About

「食育丸の内」とは、三菱地所の「都市と食に関する問題」に取り組むプロジェクトの一環です。「食」に関する様々な活動を通じて、生産者、消費者、レストランが共に手を携え、人々が一層、心身共に健康になれる社会づくりを目指し活動していきます。

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Chef's Club

丸の内エリアを中心に活躍されている、日本を代表する和食・フレンチ、イタリアン、アジアン、4ジャンルのシェフ26名によって構成される「丸の内シェフズクラブ」。ただ、調理するではなく、食育を合言葉に、実際に生産地に足を運んだり、子どもたちへの食育授業など様々な提案、イベント発信などを行っています。

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Contents

マルシェに行こう
イートアカデミー
旬のシェフズランチ
子どもの食育ウェルカムキッズ
シェフの履歴書
服部幸應の食育のツボ
私を育てた『あの時、あの味』
元気になるニッポンの味めぐり
ラブテリ東京&NYヘルスリテラシー向上委員会
Will Conscious Marunouchi
シェフの履歴書 05 ル・レモア オーナーシェフ 柳舘功氏 「テレビに学んだエンターテイメントとしてのレストラン」 ISAO YANAGIDATE 空前の「美食ブーム」の中、当時驚異的な驚異的な視聴率を誇った「料理の鉄人」に出演したことによって、人生最大の転機が訪れた柳舘シェフ。放送作家・小山薫堂氏との出会いを経て、最初の店「ランス・ヤナギダテ」を作り上げるなど、柳舘シェフとテレビとの深い関係について語って頂きました。

料理人としての「職人魂」

 24歳の時に憧れのフランスに渡りました。パリを皮切りに、シャンパーニュ地方にある三つ星レストラン「ボワイエ」で修行しました。現在、青山本店の店名「ランス・ヤナギダテ」の冠にもなっている「ランス」とは、修行時代を過ごした「ボワイエ」のあるシャンパーニュ地方の町の名前です。
 当時、レストランは、オーナー、パトロンと呼ばれる後援者のもので、ガイドブックを見てもシェフ、とくに雇われシェフの名前はどこにもありませんでした。  そんな中、メディアでも活躍をしていたジャック・マキシマムというスーパーシェフがホテルのダイニングでミシュランの二つ星を獲得しました。当時、レストランの最高峰は「街場」だと思っていました。ホテルの厨房のシェフは、食材につぎ込める予算に限界があったり、あくまでホテルの従業員なので厳しく労働時間を管理されるなど環境が大きく異なります。しかし、そんな中で料理人としての「職人魂」を貫徹したシェフに憧れをいだきましたね。

 帰国後、日本は空前の「美食ブーム」。テレビにもタレントと並んで有名シェフが登場していました。そんな中、驚異的な視聴率をほこっていたのが「料理の鉄人」。限られた時間の中で、鉄人シェフと挑戦者という二人のシェフがひとつの食材を使って料理を作る。そして、審査員がその料理に点数をつけて勝ち負けを決める。
フランスから帰国して間もなく、青山のあるレストランの料理長だった私に挑戦者としてお声をかけて頂いた時、それはプレッシャーもありましたが、自分の料理が審査員にどう判断されるかとても興味が湧きました。予め食材も知らされず、限られた時間の中で料理を完成させるという「テレビショー」への出演依頼でしたが、フランス時代での修行時代、世界のVIPを相手に料理を作った緊張感には比べれば何ともないと出演を快諾しました。
結局、撮影当日のテーマ食材は「キャビア」。相手は同じフランス料理の坂井宏行鉄人でした。一缶18万円という高級キャビアが食材として用いられるなど、おかげさまで話題にもなり、勝負こそ負けましたが6品の料理を完成することができました。

