いて近江牛の「岡喜本店」へ。こちらは1839年の創業。岡山健喜社長が牧場を案内してくれた。
「牛は但馬牛をルーツに持つ黒毛和種で、近江牛は鈴鹿山脈から流れてくる源水を飲んで育ちます。ちなみに松坂牛も山脈の反対側になりますが同じ水源です。私どもは牛にストレスをかけないように育てることを心がけ、何かあったらすぐに獣医さんが見に来てくれます」と岡山社長。
近江・永源寺米の「カネキチ寺田米雑穀」は、中村さんが特にこだわるお米を仕入れるところだ。向う車のなかで運転しながら「この道の左からお米が違う」とつぶやいた。カネキチさんのある東近江市永源寺エリアは鈴鹿山脈に源を発する愛知(えち)川が流れ、粘土質の大きな扇状地を作り、また、昼と夜の温度差が大きく、良質の米どころとなっている。「カネキチさんは水分調節装置により、年間を通して常にお米を一定の水分で精米(新米同様)しているので年間を通して水分1%ほどの差だけで安定しています」と中村さん。
永源寺のふもとを流れる愛知川(左)、粘土質の肥沃な土壌と昼と夜の温度差が利点(右)
今回、中村さんから我々が学ぶことは、「あつかいが大事」ということ。つまり魚にしても野菜にしても収穫してから始まる管理(あつかい)のことだ。生産者は獲りたてを食べてもらいたい。料理人は獲りたての素材で作りたての料理をお客様に食べてもらいたい。近江商人には「三方よし」という『売り手よし、買い手よし、世間よし』という教えがあるが、それはあつかう人たちの志によって実現されていく。今回は収穫されたお米が呼吸していることをはじめ、中村さんに招福楼では普通のことを教えていただいた。
カネキチ寺田米穀はPL法「製造物責任法」に対応(左)、調質機(水分調節装置)で精米している(中)、鈴鹿山麓の澄みきった自然で育った近江永源寺米(右)
丸ビル1階マルキューブで「青空市場 × 丸の内マルシェ」が開催されました。生産者たちが持ち寄った自慢の食材の中には初めて目にする野菜もあり、お客さんが「コレは何?」「どうやって食べるの?」と熱心に質問する一幕も。また、生産者からも「お客さんと直接お話するとモチベーションが上がる」との声が聞かれました。作り手の顔を見ながら会話をし、食材を受けとることの大切さ。集まった人々の笑顔が、それを物語っていました。
株式会社メルカード東京農大は、東京農大発の学生ベンチャー企業。自分たちで企画・レシピ開発した商品を元気よく販売していました。
GREENSTYLE 事務局
〒108-0075 東京都港区港南1-8-27-1305
☎03-5781-0779
カムカムはアマゾン河流域の水辺や湖沼に自生する果物。果肉100gあたりレモンの56倍のビタミンCを含むと言われています。
江戸東京・伝統野菜を家族みんなで販売。今回のマルシェを体験して、娘さんが「農家のお嫁もいいかも」と言ってくれたそうです。
GREENSTYLE 事務局
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根が短く先がクサビ状にとがっているのが特徴。根も葉も浅漬けにしておいしいことから、江戸っ子は競い合って食べたとか。
こだわりの水産加工物を販売する遠忠食品。昔から保存食として親しまれてきた日本特有の佃煮を、大正2年から作り続けています。
〒343-0846 埼玉県越谷市登戸町41-23
☎048-988-3710
養殖が難しく絶滅品種にも指定されるアサクサノリ。そんな”幻の海苔”の復活を夢見る漁師たちが6年の歳月をかけて甦らせました。
干物の生産量日本一の沼津市で昔ながらの作り方にもこだわるマルハチ金龍丸水産。干物への情熱がひしひしと伝わってきました。
〒410-0106 静岡県沼津市志下785
☎055-932-2487
http://www.kinryumaru.jp/
身が厚く形が丸いのが特徴。「自然素材だけで作り上げる」をモットーに、干物の生命線とも言うべき塩にもかなりこだわっています。
前回のマルシェで人気を博した夢百笑が、今回も蜜芋を販売。オレンジ色のハッピと元気な接客、そして焼き芋のいい匂いは健在でした。
〒891-3604 鹿児島県熊毛郡中種子町野間 5105-6
☎0997-27-0691
形状は唐芋の原種に近い紡錘形丸形。肉色は鮮やかな赤みを帯びた黄金色。ねっとりした食感と甘みの強さに、何度食べても驚かされます。
シントリ菜、東京うど、のらぼう菜など江戸東京・伝統野菜がズラリ。「東京の野菜ってこんなに種類あるの!?」とお客さんから驚きの声が。
連絡先:青空市場
☎03-5755-0480
http://aozora-ichiba.co.jp/
煮てよし、焼いてよし、揚げてよし、薬味にしてもよし。一度食べたら忘れられない万能の主役葱。