About

「食育丸の内」とは、三菱地所の「都市と食に関する問題」に取り組むプロジェクトの一環です。「食」に関する様々な活動を通じて、生産者、消費者、レストランが共に手を携え、人々が一層、心身共に健康になれる社会づくりを目指し活動していきます。

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Chef's Club

丸の内エリアを中心に活躍されている、日本を代表する和食・フレンチ、イタリアン、アジアン、4ジャンルのシェフ26名によって構成される「丸の内シェフズクラブ」。ただ、調理するではなく、食育を合言葉に、実際に生産地に足を運んだり、子どもたちへの食育授業など様々な提案、イベント発信などを行っています。

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Contents

マルシェに行こう
イートアカデミー
旬のシェフズランチ
子どもの食育ウェルカムキッズ
シェフの履歴書
服部幸應の食育のツボ
私を育てた『あの時、あの味』
元気になるニッポンの味めぐり
ラブテリ東京&NYヘルスリテラシー向上委員会
Will Conscious Marunouchi
Wakiya一笑美茶樓 オーナーシェフ 脇屋友詞氏  「店の味と比べられてこそ料理人としてのやり甲斐がある。」 自分の求める味の頂を求めて現在も修行を続けています。その努力の上に初めて技法はあるのではないでしょうか。同じフカヒレも、「Wakiyaのフカヒレは旨い」。そうやってお客様に他店の味と比べられてこそ料理人としてのやり甲斐があるというものです。

 一口に中国料理といっても、中国は国土が広いので地域によって国が違うくらいの味の差があります。北京など寒い地方では体が温まる鍋料理が発達していますし、内陸にある四川省ではトウガラシを使った発汗作用のある料理が好まれます。私の料理は「上海料理」がベースです。上海は日本と気候風土が似ているので、「米」「麦」「野菜」「肉」「魚貝類」「味噌」「醤油」など、日本とよく似た食材や調味料が使われます。昔は、麻婆豆腐といえば「四川料理」と決まっていました。しかし、日本における中国料理の世界も情報化、グローバル化が進み、お客様から「麻辣が食べたい」と要望があれば、私の店でも出すようにしています。
 私は、日本の四季、食材の旬の味を大切にした料理を心がけています。旬の食材は安くておいしい。例えば、春から夏にかけてはアサリ。同じ5キロでも季節によってアサリに含まれる栄養分には差があります。私の店のスペシャリテに「あさりとごぼうのスープそば」というメニューがありますが、季節によってアサリの味が違うので微妙に味付けを変化させて対応しています。

 私は、地方に仕事に行く度にその土地の食材を知るために生産者のもとを訪ねます。とくに注目しているのが切り干し大根や高野豆腐など日本の「乾物」です。中国には「乾貨」という言葉があって「乾物」を貨幣同様に金庫に入れて大切に扱う風習があります。「フカヒレ」「干しナマコ」「干し貝柱」「ツバメの巣」「魚の浮き袋」。広大な国土を誇る中国では、乾物は輸送と保存のためには欠かせません。今では中国の乾物は高級食材として全世界に知られています。
 一方、水で戻すなど面倒な下ごしらえを必要とする「乾物」は、日本の食卓では敬遠されています。このままでは日本の「乾物文化」は廃れてしまうのではという危機感をもっているのは私だけではありません。料理人はおいしい料理を作るだけでなく、貴重な日本の食文化に光を当て、食材として使い続けることが日本の国の将来にとっても必要だと思っています。

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 私が生産地にこだわるのはもうひとつ理由があります。食材を育てる生産者の苦労を知るためです。例えば、柔らかな甘味ともちもちの食感が楽しい「百合根」という食材があります。その名の通り「山百合(やまゆり)」の根の部分なのですが、大きな「百合根」を作るためには大変な手間と時間がかかります。植付けから収穫まで3年。百合根は蕾がつく度に手作業ですべて摘花します。花に栄養と取られると肝心の球根が大きくならないからです。その間、病気にならないように気をつけていなければなりません。こうした生産者の手間と努力を知れば、なぜ「百合根」は高価なのか納得できますし、料理人として生産者の努力に報いたいと思うものです。

 店で働く弟子たちには、本物は食べ比べないと分からないと教えています。私の店では北海道・十勝産の放牧豚(上記写真)を使うことがあります。豚肉は中国料理ではもっともよく使われる食材です。中国料理には「東坡肉(トンポーロ―)」という、皮つきの豚の三枚肉を醤油、酒、砂糖などで煮込んだ料理があります。三枚肉は豚の脂身の旨さを楽しむ料理ですが、この放牧豚を使った東坡肉は別格の旨さです。同じ豚肉でも、生産者や飼育方法によってもちろん味が異なります。どう違うかというのは、自分の舌で食べ比べるしかありません。また、生産者がどんなに手塩にかけて栽培したトマトもその価値が分からなければスーパーで買ったトマトと何ら変わりありません。同じトマトの形をしたものでも、香り、味、酸味、果肉に含まれる旨味の違いに気が付かなければ料理人としては失格です。

 現代人にとって自然そのものの味は物足りないと感じるようです。例えば、梅干しなんかも昨今のものは「出来過ぎた味」をしています。昔のシソの葉と塩と梅のみで漬けた味とは明らかに違います。こうした舌の記憶をたどりながら、以前に食べたものと旨味の違いを感じ取れるようになると、舌が敏感になって本当の旨味を感知できるようになります。
 とくに料理人は舌を鍛えることが必要だと思っています。私も最初は師匠の味を覚え、師匠の味に近づき、その上で、自分の求める味の頂を求めて現在も修行を続けています。その努力の上に初めて技法はあるのではないでしょうか。同じフカヒレでも、「Wakiyaのフカヒレは旨い」。そうやってお客様に他店の味と比べられてこそ料理人としてのやり甲斐があるというものです。

文・ノンフィクションライター・中原一歩

写真・フードフォトグラファー・宮崎純一

撮影場所・トゥーランドット臥龍居
東京都港区赤坂6-16-10 Y's CROSS ROAD1,2F

Contact

Wakiya一笑美茶樓

東京都港区赤坂6-11-10

☎03-5574-8861


シェフの履歴書

丸の内シェフズクラブに所属し、東京いや日本を代表する料理人の人生にはドラマがある。人生を変えたあの人のあの皿、修行時代の悔しい思い出、自分を一人前にしてくれた食材、自分の舌に焼き付いて離れない故郷の味。そんな、料理から学んだ、一流シェフの人生という名の美味しいレシピを連載します。

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シェフの履歴書11 「日本橋 とよだ」五代目主人 橋本亨氏

お江戸日本橋。正統な日本料理を現代に伝えながら、再開発で新しく生まれ変わる 街に合わせて料理屋も変化することが大切なのです。

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シェフの履歴書9 人人人 オーナー 中島武氏

こだわりは貫き通さなければなりませんが、時代の中で色あせてしまうものは必ず あります。そこに「再生のメカニズム」と「新しいモノを作る」という私の会社のビジネスチャンスもあるのです。

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