人生の転機となったテレビ出演

 このテレビ出演は私の人生の大きな転機となりました。最大の収穫は、映画「おくりびと」や「世界遺産」などを手がけ、日本を代表する放送作家である小山薫堂さんにお会いしたことです。今では「くんちゃん」と呼び合う仲ですが、当時、料理の鉄人の制作現場にいた人との出会いは料理人である自分の人生観を新たなものにしてくれました。
私と彼らとの共通言語は「物作り」。よりいいものを作るためには、何度も撮り直しを重ねたり、時には激しい口論になることもあります。しかし、お互いプロですので根本の部分でお互いをリスペクトしています。何より、テレビは「みんな」でつくり上げる作品です。プロデューサーがいて、ディレクターがいて、ADがいてアシスタントがいる。そして、初めて私たちが実際に目にするタレントさんがいる。この体験以来、誰がこの番組に携わっているのかテレビ番組や映画のエンドロールを興味深く見るようになりました。
 この出会いから生まれたのが、私がオーナーシェフと務める「ランス・ヤナギダテ」です。今では数多くの店をやっていますが、私の初めての店で「本店」と位置づけています。当時、自分の店を作りたいと薫ちゃんに話したら「どんなブレインがいるの?」って聞かれました。料理人に従業員以外のブレインなんて考えられませんでした。これをきっかけに、業界の第一線で活躍をされているデザイナーさんや、店舗作りのコーディネイターを紹介してもらいました。「レストランは自分の力で作る」から、「いろんな人の知恵や技術を借りてレストランをつくり上げる」。この価値観の変化は、まさにテレビから学んだものです。
一方で、テレビに出ると世の中の人からの注目度も変わりました。普段は「厨房」という泥臭い戦場にいるシェフが、まるでタレントさん同等の扱いを受けるテレビの世界は悪い居心地はしません。しかし、私は最初からテレビは「余興」と割りきっていました。やっぱり、料理人としてのステージは厨房であり、レストランなんです。

「キュイジーヌ・リージョナル」と「キャラクテール」

 「キュイジーヌ・リージョナル」という考え方があります。この、「その土地で手に入る一番の食材を使い切る」という考え方に基づくならば、東京という場所は、世界中にある最高食材がリアルタイムで手に入る夢のような場所です。この環境はパリでも考えられません。
例えば、「ドーバー海峡産のヒラメ」はパリでは高級食材ですが、海に恵まれた日本は勝るとも劣らない近海物がありますからそちらを使います。しかし、フォアグラはやっぱりフランスのランド産のものにはかないません。迷わず輸入します。今、東京では日本の食材を使った「日本のフレンチ」がもてはやされています。しかし、私はそこにこだわりはなく、どんな食材であろうと、私という媒介を通せば全てフランス料理になる。そんな自分という「キャラクテール」を大切にしています。  例えば、「温泉卵とオマール海老、ホタテ貝、ウニ、キャビアのコンソメゼリー」。創業以来、メニューから消したことのない私のオリジナルメニューです。
この料理の主役は卵。フランス語で「ウフ」と呼ばれる卵は、茹でたり、焼いたり、マヨネーズのようなソースに化けたりと古典的な食材です。しかし、ビネガーを加えたお湯に卵を落として作る「ポーチ・ド・エッグ」はあっても、低温のお湯で殻のまま火を入れて作る「温泉卵」の手法はありませんでした。「温泉卵」の官能的で滑らかな舌触りは、コンソメゼリーのプルプルとした食感と良く調和します。そこに、魚介の旨み、キャビアの塩加減を加えて完成です。フランス本国の誰が見てもフランス料理ですが、日本人である私ならではの作品です。

 だから、食材が日本産であろうと、フランス産であろうと、大切なことはそこに貫かれた自分ならではの思考です。自分にとってフランス料理とは何かが大切なのです。
若い頃、本国フランスに修行に行ってよかったのは、フランス人の精神を理解できたことです。日本で国籍とは「流れている血」。つまり血統を意味します。しかし、フランスでは、共和国を成り立たせている全ての人がフランス人なんです。それが証拠に、サッカーのナショナルチームには、ナイジェリア出身のジダンをはじめ、各国からの移民も数多く参加しています。
日本でもフランス料理の技術は学べます。しかし、実際にフランスに足を運び、星付きレストランの厨房や時には街角のカフェでフランス人と揉まれたことが、今の私の精神を作っているのだと思っています。

文・ノンフィクションライター・中原一歩

写真・フードフォトグラファー・宮崎純一

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ル・レモア

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シェフの履歴書

丸の内シェフズクラブに所属し、東京いや日本を代表する料理人の人生にはドラマがある。人生を変えたあの人のあの皿、修行時代の悔しい思い出、自分を一人前にしてくれた食材、自分の舌に焼き付いて離れない故郷の味。そんな、料理から学んだ、一流シェフの人生という名の美味しいレシピを連載します。

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